債権回収の方法(3)法的手続きの選択のポイント
2015.10.26更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で主に城北エリアを中心に
弁護士活動をしております、野澤吉太郎です。
少し間が空いてしまいましたが、続きを書きたいと思います。
1 回収可能性がなくとも法的手続きを選択する場合
前回、回収可能性があることを原則論に据えるべきと書きましたが、
回収可能性を度外視して、
法的手続きをとるべき事例もあると考えています。
私が弁護士になりたてのころは、
金融機関は不良債権を早期に処理する必要があり、
そのために、貸金請求訴訟などをはじめとして、
もろもろの法的手続きをとっていました。
金融機関の存立基盤を固めるために
裁判などを提起し続けることが必要とされていたのかもしれませんが、
ひととおり不良債権の処理が終わり、
中小企業金融円滑化法の時代が到来してからは、
これらの流れは過去のものになりかけているように思います。
現在のご時世で、回収可能性がなくても、
法的手続きを取るべきだと私自身が考えるのは、
債権者のシステムを悪用したり、債権者に難癖をつけたりして
債務を免れようとする場合のように、
放置しておくと債権者のビジネスモデルを維持することが
困難になったり、対外的、対内的に示しがつかなくなる場合です。
2 回収可能性がない場合に説明すべき事情
事案をお聞きした後に、回収可能性は高くなくても、
訴訟を起こすべきだと提案する場合には、
私は、ご依頼者に対し、未収債権を放置しておくと、
ビジネスモデルへにこれこれの悪影響が及ぶ、という点を、
きちんと説明していくように心がけています。
その議論には、多くの場合、経営判断が絡むことになりますので、
弁護士の側にも債権者のビジネスに対する理解が必要になります。
弁護士の側も勉強をしなければならず、
それはそれで大変だな、と思うこともあります。
しかし、回収可能性とビジネスモデルに関する議論をないがしろにして、
弁護士に報酬を支払ったのに、
蓋を開けてみれば、回収はできませんでした、ということになると、
ご依頼者のご要望に応えられないことになります。
回収のアテがないのであれば、そのリスクも説明し、
それでも法的手続きを取るべき理由を、
ご依頼者にきちんと説明できる実力を持つことが、
これからの弁護士に求められているのだと思います。
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野澤吉太郎法律事務所
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