法人設立ワンストップサービスについて(その2) ~法人設立ワンストップサービスとは
2023.09.09更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、
野澤吉太郎です。
前回に続き、そもそも法人設立ワンストップサービスとは
何かを書いていきます。
法人設立ワンストップサービスについて、
国税庁は以下のように説明しています。
「これまで法人を設立する際には、設立届出書の提出のような複数の各種手続を行政機関毎にそれぞれ個別に行う必要がありました。「法人設立ワンストップサービス」では、マイナポータルという一つのオンラインサービスを利用して、これらの一連の手続を一度で行うことができるようになります。」(以下HPより転載)
法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました|国税庁 (nta.go.jp)
マイナポータルのホームページもつくられています。
サービストップ | 法人設立ワンストップサービス (myna.go.jp)
会社設立に必要なもろもろの手続を、マイナポータルを通じ、
オンラインでまとめて手続きすることができる仕組みです。
簡略化して書くとこんな感じです。
まず設立のため、下記のとおり各所に届出をします。
公証役場 定款認証
法務局 設立登記の申請、
商業登記電子証明書の申請…
税務署 法人設立、給与支払事務所、
青色申告承認、源泉所得税納期特例承認、
消費税課税事業者選択届出、
適格請求書発行事業者登録申請…その他
都道府県市町村役場 法人設立・設置届…
日本年金機構年金事務所 健康保険・厚生年金保険新規適用届…
労働基準監督署 保険関係成立届、適用事業報告…
公共職業安定所 雇用保険事業所設置届出、
雇用保険被保険者資格取得届…
このワンストップサービスの取り組みはもちろん素晴らしいものだと思います。しかし難点があります。
まず、会社法、税法、労働社会保険法令などの法制度の知識が必要です。これについては、ある程度インターネットなどの情報を入手し、役所の窓口に聞いてまわれば、何とかこなすことができます。費用を安く済ませることを優先しようとする場合にはそれがお勧めです。
しかし、書面申請によらずに全部の申請についてITを活用しようとなると話は別です。
電子署名が必要なので、マイナンバーカードが必要になります。
このほか、読取機器などをそろえる必要があります。
ICカードリーダー・Adobe Acrobatの有料ソフト。
そして、システムを構築し、個々の入力については仕様書に書かれた仕様に適した入力をする必要があります。実際にやってみれば思い知らされますが、これは最初は非常に難しいところです。最初だと歯が立たないのではないかと思います。
結局、これらを全部当事者ご本人がやるのはほとんど現実味がないだろうと思います。
専門家についていうと、資格を一つ一つ取得していけば別ですが、これらに全て対応できる資格は、実のところ弁護士だけだと思われます。
日を改めて続きを書いていきます。
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