弁護士によるオンライン申請(その16)~社会保険にかかわる提出書類
2023.10.09更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、
野澤吉太郎です。
社会保険関連のオンライン申請について書きます。
会社を設立した場合に、社会保険の適用を受ける人がいる場合には、日本年金機構の所轄年金事務所に対して、以下の書類を提出することになります(単純化して書いていますが)。
①健康保険厚生年金保険新規適用届
②健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届・厚生年金保険70歳以上被用者該当届
③協会管掌事業所用健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届
④健康保険厚生年金保険保険料振替納付(変更)申出書
⑤その他の添付資料(全部事項証明書とか、法人番号指定通知書、委任状、社会保険労務士証票など…)
社会保険の適用を受ける人とは、取締役等の役員も含まれます。
そのため、従業員を雇用しないため
労働保険関係の書類を提出しない場合でも、
社会保険関係の書類は提出しなければならない、
ということもあります。
俗に、新規適用届と資格取得届等を一緒に出す場合、
新適同時届出、などと言ったりします。
①新規適用届自体はe-govでも提出できます。
②資格取得届自体もe-gov対応しています。
しかし、e-govで①新規適用届を作成したのに引き続いて、
同時に②資格取得届などを作成してみようと思うと、
壁にぶち当たります。
②資格取得届、③被扶養者(異動)届第3号被保険者関係届については、新規適用届と同時に作成していこうとすると、その時点では事業所整理記号や事業所番号が存在していないので、e-govで申請しようとしても、未入力でエラーがでてしまいます。
悪戦苦闘しているうちに、
業務用ソフトのホームページを見つけました。
社会保険の新規適用届と資格取得届は同時に電子申請できますか? – 台帳サポートサイト – 株式会社セルズ (cells.co.jp)
事業所整理記号を空欄にすると「必須項目です」というエラーが表示される – 台帳サポートサイト – 株式会社セルズ (cells.co.jp)
まず、e-govのシステムでは事業所整理記号が記載されていないデータは容赦なく撥ねられます。
しかし、新規適用の段階で事業所整理記号が
存在するわけがありません。
それでも資格取得届+被扶養者届は、新規適用届と別個に
出すことが認められません。
結局、全部書面でやることになるようです。
しかし、そういう話の説明はe-gov上には一切見当たりません。
つまり、事業所整理記号が入力画面上必須である以上は、
オンライン申請は全体として不可、ということだと理解しました。
ワンストップサービスを政府が進めているというのに、
ほんとかねと信じられない思いになりまして。
かなりムキになって調べましたが、
最初は、書面でやらざるを得ないのかなと思いました。
これだけは、どれほどオンラインの途を追求しても私の知り得る知識では無理でした。
これまでオンラインで徹底してきたので、相当ムキになりますが、
いくら意地を張っても自分の分かる範囲では難しい。
断腸の思いで、書面申請したことがあります。
まあ、もともと書面でやったほうが正直楽であり、
何をムキになっているんだろうという気もするんですが…。
調べれば別の方法があるのかもしれません。
私が知らないだけかもしれませんから、
どなたかに良い方法を教えていただきたいところです。
しかし、そうだとすると、
新規適用届の申請がe-govでできるということには、
いったい何の意味があるんだろうか…?すみませんが、謎です。
e-Gov電子申請利用マニュアルの紹介|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
これは前のブログで記載したホームページですが、ここには社会保険の新規適用届絡みの記載がありません。これは上記のとおり一筋縄ではいかない事情があるから書いていないのだろうと。私がそう思うだけかもしれませんが。思い切りワケアリな気がします。
また、それとは別の問題として、
④健康保険厚生年金保険保険料振替納付(変更)申出書
は、カーボンなので、郵送提出しなければなりません。それは重々承知しておりました。登記申請の際の半ライン申請みたいなことができないかと思い、悪戦苦闘していたのですが、無理だった、全部書面でやらざるを得なかった、ということです。
投稿者: