法人設立ワンストップサービスについて(その4) ~目的は戦略の提案
2023.09.11更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、
野澤吉太郎です。
法人設立ワンストップサービスに弁護士が関わることの意味について書いていきます。
私はワンストップサービスに関わろうと本格的に考えた理由は、会社の運営のインフラ、仕組みそのものについて熟知し実践していきたいと考えたからです。
あるクライアントの方で、非常に小さい事業体ですが、営業能力、業務遂行能力は尋常でなく、しかし書類の整理が非常に苦手な方がおられました。
設立登記のお手伝いをして終わりかと思いましたが、そのまま放置するとペーパーワークで不利益を被ってしまう気がしました。諸々お手伝いに引きずり込まれました。
従業員がいない状況でもどうしても避けられないのは、税務署への届出、日本年金機構年金事務所への届出…などです。
とりあえず原稿くらいはご本人のために書いて差し上げることはできるのでそれをやっても、郵便は本店所在地に届き、ご本人は業務に忙しく受け取ることができず、書類手続が滞る…ということで埒があかない。
取り急ぎ制度を調べ、税理士法51条通知、社会保険労務士登録をすることにしました。
これらの業務に関わり始めると、日ごろの事務体制とシステムの構築が、どれだけ強い意味を持ち、会社の経営戦略にどれだけ大きな影響を与えるかが、身をもって実感できるようになりました。
大事なことは、会社の仕組みを最も深く理解する立場に立って経営者に対するサービスを提供することにあると考えています。
個々の士業の領域を自分がおこなうこと自体には、それほど重要な意味はありません。まず、私自身についていえば、法人税申告をするだけの能力は今のところありません。あるいは、仮に全般の能力を備えていたとしても、会社が順調に大きくなるにつれて、総務、財務、人事などの事務業務全般を抱えきることは難しくなります。中核となる人物に無理矢理なろうとしても、私自身にもしものことが起こった場合、お客様には大きな迷惑をかけることになります。
注意を払いながら徐々に分担を実現させていかなければなりません。
しかし、正直不得意な分野であっても、要点だけでも良いので、全体像の大事なところを把握していたほうがよいのも確かです。そうしないと経営者に対する適切なサービスを提供することはできません。バックオフィス機能を実際に踏まえたうえで、戦略を提案するインフラとなることが私にとっての目的となります。1つ1つの専門的業務の難易度を判断することができるようになります。それらの業務を事務分配することもできるようになります。それを繰り返すことにより、お客様にも自分自身にも、さらに新しい課題が見えてきます。そこで新しい分野を勉強していくことになります。その繰り返しです。まだ途中ではありますが、一生退屈しない仕事を繰り返すことができるだろうという希望を持っております。
次回からは、法人設立ワンストップサービスについて、時系列で書いていきます。
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