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労働問題(8)労働問題に臨む心構え~企業法務への応用

2015.12.28更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

いくつか具体例を挙げたところで、労働問題に対する心構えについて、

思うところを書いてみたいと思います。

 

1 事実関係の徹底究明が重要であること


 

 

労働事件は、

使用者と労働者との間の長期間の労働関係の集大成として、

発生する紛争です。

当事者の関係が労働者は

1日8時間ほど(残業があればもっと長い)、週5日、

労働力を提供します。

そのような関係が何年、何十年も続きます。

そのような長期間の中で起こった、

トピック的な特定の出来事に執着して、

延々と双方の事実主張、

権利主張を重ねていかなければならないことがあります。

労使間がこじれた場合には、多くの場合、何か特定の原因があります。

 

トピック的な出来事以外にも、

労働者の稼働状況をリアルに再現できるよう、

事情聴取を積み重ねていくことになります。

本当に泥臭い作業の継続です。

離婚訴訟やフランチャイズ訴訟などと似たようなところがあります。

 

一見して使用者側の権利主張が難しい場合であっても、

そのような徹底的な事実究明の中で、

使用者側が、自らにとって有利な主張を見いだせることがあります。

思いがけない視点から、

有利な解決を導き出せることがあることを忘れてはなりません。

 

2 企業法務への応用


 

 

上記の作業は、徹底したヒヤリングを含むものであり、

いわば、労使間のデューディリです。

企業内の人的関係、機能を分析することに応用することができます。

徹底的な事実究明のノウハウを得れば、

企業法務に応用するときにも必ず役に立ちます。

労働法規が多種多様にわたり、専門性が深まっているのは確かです。

そのため、企業法務と労働問題が切り離されて語られがちですが、

本来は、共通の根っこを持っているというべきだと思います。

 

紛争は紛争の枠組みのもとで解決しなければなりません。

しかし、紛争が解決した後は、反省点を活かして、

あるべき労使関係を構築することで、前向きな人事戦略を可能とし、

従業員全体のパフォーマンスを上げることにつなげることも重要です。

個々人の情報発信力が強まり、

これからも労働者の権利が強まっていく傾向は続くと思われます。

企業側も、労働問題を企業法務マターに繋げていく発想が

求められる時代が来ると思います。

 

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