弁護士とコンサルタント(5)弁護士業務の難しさ、コンサルティングの難しさ
2015.10.31更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
今回は、弁護士の視点の立て方と
コンサルタントの視点の立て方の難しさの違いについて書きたいと思います。
1 弁護士業務の難しさ
例えば、訴訟の原告は、事実関係の取捨選択をして、
何を訴訟物とするかを選択することになりますので、
代理人弁護士は、その選定について創意工夫を凝らすことが必要ですが、
無数に選択肢があるわけではないので、取捨選択が異常に難しい、
ということはあまり感じません。
訴状の提出の段階で、概ね、審判の対象は設定されており、
その後は、一定のテーマの枠をあまり外れることなく、
必要な業務を行います。
原告被告を問わず、非常に細部にわたるまで事実の把握、
証拠の確保に努め、主張立証を行うことになります。
細部の事実を究明することは、非常に大切なことであり、
また、非常に労力のかかることでもあり、
日々難しさを痛感します。
書面を起案するときには、一点の誤解も招かないよう、
一言一句に神経を使います。
2 コンサルタントの難しさ
コンサルタントにはそれとは別の難しさがあるように思います。
経営課題は無数にあります。その中から問題を選定する際に、
この点を改めれば効率的に経営が改善するのではないか、
という仮説を立て、
統計データなどを参照、活用して説得性を持たせ、
実行してもらう、という段取りを経ます。
この仮説の立て方が格段に難しいところになります。
ここを間違えると、その後どれだけ労力と費用を費やしても、
無意味であればまだいいほうで、
場合によっては有害になることがあります。
問題設定を間違えると、いくら正しい検討過程を経ても、
答えも間違えてしまいます。
テーマの選定を間違えると致命的ですので、
その間違いだけはしないように努めなければなりません。
他方で、仮説の立て方が間違っていなければ、
実行の段取りを適切に組めば良いのであり、
自分が実行することは少ないので、
訴訟ほどには一言一句や一挙一動に神経を遣う必要がありません。
3 両方を見ることの重要性
どちらがより難しいということはなく、
どちらも重要だとしか言いようがありません。
木を見て森を見ず、という言葉がありますが、
木も森も見ないといけない、というのが、実情です。
どちらが必要とされている局面なのかによって、
頭のスイッチを切り替えないといけません。
よほど専門的なことであれば話は別かも知れませんが、
どこの組織の一員の判断だから間違いがない、というような話ではなく。
もっぱら個人の実力にかかってくることのように思います。
弁護士業務でもコンサルタント業務でも、
両方を見ることができるように、
細心の注意を払って仕事をしていきたいと思います。
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