野澤吉太郎法律事務所 弁護士 野澤吉太郎

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法人設立ワンストップサービスについて(その7) ~法人の設立後の税務署への提出書類について

2023.09.16更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

設立登記が完了すると、

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき、法人番号が割り振られます。

 

設立登記完了日の16時または翌稼働日の11時に、

法人の基本3情報(①法人番号②商号又は名称③本店又は主たる事務所の所在地)が国税庁法人番号公表サイトに公表されます。

 

そして、本店又は主たる事務所の所在地宛に、普通郵便により法人番号指定通知書が届きます。法人番号は、その後に役所への提出手続きを進める際に必要な情報になります。

 

税務署に対して提出する書類は、以下のとおりです。

(ほかにもありますが。)
法人設立、

給与支払事務所、

青色申告承認、

源泉所得税納期特例承認、

消費税課税事業者選択届出、

適格請求書発行事業者登録申請…

 

後で税理士の先生と時間を掛けて相談のうえ決めれば良い申請もありますので、そういうものは後回しにします。

 

最終的には税務申告の体制を整えることを目標にします。

懇意にしている税理士の先生を紹介したりすることもあります。
税務申告と日ごろの経理処理との分担をどうするかを決めます。
私自身も必要に応じ、業務として記帳代行、給与計算等にかかわることもあります。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

法人設立ワンストップサービスについて(その6) ~法人の設立について②~気を付けるべき点

2023.09.15更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

定款を作成するときによく考えておくべきことがあります。
資本金額  1000万円未満にするか以上にするか。

      税制が変わります。

会社名   これは発起人によく考えていただきます。
本店    物件を借りられないといけませんが、

      家主さんに承諾してもらう必要もあります。 
事業の内容 大事なところを入れ込んでいただければ、

      あとは関連する事業を入れ込んで
      いく感じです。許認可が必要な事業については

      慎重に内容を決めなければなりません。
発起人の数
取締役人数
機関構成  取締役会や監査役を設置するかどうか。
任期    何年にするか。
決算期   初年度を何月何日までにするか。

 

ここでは、実に重要なことを決めています。
実務上はイメージ先行で、

あっけなく決まってしまうことが多いです。
最初から念入りに考えることは実は難しいからです。
業務上よく用いるひな形のフォーマットにあてこもうとすれば、

いくらでも簡単に作成することが可能です。

あまりよく考えないまま作成してしまうこともあり得るところです。

 

設立は、その気になれば思い立ってから1週間くらいで登記申請まで済ませてしまうことができます。

そのため、逆に拙速にやり過ぎて、後で何かを修正するのに苦労してしまうことがあります。
専門家が関わるときは、きちんと相談のプロセスを外さないで進めていく必要があります。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

法人設立ワンストップサービスについて(その5) ~法人の設立について①~手続

2023.09.12更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

法人の設立について、最も単純な事例を念頭において書いてみます。
個々の事例に適用できるかどうかについては、個別の状況により異なります。

 

会社を設立したいという依頼を受ける場合で最も多いのは、個人事業として事業を営んでいるが、信用を付けるために会社をつくりたい、という場合です。このような場合は、事業者としての能力見識が備わっている場合が多いです。

そうでない場合もあります。やむにやまれず会社を設立する、ということもあり得ます。
この場合は、登記業務とは別のアドバイスと並行しながら物事を進めることになります。取引先になろうとしている関係者がいれば、それらの方々に対する説明の方法も一緒に考えることがあります。最初から他者の信頼を得るのは難しいことです。どのような理念、ものの考え方を持つべきかを何か月も議論することもあります。実は、この作り上げる相談のプロセスが最も労力のかかるところです。これに比べれば設立手続は形式的なものに過ぎません。

 

会社の設立については、発起設立、募集設立とあります。
多くの場合発起設立を選択します。
また、多くの場合、株式会社、合同会社を選択します。

 

株式会社の場合、事務は以下のとおりです。
1 最初の準備
 ・商号(会社名)を決めます。

 ・想定している本店所在地を決めます。
  本店所在地を決める際に、物件確保のめどが立っている必要が

  あります。一つの知恵の使いどころかもしれません。
 ・商号と本店所在地が決まった後に、商号調査をします。

 ・印鑑セットを作成します。

  インターネット等で頼むこともできます。

  法務局登録印(実印)、銀行取引印、角印、ゴム印     

  などを作成します。
 ・発起人の印鑑証明書を用意していただきます。
 ・定款を作成します。公証人の認証を取得しますが、

  公証役場には、「実質的支配者申告書」を持参します。
2 公証人の認証
 ・公証人に定款認証をしていただきます。
3 法務局での登記申請
 ・発起人が発起人名義の銀行預金口座宛に出資金額を

  払い込みます。
 ・登記申請書その他の添付書類を作成し提出します。
 ・印鑑届書を提出します。
 ・会社設立後、印鑑カード交付申請をおこないます。

  そして履歴事項全部証明書や印鑑証明書を数通取得します。
  

なるべくオンラインで申請しようとする場合には、電子定款認証、法務局ではオンライン申請(特例方式)を利用します。

費用は、大きいものは定款認証費用で5万円+α(紙定款の場合は、収入印紙4万円別途)、登記申請時の登録免許税が最低15万円となります。専門家費用(弁護士等に依頼する場合の費用)が概ね10万円(消費税別途)となります。専門家に頼まない場合でも20数万円台、専門家に頼む場合には30数万円程度を必要とします。

 

必要に応じて、商業登記電子証明書の申請をすることがありますが、別の機会に書きます

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

法人設立ワンストップサービスについて(その4) ~目的は戦略の提案

2023.09.11更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

法人設立ワンストップサービスに弁護士が関わることの意味について書いていきます。

 

私はワンストップサービスに関わろうと本格的に考えた理由は、会社の運営のインフラ、仕組みそのものについて熟知し実践していきたいと考えたからです。

 

あるクライアントの方で、非常に小さい事業体ですが、営業能力、業務遂行能力は尋常でなく、しかし書類の整理が非常に苦手な方がおられました。
設立登記のお手伝いをして終わりかと思いましたが、そのまま放置するとペーパーワークで不利益を被ってしまう気がしました。諸々お手伝いに引きずり込まれました。
従業員がいない状況でもどうしても避けられないのは、税務署への届出、日本年金機構年金事務所への届出…などです。

とりあえず原稿くらいはご本人のために書いて差し上げることはできるのでそれをやっても、郵便は本店所在地に届き、ご本人は業務に忙しく受け取ることができず、書類手続が滞る…ということで埒があかない。
取り急ぎ制度を調べ、税理士法51条通知、社会保険労務士登録をすることにしました。

 

これらの業務に関わり始めると、日ごろの事務体制とシステムの構築が、どれだけ強い意味を持ち、会社の経営戦略にどれだけ大きな影響を与えるかが、身をもって実感できるようになりました。

大事なことは、会社の仕組みを最も深く理解する立場に立って経営者に対するサービスを提供することにあると考えています。
個々の士業の領域を自分がおこなうこと自体には、それほど重要な意味はありません。まず、私自身についていえば、法人税申告をするだけの能力は今のところありません。あるいは、仮に全般の能力を備えていたとしても、会社が順調に大きくなるにつれて、総務、財務、人事などの事務業務全般を抱えきることは難しくなります。中核となる人物に無理矢理なろうとしても、私自身にもしものことが起こった場合、お客様には大きな迷惑をかけることになります。
注意を払いながら徐々に分担を実現させていかなければなりません。
しかし、正直不得意な分野であっても、要点だけでも良いので、全体像の大事なところを把握していたほうがよいのも確かです。そうしないと経営者に対する適切なサービスを提供することはできません。バックオフィス機能を実際に踏まえたうえで、戦略を提案するインフラとなることが私にとっての目的となります。1つ1つの専門的業務の難易度を判断することができるようになります。それらの業務を事務分配することもできるようになります。それを繰り返すことにより、お客様にも自分自身にも、さらに新しい課題が見えてきます。そこで新しい分野を勉強していくことになります。その繰り返しです。まだ途中ではありますが、一生退屈しない仕事を繰り返すことができるだろうという希望を持っております。

 

次回からは、法人設立ワンストップサービスについて、時系列で書いていきます。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

法人設立ワンストップサービスについて(その3) ~法人設立ワンストップサービスに関わる専門家について

2023.09.10更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

法人設立ワンストップサービスに関与する専門家について

書いていきます。

 

法人設立に関与する専門家は、

日本の制度においては分断されています。
一般には以下のように言われています。
 ・定款認証…行政書士か司法書士
 ・設立登記申請…司法書士
 ・税務届出…税理士
 ・労働保険と社会保険…社会保険労務士

 

弁護士がこれらに関わることは、ほとんどないように感じます。
そのため、弁護士はこれらの周りの事象について、意外と知らないことが多いです。
実際に、私自身も登記事務に関与し始めるようになったのは、登録から15年後くらいのことです。法律事務所によって違うのだろうと思いますが、おおむね餅は餅屋、ということで、そもそも他士業の分野には一切関与しないことが多かったと思います。

 

法人設立に限らず、ワンストップサービスに関する考え方については、さまざまな考え方があり得ます。法律事務所のホームページなどを見ると、いくつかの考え方があり得ます。
「司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士の先生と

提携しています。」
「事務所外専門家と連携しています。」
「事務所内専門家と連携しています。」
「あえて一切やらないようにしています。」
すべてあり得る考え方であり、全く間違っていないと思います。
法律事務所なり士業事務所の体制、経営戦略や

考え方次第のところです。

 

ただし、実際に個々の事例に接してみると、

どの方法にも欠点があるように思います。
まずどうしても避けがたいことは、専門家が別々であることを原則とする場合、人間関係上の気遣いが必ず発生します。このことは、事務所外であれ、事務所内であれ、変わりません。あの先生にとっては手弁当に近い仕事ではないか、あの先生はクライアントとウマが合うか、報酬の分配はどうしようか…、など。これは意外と骨の折れることです。
クライアントにとってみれば、何度もいろいろな先生に説明するのは大変だ、というような感情も生まれるように思います。これも意外と馬鹿になりません。

 

弁護士は、弁護士の職名において登記申請業務に関与することができ、国税局長に通知すれば管轄内において税理士業務をおこなうことができ(税理士法51条通知)、社会保険労務士会に登録すれば社会保険労務士業務をおこなうことができます(社会保険労務士法3条2項)。つまり、本来は、弁護士は法人設立ワンストップサービスのすべてに関わることができます。この長所を生かさないのはもったいないです。一般に広がっているイメージとはだいぶ異なる話を書いていると思います。

 

次回は、弁護士(というよりも私)がワンストップサービスに関わることの意味について書いていきます。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

法人設立ワンストップサービスについて(その2) ~法人設立ワンストップサービスとは

2023.09.09更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

前回に続き、そもそも法人設立ワンストップサービスとは

何かを書いていきます。

 

法人設立ワンストップサービスについて、

国税庁は以下のように説明しています。
「これまで法人を設立する際には、設立届出書の提出のような複数の各種手続を行政機関毎にそれぞれ個別に行う必要がありました。「法人設立ワンストップサービス」では、マイナポータルという一つのオンラインサービスを利用して、これらの一連の手続を一度で行うことができるようになります。」(以下HPより転載)
法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました|国税庁 (nta.go.jp)

マイナポータルのホームページもつくられています。
サービストップ | 法人設立ワンストップサービス (myna.go.jp)

 

会社設立に必要なもろもろの手続を、マイナポータルを通じ、

オンラインでまとめて手続きすることができる仕組みです。
簡略化して書くとこんな感じです。

 

まず設立のため、下記のとおり各所に届出をします。

公証役場        定款認証

法務局         設立登記の申請、

            商業登記電子証明書の申請…
税務署         法人設立、給与支払事務所、

            青色申告承認、源泉所得税納期特例承認、

            消費税課税事業者選択届出、

            適格請求書発行事業者登録申請…その他
都道府県市町村役場   法人設立・設置届…
日本年金機構年金事務所 健康保険・厚生年金保険新規適用届…
労働基準監督署     保険関係成立届、適用事業報告…
公共職業安定所     雇用保険事業所設置届出、

            雇用保険被保険者資格取得届…

 

このワンストップサービスの取り組みはもちろん素晴らしいものだと思います。しかし難点があります。

 

まず、会社法、税法、労働社会保険法令などの法制度の知識が必要です。これについては、ある程度インターネットなどの情報を入手し、役所の窓口に聞いてまわれば、何とかこなすことができます。費用を安く済ませることを優先しようとする場合にはそれがお勧めです。

 

しかし、書面申請によらずに全部の申請についてITを活用しようとなると話は別です。
電子署名が必要なので、マイナンバーカードが必要になります。
このほか、読取機器などをそろえる必要があります。
ICカードリーダー・Adobe Acrobatの有料ソフト。

 

そして、システムを構築し、個々の入力については仕様書に書かれた仕様に適した入力をする必要があります。実際にやってみれば思い知らされますが、これは最初は非常に難しいところです。最初だと歯が立たないのではないかと思います。
結局、これらを全部当事者ご本人がやるのはほとんど現実味がないだろうと思います。

 

専門家についていうと、資格を一つ一つ取得していけば別ですが、これらに全て対応できる資格は、実のところ弁護士だけだと思われます。

 

日を改めて続きを書いていきます。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

法人設立ワンストップサービスについて(その1)~法人設立ワンストップサービスをはじめた理由

2023.09.08更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

最近、法人設立ワンストップサービスに本格的に力を入れ始めるようになりました。しばらくの間、法人設立ワンストップサービスについて書いていきます。

 

私が法人設立ワンストップサービスに取り掛かり始めた最初のきっかけは、5年くらい前のことでした。あるクライアントの方から、不意に、以下のような話を言われ、設立登記を依頼されました。
「野澤先生(=私)が見込みのある事業者の法人設立登記から会社に関与して、一番会社をよく知る専門家として活躍していくことは良いビジネスモデルではないか。」

 

あまり考えたことがない話でした。

確かにその通りだと直感的に思いました。

 

しかし、その時点では、具体的に何を行えばよいのか、

あまりピンと来ていないというのが正直なところでした。

 

それでもお話がある以上、機会があれば1つずつ実践してみることとしました。山ほどハードルがありましたが、1つ1つきちんと調べていけば少しずつクリアしていくことができました。
この助言は非常に先見性に優れていたということを実感しています。

 

そこで、しばらくワンストップサービスと弁護士の関わりについて

書いていこうと思います。

 

反面、私のような一介の士業がコストをかけないでワンストップサービスの仕組みを推し進めるには、システムの理解に乏しいこともあり、非常に多くのハードルがありました。だいぶ克服してはいますが、まだ途上です。その顛末について、弁護士ブログのほうに書いていきたいと思います。

 

法人設立ワンストップサービス」についてのその他の関連ブログはこちら

法人設立ワンストップサービスについて(その2)

 

 

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

企業法務/事業承継(3)相続人に事業を継がせる場合~民法の活用(生前贈与、遺言など)

2016.04.14更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

相続人が事業を引継ぐ場合の、

法制度面で考慮すべき要素を挙げていきます。

いろいろな領域が複雑に絡み合うところですが、法の分野ごとに分け、

具体的には民法分野を最初に書きます。

 

1 遺言書


 

 

民法の活用の領域は、多くの範囲において、相続対策と重なります。

もっとも大事なことは、相続人の誰を後継者とし、

その後継者の持株数を何株にするかをできる限り確定しておくことです。

大事なことは、遺言書を用意しておくことであり、

後で疑義を遺さないようにするためには、

公正証書遺言を遺すことが最も望ましいです。

 

公正証書遺言の文案は弁護士が作成することが望ましいです。

誰々に何を相続させる、という簡単な内容でも構いませんが、

なぜそのような遺言を遺すのか、

簡潔にして要点を射た言及をしておくべきだと考えています。

生前の意思が明確になるよう事実を積み重ねて

事実に忠実な表現を用いれば後世にまで残る文書となります。

 

相続開始後に相続人間で紛議が生じたときに、

株式買取価格決定、株主代表訴訟など、派生的に紛争が発生し、

紛争の存在により、会社の運営に支障を来すことがあります。

そのときに、創業者がこのようなことを考えていた、という、

確実な証拠を遺すことは有意義です。

非公開会社の会社訴訟・非訟については、他の紛争類型と比べて、

裁判所は、和解による解決を当事者に求める割合が高いです。

創業者のメッセージが、後継者側が和解を求める際の、

格好の材料となることもあるかもしれません。

 

2 遺留分の考慮


 

遺言を作成する際には相続人候補者を確定します。

後継者ではない相続人にも遺留分があります。

遺留分の制約の範囲を考慮しながら、

財産の移転の方針を決定しなければなりません。

後継者でない相続人候補者に対して十分な財産を渡して、

被相続人の生前に遺留分を放棄していただくという方法もあります。

(家庭裁判所の許可を得る必要あり)

 

3 生前贈与


 

相続開始時に株式の相続が決まっておらず、

遺産分割紛争が生じると、持株数が流動的となり、

株主総会の開催に支障を来します。

後継者に対し、相続開始前に持株を移転し、

生前贈与を活用することがもっとも確実です。

 

後継者が生前贈与を受けた場合には、特別受益の問題が発生します。

被相続人が遺言にて特別受益の持戻し免除の意思表示をしておくとよいです。

 

ただし、生前贈与の贈与税率が高いという欠点があり、

贈与税に対する手当てが必要となります。

買取による場合には、買取資金をどのように工面するかについて、

検討が必要です。 

 

 

いろいろな局面において税務との連携が必須となります。

次は税務について書いてみます。

 

 

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■「企業法務/事業承継」についてのその他の関連ブログはこちら

企業法務/事業承継(1)

企業法務/事業承継(2)

 

 

 

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企業法務/事業承継(2)事業を継がせる後継者の選定、ナンバー2・・の選定の方針

2016.04.13更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

事業承継に関し、後継者などの選定について書いてみます。

 

1 事業承継の最大の悩み事は後継者


 

事業承継の段取り、手続きについては、専門家に任せればよいことです。

むしろ、経営者の最大の悩みどころは、

誰に事業を引き継がせるか、

どのように引き継がせるかという点にあります。

 

困った経営者の方々が専門家にアドバイスを求めても

それは経営者が決めることだ、というスタンスを

取られたりすることもあるでしょう。

理屈は正しいかも知れませんが、何のためにあなたがいるんですか、

という思いを拭えないこともあるのではないかと推察します。

専門家は、実行以前の段階から悩みに真摯に向き合う必要があります。

 

2  後継者を指名する仕組み


 

客観的な立場、しがらみの薄い立場からみていくと、

上下関係からは見えてこない後継者の長所、短所が見えてくることもあります。

会社法上の委員会設置会社には、

取締役等の指名委員会という機関が存在します。

法制度上の根拠を持たなくとも、

契約や慣習を根拠として、類似の制度を創ることは十分に可能です。

指名する機関を創りたいから委員会設置会社を創る、と、

直ちに結びつけるのは飛躍だと思います。

 

専門家自身が権力化してしまわないよう、

人選等にも気をつけなければなりませんし、

外部関係者としての客観性を保ち続ける心遣いを

持ち続けなければなりません。

しかし、意見を求められたら

説得的な意見を言える程度にはみておかなければなりません。

外部専門家

(弁護士のみならず、コンサルタントなどにおいても同様)にとって、

難しいさじ加減が要求されるところです。

 

3 後継者を補佐する仕組み


 

ファミリー企業に親族が務められている場合は、

後継者は概ね決まっていることが多いです。

創業者のパフォーマンスを横に見ながら後継体制を構築していきます。

成功した中小企業の経営者は、圧倒的なパフォーマンスを有しています。

トップが圧倒的なパフォーマンスを持っていると、

事業の引継ぎ前に、後継者が、

独自のパフォーマンスを発揮することは、簡単ではありません。

ある程度仕方がないことです。

サポートする腹心を含めて体制を構築することが重要です。

どのような腹心を置いて乗り切るか、ナンバー2、3・・・と考えていき、

管理職にいたるまで、組織を構築する提案を行います。

 

ここで重要なことは、

耳の痛いことを言える人がいること、のように思います。

歯止めになる人がいない場合、少しずつ組織の歯車が狂います。

いざとなれば歯止めになる人をどこから確保するかについて、

事業承継の準備段階から考案しておく必要があります。

古参幹部に引き続き働いてもらうようにお願いすることも選択肢です。

社内の人材に適任者がいればよいですが、

存在しないことも多いと思われます。

社内にいなければ外部から招聘できるか否かを検討し、

待遇がネックになるようであれば改善を提案します。

 

4 人間を観察し、信頼関係構築の橋渡しをする


 

 

後継者、これを補佐するナンバー2、3・・・を選定していく際には、

関係者を絶えず観察し、コミュニケーションをとり、

創業者と後継者の信頼関係の構築の橋渡しをすることも重要です。

 

後継者と思い定めた人が、ふとしたきっかけで、

態度を豹変させることはあり得ます。

そのような場合には、信頼できる関係者を増やしておくことが、

事業承継のリスク軽減に役立ちます。

何かトラブルのタネがあったとしても、

あの人に迷惑を掛けるから裏切れないな、

と後継者に思わせるような専門家がいることは、

トラブルの防止に役立つことと思います。

 

書き尽くせない話ですが、この程度にしておきます。

 

 

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企業法務/事業承継(1)

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企業法務/事業承継(1)事業承継の業務の手順

2016.04.12更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

ベンチャーについて何度かにわたり、ブログを書いてきましたが、

次に、既存の事業の引継ぎである、

事業承継について書いてみたいと思います。

事業承継は、本来の創業に次ぐ、

第2、第3の創業を成し遂げる機会です。

ベンチャー支援のあり方と相通じるところもあり、

ベンチャーに関するブログの余勢を駆って書いています。

 

1 事業承継対策の手順


 

 

事業承継対策で踏まえるべき手順は概ね以下のとおりです。

事業承継対策の具体的内容は次回以降に書きます。

 

・前提事実、現状の確認

(経営資源、資産、負債、後継者候補、相続関係等)

・方針の決定(複数の案の策定、検討)

・後継者の確定

・実施するプランの決定

・事業引継ぎの実行

 

プランを決めるまでも大変ですが、

実際に事業引継ぎを実行するプロセスにも相当の時間がかかります。

不測の事態が起き、前提事実が変更された場合は、

最初からプランを練り直して修正することになります。

 

全ての段階で、税務、法律の分野で連携をとりながら、

プランニング・モニタリングをする必要があります。

税負担などの資金需要が発生することもあり、

引継ぎを一挙に実現することができない場合もあります。

地道に着実に準備をしていかなければなりません。

逆に言えば、時間を掛けて立案することができる、

という特徴があります。

瞬発力はあまり必要ありません。

この点は、ベンチャーの場合とは異なります。

 

2 事業承継事案に関する弁護士の関与のしかた


 

 

最初の前提事実の確認、現状の確認、方針の決定が最も重要です。

 

また、弁護士が、税務、ビジネスと円滑に連携し、

根回し、コミュニケーション、

信頼関係の醸成にも努めなければなりません。

法務は弁護士に任せてください、

というスタンスだけではうまくいきません。

もろもろの事柄に主体的に関与する専門家が求められていると思います。

 

事業承継に関する解説書を読むと、

ビジネス面の記載の比重の置き方が薄いように思います。

どうしても、事業承継の法務、税務に関する手続き論に、

比重が置かれてしまっているように思います。

 

しかし、誰に事業を継がせるか、どのような体制を構築するかが、

最も難しい考慮要素であり、

そこに莫大なエネルギーを費やすことは疑いようもありません。

誰を後継者にするのか、という点について、経営者の方々が、

深く悩まれていることも疑いようもありません。

後継者の選定に関する悩み事についても、

時間を掛けながら話を聞き、ともに解決していく姿勢が必要です。

後継は自分で決めてくれ、という態度で突き放してしまうのであれば、

専門家の存在意義は薄いように思います。

 

解説本に悪意があるわけではありませんが、

専門家が、解説書のページの割き方にとらわれると、

自分の立ち位置を間違えてしまう可能性があります。

最も記載が薄い理由は、最も説明が難しく、

骨の折れることだからです。

 

事業承継協議会・事業承継ガイドライン検討委員会が策定した、

事業承継ガイドラインなどを参照すると、

比重の置き方が適切だな、という気がします。

 

専門家はともかく、問題意識をお持ちの方は、

最初にこれを読むと良いと思います。

 

3 付随業務の発生


 

 

事業承継を検討することと並行して、

この際、社内の体制をしっかり整備して欲しい、

という依頼を受けることがあります。

 

具体的には、組織、社内規程、各種契約書の点検・整備などです。

そのような依頼があればお請けすることはもちろんのことです。

さらに、法律、税務、などの分野を問わず、

とにかく相談があるので、聞いてほしい。

というケースもあります。

ご要望があれば、そのようなお話もお聞きすることとなります。

とにかく、時間がかかっても信頼関係を構築することが重要です。

特に用件がなくとも顔を出すことなどが重要な分野でもあります。

既存の業務にとらわれない柔軟な姿勢が必要であると考えています。 

 

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