弁護士によるオンライン申請(その18)~クライアントにとってオンライン申請にどういう意味があるのか?
2023.10.11更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、
野澤吉太郎です。
ワンストップサービスをオンライン申請でおこなうプロセスを一通り書きましたので、クライアントにとってそのプロセスが何か意味をもつのかについて考えを書いてみたく思います。
率直に書くと、これまでに書いた個々の手続きをオンラインでおこなうことについては、クライアントの目線からみると、それ自体にすぐに意味を見いだせる可能性は低いです。
試しにオンライン申請してみるといろいろな発見があります。
しかし、そのために要する労力は相当莫大なものです。
個々の事務作業は、慣れないうちは、紙媒体でおこなう方が早いです。紙媒体をクライアントが選択される場合は、もちろんそれで良いと思います。
しかし、会社の設立当初の段階でクライアントの事務をなるべく効率化したほうがよいことは、あまり異論のないところです。
そのためにどういうシステムが望ましいかを最初に確立しておくときに、オンライン申請等により事務作業の手間を回避する仕組みを最初に習得しておくと、スタートアップの会社の後々の組織作りに役に立つことがあります。そのようなアドバイスをできるようにするために、予め専門家がオンライン申請に慣れておくことにも、それなりに意味があると思います。
デジタル庁は、「法人設立ワンストップサービス」という
仕組みを立ち上げています。
サービストップ | 法人設立ワンストップサービス (myna.go.jp)
いくつか問診をすると、どのような手続をすればよいか、教えてくれるサービスがあります。
法人設立関連手続かんたん問診 | 法人設立ワンストップサービス (myna.go.jp)
これは素晴らしい試みだと思います。
ただ、この問診内容を全部きちんと分かる専門家でない人がどのくらいいるのか?という問題があります。
この問診内容は、専門家も担当外の分野については、あまり分からないことが多いと思います。少し玄人向けです。
そうすると、知識の深さ浅さの差はあっても、
問診内容に一応は全部対応できる専門家が必要だと思います。
その役割を担う専門家として、実は、弁護士が最も適していると思います。
別に全部を弁護士に担当させる必要はなく、そうするべきでもありません。個々の弁護士には必ず得手不得手があります(私の場合、税務です。)。
全体像を理解したうえで、得手不得手を確認して、
不得手な部分については本業者を探してお任せする仕組みをつくるだけのことです。
個々の弁護士がスタートアップ企業の組織作りのアドバイスに関与できるようにするために、オンライン申請の仕組み全体を理解して、経営に役立つアドバイスをすることが大事だろうと感じております。
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