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顧問弁護士(8)顧問弁護士の競争~戦略法務への弁護士の関与

2015.12.31更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

これからの顧問弁護士の競争のあり方についてもう少し考えてみたいと思います。

 

1 顧問弁護士の競争


 

 

弁護士の数が増え、企業が弁護士にアクセスし、

依頼しやすくなりました。

特に千代田区、中央区などは弁護士が多く、

競争も激しいことを実感します。

顧問弁護士という概念が変容しているように思います。

 

これまでのブログでも書いてきましたが、

これからの競争は、業務遂行の方法、業務内容、心構えなどについて、

弁護士の側で創意工夫を重ね、

付加価値を付けていくことが重要だと思います。

単価も重要ですが、従来のやり方を墨守したまま、

いたずらに単価だけを落としても、

業界全体からみれば、得るものは少ないように思います。

 

2 他業種との競争のあり方


 

 

他業種の連携も必須です。

このことは、従前から意識されてきたことだと思います。

しかし、他業種の資格を取ったり、自分の組織に抱え込むことには、

時間、労力、費用などがかかりますし、

肩書きを沢山並べるだけであっては、

あまり意味がないように感じています。

弁護士業務も含めた様々な専門業をどのように活用するか、

その戦略の策定に携わるようになることが重要だと考えます。

そうすると、他業種との競争が発生します。

肩書きにとらわれない能力が必要とされているように思います。

そこでは、ゼネラリストとしての観点も重要になるはずです。

 

3 戦略法務への関与


 

 

弁護士は法律事務全般を取り扱うことができるので、

最も強い資格の一つであり、

本来、他業種との競争にも十分に耐えうるはずです。

現に、裁判所の絡む業務については、

他士業が進出しているとはいえ、圧倒的な強みを有しています。

多くの場合、餅は餅屋で、

従前から強みを持つ業種に真正面から進出しても、勝負になりません。

 

上記の戦略策定の部門は、弁護士業界にとっては盲点だと思います。

肩書きのない世界での勝負になります。

この領域では、現在のところビジネスマンや、

コンサルタントとの競争に、圧倒的に負けているように思います。

肩書きがむしろ弱みになっているのが現状だと思います。

 

臨床法務、予防法務という考え方を発展させて、

戦略法務という理念が提唱されています。

戦略法務部門については、弁護士の関与が薄いところだと感じます。

戦略法務部門に弁護士が関与するには、

企業内に意欲的に入っていく姿勢を示すことが重要だと思います。

一人一人の弁護士が活躍して、

そのような社会を創っていくことが重要だと感じ、日々研鑽しています。

 

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労働問題(9)労働者側弁護士の用いる表現について~会社への「誹謗中傷」

2015.12.30更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、労働者側弁護士の用いる表現への対処について

書きたいと思います。

 

1 労働者側弁護士から会社に対する非難


 

 

労働者側弁護士にもいろいろな人がいると思います。

しばしば、会社側がフラストレーションを貯めてしまう原因となるのは、

会社に対する誹謗中傷と受け止めざるを得ないような

言葉を用いる弁護士が出てきたときです。

法的な名誉毀損、というレベルにまでたどり着くことは多くはないと思いますが、

真面目に業務に取り組んでおられる会社であればあるほど、

そのように受け止めてしまうことがあると思います。

 

中には、鬼のような表現を用いる弁護士がいます。

零細企業において、支配と服従、隷属、奴隷

などという用語が多用されていたりします。

少々思想的な雰囲気が漂ったりします。

客観的に聞いていると、そんなに大それた話ではないはずなのですが、

本心で書いているかどうかは分かりません。

 

他の紛争類型と比較して、

力強すぎる表現が用いられる度合いが高いように思います。

そのような表現の羅列が、

会社側の態度を非常に硬化させる原因となることがあります。

しかし、具体的な事実が伴っていないから

誹謗中傷に頼らざるを得ない場合もあります。

そのあたりを冷静に交通整理することが

使用者側弁護士の1つの仕事になります。

 

2 組織論への無理解


 

 

業務命令は、会社という組織において必要なものですが、

業務命令を労働者が受けること自体に

疑義を述べてくる弁護士すらいます。

組織論についてまるで無理解で、

ここまで来ると、まさに言いたい放題です。

会社側は、粘り強く、

業務命令が正当な内容のものであることを

主張立証することになりますが、

業務の内容についても

懇切丁寧に説明していくことが必要になります。

 

3 本当に手強い労働者側弁護士とは


 

 

本当に手強い労働者側弁護士は、

一方的な非難にいたずらに偏ることなく、

これをきっかけに企業に変わってもらいたいというマインドを持って、

ロジックの積み重ねで攻めてくる弁護士だと感じます。

説得的なロジックの積み重ねで攻められると、

会社側も折れて行かざるを得ない場合があります。

労働者側弁護士がどういう弁護士かを見極めることは、

割と重要なことのように思います。

 

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顧問弁護士(7)社内の交流の必要性

2015.12.29更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

これからの顧問弁護士のあり方についてもう少し考えてみたいと思います。

 

1 「非常勤企業内弁護士」


 

 

顧問弁護士(4)のブログで、「非常勤企業内弁護士」という考え方について書きました。

繰り返しになりますが、

企業の発展を願うのであれば、その企業に足を運び、

企業内で一緒に汗を流すことが、最もよい方法です。

本来のニーズは法務部に限られるものでもなく、

総務部、人事部、経営企画室、内部監査室、EC部門、営業部など、

いろいろあると思います。

ビジネスを組み立てる仕事それぞれにニーズがあります。

 

2 社内の交流の必要性


 

 

新しい活動領域を広げるためには、

とにかく顔を出すことが重要だと実感しています。

飲み会などもできるだけ出て、社内の会議にも出させていただいて、

社内研修の講師になったりするなどすることが重要だと思います。

経営陣のみならず、セクションを問わず、

従業員の方に認知していただくため、

交流の機会を活用することが重要だと思っています。

 

特に、法務機能が手薄な会社では、

各部署から弁護士に連絡することにためらいがあったりします。

そうした方々にも、少しずつ、認知していただくことが必要です。

ある程度近しい関係でも、知らない間に、

自分のできる領域の相談が、他に回っていたりすることは多々あります。

例えば、主に国内で事業を展開している会社が,

新たに海外に進出するときなどです。

そうした仕事を1つ1つ拾っていくことが、

信頼関係を増していくきっかけになると思っています。

 

近しい関係でも、お互いに忙しいと、

弁護士の取り扱い業務が何について詳しく説明する時間は、

意外とないものです。

ブログによる情報発信も有益だな、と感じています。

 

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労働問題(8)労働問題に臨む心構え~企業法務への応用

2015.12.28更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

いくつか具体例を挙げたところで、労働問題に対する心構えについて、

思うところを書いてみたいと思います。

 

1 事実関係の徹底究明が重要であること


 

 

労働事件は、

使用者と労働者との間の長期間の労働関係の集大成として、

発生する紛争です。

当事者の関係が労働者は

1日8時間ほど(残業があればもっと長い)、週5日、

労働力を提供します。

そのような関係が何年、何十年も続きます。

そのような長期間の中で起こった、

トピック的な特定の出来事に執着して、

延々と双方の事実主張、

権利主張を重ねていかなければならないことがあります。

労使間がこじれた場合には、多くの場合、何か特定の原因があります。

 

トピック的な出来事以外にも、

労働者の稼働状況をリアルに再現できるよう、

事情聴取を積み重ねていくことになります。

本当に泥臭い作業の継続です。

離婚訴訟やフランチャイズ訴訟などと似たようなところがあります。

 

一見して使用者側の権利主張が難しい場合であっても、

そのような徹底的な事実究明の中で、

使用者側が、自らにとって有利な主張を見いだせることがあります。

思いがけない視点から、

有利な解決を導き出せることがあることを忘れてはなりません。

 

2 企業法務への応用


 

 

上記の作業は、徹底したヒヤリングを含むものであり、

いわば、労使間のデューディリです。

企業内の人的関係、機能を分析することに応用することができます。

徹底的な事実究明のノウハウを得れば、

企業法務に応用するときにも必ず役に立ちます。

労働法規が多種多様にわたり、専門性が深まっているのは確かです。

そのため、企業法務と労働問題が切り離されて語られがちですが、

本来は、共通の根っこを持っているというべきだと思います。

 

紛争は紛争の枠組みのもとで解決しなければなりません。

しかし、紛争が解決した後は、反省点を活かして、

あるべき労使関係を構築することで、前向きな人事戦略を可能とし、

従業員全体のパフォーマンスを上げることにつなげることも重要です。

個々人の情報発信力が強まり、

これからも労働者の権利が強まっていく傾向は続くと思われます。

企業側も、労働問題を企業法務マターに繋げていく発想が

求められる時代が来ると思います。

 

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労働問題(7)使用者側弁護士が労働事件でおこなう準備の例~雇止めの事例

2015.12.27更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

引き続き、雇止めの事例を具体例として書いてみたいと思います。

 

1 事案


 

 

定年後の有期雇用契約を1度更新したが、更新拒絶をすることになった。

労働者より、自分の能力は他の従業員よりも高いのに、

更新拒絶されたことは不当であるとして、訴訟を提起された。

 

2 テーマ


 

 

有期雇用の更新拒絶が認められるか否か。

争点はいくつかありましたが、

労働者の能力の評価がどの程度のものであったかが、

一つの争点となりました。

 

3 対処


 

 

定年後の有期雇用の労働者について評価制度が存在しなかったので、

会社の担当者に有期雇用開始後の

労働者の勤務状況を思い起こしていただきました。

仮に正社員に適用されている評価制度を適用したら

どの程度の評価を下すことになるかを検証し、

後付ではありますが、評価シートを証拠提出しました。

その上で、当該期の正社員の評価分布図を提出しました。

正社員の時期と有期雇用社員の時期とを比較して、

生産性、意欲、コミュニケーションの程度が低下している事情があれば、

具体的事実を思い起こしていただき、

どの部分につき評点が少なかった箇所と紐付けて、

判断の公正さが損なわれないように努め、

証人尋問に耐えられるレベルに達するよう心がけました。

 

4 結論


 

 

比較的低い評価であったことを立証できました。

請求額との比較において

1~2割程度の解決金を支払う旨の訴訟上の和解が成立しました。

 

5 必要なこと

 

有期雇用(特に定年後の有期雇用)については、

評価制度が存在しない場合があります。

労働者側が「自分の能力は非常に高い」と述べたときに、

そのままでは、反論の材料に乏しい場合があるので、

後付になりますが、能力評価を行うことがあります。

後から再現する場合には公正さが何より大事です。

ここでも、事実を確認し、

証人尋問に耐えられるレベルの供述になっているかどうか

を検証する必要があります。

 

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労働問題(6)使用者側弁護士が労働事件でおこなう準備の例~パワハラの事例

2015.12.26更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

前回のブログに引き続き、

解雇の事例を具体例として書いてみたいと思います。

 

1 事案


 

 

必要な業務命令を伝えたところ、パワハラであると主張された。

会社と従業員のトラブルが深まり、従業員は自ら退職した。

パワハラについて慰謝料を請求された。

 

2 テーマ


 

 

少し強い調子で業務命令を伝えたが、特にパワハラではないと会社は考えており、

パワハラではないことの立証が必要になりました。

 

3 対処


 

 

上司と従業員とのやりとりの内容を、

日時、場所、方法を含め、聴き取っていきました。

電子媒体でのメッセージも存在しているようであったので

資料を全て取り寄せてもらいました。

従業員が精神的に不安定な様子がうかがえたので、

言うことが変わる経緯とか、

上司を困惑させるやりとりを中心に、

準備書面で主張していきました。

例えば、あのとき、Aの返答が返ってきたが、

次に質問したら、Bの質問が返ってきた。

Aの返答とBの返答は矛盾するが、

それに対する説明は一切なかった、

などの事実を聴き取りました。

 

4 結論


 

 

原告の請求額の1割~2割程度の、

若干の解決金を支払うことで和解できました。 

 

5 必要なこと


 

 

法的手続きにまで乗るかどうかは別として、

この手の話は意外と多いと感じます。

若い労働者の場合は、ご両親が介在したりすることもあります。

業務命令を下したつもりがパワハラだと言われることが多くあります。

業務命令を下すことが、前近代的である、

などと、会社業務にまるで無理解な主張を受けることもあります。

 を疑わせる場合があります。

しかし、このことを根拠なく書いてしまうと、

人格攻撃だと思われても仕方ありませんので、

よほど確たる証拠がない限り、書いても意味がありません。

細かい事実関係を指摘して、暗黙知の状態で、

判定者に理解していただくことに努めます。

 

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労働問題(5)使用者側弁護士が労働事件でおこなう準備の例~解雇の事例

2015.12.25更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

前回のブログに引き続き、

解雇の事例を具体例として書いてみたいと思います。

 

1 事案


 

 

経営が苦しく、従業員から退職届を出していただいた。

実質的には整理解雇に近い事案。

従業員は口数も少ない人であり、

特に異議もなく退職に同意していただいた(と会社が思っていた)。

しかし、息子がクレームを述べてきた。

その後、弁護士から訴訟提起された。

労働者側弁護士の主張の脚色が激しく、従業員を奴隷扱いし、

隷属させていた、人権を蹂躙したなどと主張し、

賃金請求のほか、不法行為に基づく損害賠償請求まで行使してきた。

1000万円を超える請求となった。

 

2 テーマ


 

 

脚色を排除していく活動を行い、

本件が標準的な労働事件を逸脱しないものであることを、

裁判所に理解してもらうこととしました。

 

3 対処


 

 

原告側の主張の言葉が一人歩きし、

奴隷扱いしていたかの脚色を排除するため、

徹底的に事実関係を調査し、これを裏付ける資料を探しました。

従業員はいつ、誰に対して、何を言ったか、何をしたか、などについて、

事細かな点も含めて記憶を喚起していただき、

陳述書などに記載するよう努めました。 

 

4 結論


 

 

整理解雇が有効とされる要件のうち、

手続きの履践のみが不足していたとの心証を裁判所に得させ、

請求額よりも大幅に少ない金額を支払う旨の訴訟上の和解を成立させた。

 

5 必要なこと


 

 

会社側においては、本来、従業員がおとなしい人であるとしても、

油断せず、手続きの時点から

弁護士に相談するなどすることが必要でしたが、

結局、紛争になりました。

労働者側が事実を脚色することは頻繁に見受けられますので、

弁護士は、脚色を薄めるため、

正しい事実関係を説明し、少ないながらも証拠を見つけ出し、

原告の主張に反論することになります。

 

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労働問題(4)使用者側弁護士が労働事件でおこなう準備の例~残業代の事例

2015.12.24更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

前回のブログで、

稼働の実態を再現することが重要であることを書きました。

残業代の事例を具体例として書いてみたいと思います。

 

1 事案


 

 

会社がみなし管理職として取り扱っているため(訴訟上は認めづらい)、

タイムカードを打刻しておらず、残業時間が分からない。

労働者側は週7日、1日16時間労働であったと主張。

手帳のメモ以外に書証はない。

使用者側は、週6日、1日10時間~11時間労働程度であったと認識。

ただし、書証はない。

 

2 テーマ


 

 

判断者(裁判所など)は、残業していることは間違いない、

という心証を得ており、残業代がゼロとは思えないものの、

どの程度残業時間が発生しているかについては心証が取れないので、

使用者側に対し、労働者側の主張に反論するよう求める。

 

3 対処


 

 

何も立証活動をしない場合、メモ以外に書証がなければ、

労働者側の主張が認められる可能性があるので、

部下の供述内容を陳述書にまとめ、

使用者側の認識する残業代を算定します。

証人尋問に耐えられるレベルに至るまで徹底的に事実を聞き出します。

その中から十数個くらい、設定できる条件を見いだします。

 

たとえば、何曜日には早く出社し(だいたい10分くらい)、

何曜日には早く退社し、

何曜日には★時ごろまで残業していた、

会社の上司が来るときには、何割かの確率で早く帰宅していた、

休憩時間は、昼間に1時間とっていた、

その他、控えめにみても1時間くらいはゲームをして遊んでいた、

何曜日には控えめにみて

2時間程度はパチンコに行っていることがあった、

月末には商品棚卸しの業務があるから残業をしていた、

というような感じです。

 

十数個の条件を、残業代の時効完成前の2年間の年月日に全てあてはめ、

残業代を算出します。

 

4 結論


 

 

労働者側と使用者側とでそれぞれ認識する残業代は、

ケタが1つ違っていましたが、

最終的には、使用者側の認識する金額に近い金額で和解しました。

 

5 必要なこと


 

 

ある程度の金額を支払うのはやむを得ない事案ですが、

その見解に会社がご同調いただけない限り、

このような解決を図ることはできません。

同じ方向を向けるのであれば、

徹底的な事実解明を行うことになります。

非常に泥臭い作業であることがおわかりいただけると思います。

 

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顧問弁護士(5)「顧問」と「弁護士」

2015.12.22更新

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今回は、顧問弁護士をどうとらえ直すかということについて検討してみたいと思います。

 

1 会社の「顧問弁護士」=「顧問」と「弁護士」 


 

 

顧問弁護士、という用語は、一つの用語のように用いられていますが、

前回のブログに書いたように、

顧問弁護士の役割について再定義していく結果、

顧問弁護士という言葉を分解して、

(会社の)「顧問」であり「弁護士」でもある、

ととらえ直したほうがよさそうに思います。

 

2 会社の顧問とは


 

 

顧問とは、会社から相談を受け,

意見を述べる役のことを言うようです。

会社の取締役や監査役を辞職された方が,

一定期間務められるケースが多いようです。

 

3 弁護士が会社の顧問となること


 

 

顧問弁護士は、弁護士であると同時に顧問である、

ということを意味すると思います。

両方を兼ねる役割であると定義し直せば良いのではないかと思います。

法律の土俵に持って行き過ぎず、

経営全般についてアドバイスができるように鍛錬すれば、

いずれは、「顧問業界」との競争が成り立ってくるように思います。

 

監査役と顧問弁護士を兼ねている場合などには難しいですが

弁護士が、弁護士としての職務遂行と、

顧問としての職務遂行(業務執行の一部)をともに担うことは、

だんだん一般化していくのではないかと思います。

 

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顧問弁護士(4)「非常勤(パートタイム)社内弁護士」としての顧問弁護士

2015.12.21更新

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再度、顧問弁護士について書きたいと思います。

 

1 これまでの顧問弁護士の概念


 

 

一般的には、顧問弁護士は企業には属さず、

裁判等があれば会社の依頼によりその代理人に就任し。

その他、契約書のチェック等のために、

必要があれば、会社から連絡を受けて、弁護士がアドバイスをする、

というのが、これまでの顧問弁護士の概念だったと思います。

 

2 顧問弁護士の概念の変容


 

 

顧問弁護士の概念は、再構築するべき時期に来ているように思います。

弁護士が急増したことが原因だと思いますが、

顧問料を数千円程度にまで下げる広告などが出てきたりしています。

弁護士は増えていますが、紛争はそれほど増えていません。

このままでは需要は少ないが、供給は多い、ということになります。

弁護士の側も、従来型に固執しているようではダメだと思います。

 

3 サービスの提供の方法の再検討~非常勤企業内弁護士


 

 

いろいろインターネットを見て、非常勤の社内弁護士を請け負います、

という広告を見たことがあります。

これは、今後の方向性を図る上で非常に面白い取り組みだと思います。

 

週のうち何日間は会社に行く約束をしている顧問弁護士の方は

これまでにもたくさんいらっしゃいました。

非常勤顧問弁護士、といったところでしょうか。

私もそのような方法で職務を遂行していた時期もありました。

しかし、部屋が隔離されたりすると(これが普通ですが)、

企業の内部にいる、という感じは乏しいです。

 

企業の発展を願うのであれば、その企業に足を運び、

企業内で一緒に汗を流すことが、最もよい方法です。

常勤企業内弁護士はたくさんいらっしゃいますが、

業務内容、必要性などに応じて、

非常勤企業内弁護士というスタイルがあってもよいはずです。

 

千代田区とか、半蔵門、麹町あたりに生息する弁護士の私としては(?)

いろいろなところにアクセスしやすいので、良い概念だな、と思います。

 

4 サービスの内容の再検討~法務部門に限らない


 

 

今度はサービスの内容について考えてみるに、

法務部門に行く途に限られる必要はないように思います。

総務部、人事部、経営企画室、内部監査室、などの部署に

行っても良いと思いますし、

会社によってはEC部門、営業部でも良いかも知れません。

ビジネスを組み立てる仕事に従事する際に、

法務の観点を交えていくことは必要です。

 

顧問弁護士の考え方について再構築すれば、

顧問弁護士の仕事は無限に出てくるように思います。

 

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