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企業法務(9)法務の役割~戦略法務

2016.02.11更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

法務の役割のうち、予防法務について書いてきましたので、

次に、戦略法務について思うところを書いていきます。 

 

1 戦略法務


 

 

私なりの理解ですが、戦略法務とは、法務の側から積極的に意見を述べ、

経営管理、経営戦略の策定のために助力する活動を指すと思われます。

相談の有り無しにかかわらず、

能動的、積極的に法務の側面から経営に対する意見を述べるものです。

 

グローバル化、ITの発展などにより、

時代の変化のスピードが著しくなっています。

個々の専門的知見を統合的に活用して、

要するに、どのような戦略を採るべきか?を探求する活動として、

戦略法務の重要性は増しているように思います。

 

2 弁護士の関与の薄さ


 

 

この分野に進出している弁護士は非常に少ないと思われます。

 

M&A,海外取引などの重大案件では、

大規模な法律事務所を活用することもあります。

しかし、弁護士費用が高騰し、

日常的に依頼することは難しいこともあります。

 

弁護士数の増加により、企業内弁護士が相当に増えていますが、

まだ数が足りないような気がします。

企業内弁護士のニーズも一巡した、という声も聞こえてきますが、

仮にそうだとすると、いまだに、戦略法務の領域では、

弁護士が十分に活用されていないことを意味するように思います。

さらに、法務部門に限らず、

内部監査、経営戦略等の部門でも、活用されるべき領域、

言い換えれば、

弁護士がニーズに応えなければならない領域は

もっと多く存在していると考えています。

 

3 戦略法務が分からなければ予防法務も(臨床法務も)分からない。


 

 

臨床法務が分からないと、

どういうトラブルがあるかを説得的に説明できず、

予防法務、戦略法務も十分にこなせませんが、

同様に、戦略法務が分からないと、

経営の観点からみた対処方針が分からなくなるため、

予防法務、臨床法務も十分にこなせなくなるように思います。

 

社会の耳目を集めた裁判等で、

社外の目をほとんど気にせずに徹底的に争う事例を聴くことがあります。

ときに徹底的に争うことも必要ですが、

経営の観点からは、それを控えたほうが良い場合もあると思われます。

ミクロを見るだけではダメで、

ミクロもマクロも両方とも見なければなりません。

臨床法務、予防法務、戦略法務を

厳然と分けられたものとしてとらえるのではなく、

複眼的思考を徹底し、

統合的に把握していくことが必要だと考えています。

 

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