労働問題(10)使用者側弁護士が気をつけるべき点~危機管理
2016.01.01更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
今回は、使用者側弁護士が気をつけるべき点について書きます。
1 必要な強硬策といじめとの境界線
会社が労働者に対して強硬な策をとらざるを得ないことがあります。
この際、使用者側弁護士は、会社が取ろうとしている強硬策が、
客観的な正当性の担保されている強硬策なのか、
単なるいじめ、人権侵害と見えてしまうものなのかについて、
常にチェックを怠らない姿勢が必要だと思います。
社畜のようなマインドを持って職務遂行してしまうと、
処分を職務規律に基づいて客観的に判断することよりも、
特定の人への従属性を重視することに繋がりかねません。
下手をうつと、社会性を失い、いじめに変わってしまいます。
このことは、中小企業であろうが有数の大企業であろうが、
変わりありません。
むしろ、大企業であればあるほど、
使用者側弁護士の仕事のボリュームも大きくなります。
客観性を担保することが難しくなることもあるかも知れません。
会社の一時的な利益を最優先しすぎると、
長い目で見て、会社は衰えていきます。
2 危機管理の視点
~個別労働問題の解決方針が会社の経営に影響を与えかねないこと
個別の労働者に対する対処であっても、一歩間違うと、
インターネット上のいわゆる「炎上」などにより、
会社の存続に深刻な影響を与えることがあります。
労働問題と企業の危機管理の問題との連関が日に日に強まっています。
ブラック企業大賞
などというレッテルを貼ってこられる会社もあるようです。
いわれのない場合もあるかもしれませんが、
会社外の第三者から見れば、
そう言われても仕方がないことも多く見受けられます。
特に人の命や健康など、基本的な人権にかかわることについては、
良心を忘れない業務遂行を心がけることが必要であり、
対処を誤ると、取り返すことが難しくなります。
代理人は、会社の意向を曲げて譲歩するわけにはいきません。
しかし、ロジックを積み重ねながらも、
炎上させない配慮を随所に施す必要性は高まっています。
仕事の仕方が複雑化しています。
他方で、弁護士が自分の意見に固執し、
強硬策を推し進めすぎる場合には、
会社としては注意を払う必要があります。
3 職務規律違反について
他方で、企業秩序紊乱行為や、職務規律違反については、
日本の会社は対処がいささか甘かったのではないかと感じます。
社内で権力をもっている人には強い対処ができないことがあります。
ここで厳然と対処することは、
内部統制違反、企業不祥事の芽を摘むことになります。
今後、職務規律違反について
厳しく対処する方向に舵が切られていくことになると思われます。
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