企業法務(10)法務部の組織構築
2016.02.12更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
最後に、それらの法務を統合した組織(または機能)である、
法務部の構築について書いていきます。
1 法務部または法務機能
今後の会社の法務活動においては、臨床、予防、戦略の各領域を、
バランスよく遂行していくことが必要となることは間違いありません。
予算管理等を行いながら、
部員のスキルを向上させることも職務になります。
当然ながら、難しい側面がたくさんあります。
戦略法務自体が
最近になってクローズアップされ始めた活動であるため、
自社の置かれた現在の環境に合わせて
職務を再定義する必要があります。
他部署との業務分掌の境界を再検討、
再構築しなければならない場合もあると思われます。
上場企業などの大きな会社では法務部が存在することがありますが、
既存の法務部でも、
能動的・積極的業務にどの程度関わってきたかは千差万別であり、
職務の再定義の難しさは、
法務部が存在しない(機能だけ存在する)場合とは
違った難しさがあるように思います。
法務部の有り無しにかかわらず、法務機能を構築する業務は、
非常に裾野の広い業務だと思われます。
2 法務部の構築に関する弁護士の関与
法務部の構築まで至ると、一部の企業内弁護士の方を除き、
弁護士が関与している例をあまり聞いたことがありません。
おそらく、前例はかなり少ないのではないかと思われます。
法務戦略構築のためには、
戦略法務までを体感的に理解する必要があり、
経営についても深く観察しなければなりません。
私自身は、法務機能の構築をミッションとしうる案件を抱えています。
非常に稀有なことだと思っています。
創意工夫を凝らし、覚悟をもって職務に邁進し、
貢献していきたいと思います。
弁護士が法務部の構築業務に関与することにより、
臨床法務、予防法務などの領域において、
外部弁護士と法務部員の間で個々に構築したノウハウを、
組織全体に還元していくことが、
初めて可能になるのではないかと思っています。
3 文献など
他部署との職務分掌、人員構成、割り振り、
同部署内での業務分担等についての研究は、
ほとんど進んでいないように思います。
瀧川英雄先生の
「スキルアップのための企業法務のセオリー」
「レベルアップをめざす企業法務のセオリー 応用編」
(いずれもレクシスネクシス・ジャパン)
が非常に参考になるので、読みながらいろいろと考えています。
書いてあることは、弁護士にとっては非常に常識的で、
スッと腑に落ちるものなので、読み進めることはできます。
ではいまの自分が同じ文章を書き進められるか?
と言われると、到底無理です。
専門化、分化が進みすぎた時代において、本当に必要なことは、
ジェネラルな暗黙知をマニュアル化することだに思います。
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