企業法務(5)企業法務と労働問題
2015.12.18更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
これまで会社法務、ビジネス法務について書いてきたので、
労使紛争の処理と企業法務の関係について
考えるところを書きたいと思います。
1 労使紛争の処理
労働問題が紛争として顕在化した後であれば、
使用者側弁護士は、徹底的に事案を調査し、
お客様である会社の利益を反映した主張を構成し、
労働者側の主張に堂々と反論することになります。
それが課せられた職務です。
労働審判は速やかに審判が下される手続きですが、
私は、労働審判の申立てを受けた場合であっても、
原則として訴訟に移行する覚悟を決めて臨んでいます。
解決金が比較的安く、受け入れたほうが良い場合などに、
和解を受諾することはありますが。
そのように徹底的に職務遂行していると、
会社側において将来改善すべき点が
弁護士の視点から見えてくることもあります。
会社側の方々にも、相応に主張を重ねた後には、
和解に応じても良いという機運が醸成されることもあります。
そのタイミングで、この労使紛争から、教訓として何を見いだすか、
を検証することは、大事なことです。
2 労働問題も企業法務の分野の1つでは?
法律的に非があるかどうかは別として、ビジネスの遂行上、
どこかに問題点があるからこそ、労働問題が発生するように思います。
そして、問題点を克服するに先立って、
組織構成、内部統制などの問題をあわせて検討しなければならないため、
検討内容は、事案によって程度の差こそありますが、
企業法務の分野に移行します。
労働者が職務を忠実に遂行してくれない限り
会社の事業を継続することはできません。
労働者の処遇の問題は、企業で取り扱う法務問題の重要な部分であって、
労働問題も企業法務の一部としてとらえるべきではないかと思います。
それぞれが専門化しすぎて、連携が取れないと、
反省材料を生かせないことになり、
また同じような問題が起こってしまうのではないかと思います。
3 個性的な労働者
もちろん、 会社の中には個性的な労働者もおり、
(労働問題の当事者となる従業員はたいてい個性的です)
権利だけを振りかざす自分勝手な人もいます。
ほとんど会社に非がないのに、
不可避的に労働問題が発生する場合があります。
その場合には、採用するときにどういう雇用契約書を交わしたのか、
就業規則の定め方、指揮監督は適切であったか、
という労働法プロパーの問題を検討するとともに、
なぜその人を採用するに至ったのか、という、
人事政策に絡む反省点を見いだすことになります。
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