弁護士業務の新規開拓など(4)~弁護士の増員は弁護士業界の脅威か
2016.02.20更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
弁護士業務の新規開拓の機会と裏腹にある、
弁護士業務についての脅威について試論を書きます。
1 弁護士増員は弁護士業界の脅威か?
弁護士業界にとっての脅威は何かと同業者に聞けば、
十中八九(というよりも99%)の人は、弁護士増員である、
と回答すると思いますし、社会一般の目もそうだと思います。
確かに弁護士が増員したとはいえ、
訴訟事件数等は大して増えてもいないことを考えると、
1つの脅威かも知れません。
しかし、需給バランスによる脅威は弁護士業界に限った話ではなく、
成熟期にある産業では一般的にみられる傾向のように思います。
公認会計士、歯科医師、農業、漁業なども同様か、
それ以上の苦難を味わっていると思われます。
業界が定員に関して議論しているだけでは、
業界団体の意見の域を出ず、
国民の強い理解を得られるとは思われません。
増員は短期的には脅威かも知れません。
しかし、必要に迫られて、
業界全体が新たな分野を徐々に開拓することを促す側面もあり、
それに対する社会の理解も徐々に進んできますので、
長期的にみれば、あながち悪いことばかりではないように思います。
もっとも、あと何年で引退する年齢になるか、
ということも大きいと思います。
あと10年とか15年くらいで引退できる人にとっては、
その後の変化についてはあまり関係がありませんので、
増員は大きな脅威かも知れません。
しかし、中期的な流れとは別に、
長期的な流れも見ていかないといけない世代もいます。
2 本当の脅威は何か
あと30年、40年くらい働かなければならない世代の人にとっての
本当の脅威は、
自分の仕事が人工知能にまるごと代替されることである、
と踏んでいます。
仮にそのようなことが起こったら、増員、減員も関係なく、
業界全体が脅威にさらされることになります。
頭脳労働の専門職で、ノウハウに高い費用を支払っている業種などは、
人工知能により代替されやすいと言われています。
公認会計士などがその例としてあげられていますが、
弁護士もその例から外れるとは思えません。
人工知能が発達すれば、
例えば、準備書面(または事実関係を説明する書面)と、
証拠の記載内容のデータの文脈を読み取り、
過去の膨大な判決を回帰分析等の手法によって
傾向を分析したソフトに入力すれば、
ボタンの一押しで予想される判決が出てくる、
そのような情報が安価に提供される、
などという時代が来るかも知れません。
現にその萌芽は出ているように思います。
インターネット上には
契約書や内容証明郵便の書式、法律相談の問答などがあふれています。
科学技術の飛躍的発達に関するニュースもあふれています。
たとえば無人機がテロリストを爆殺した、
人工知能が将棋、チェスを行っている、
センター試験で何点をとった、などです。
そういう社会が到来しようとしていることを
食い止めることは非常に困難です。
人工知能が発達した社会でどの程度の法曹人口が適正かは、
今後の法曹業務がどのようなものに変貌していくかにかかってくるので、
現在の人口が多すぎるのか、少なすぎるのかは、
何とも言えないところだと感じます。
少なくとも私自身はあと30年から40年は
働かなければならない年齢ですので、
人工知能の発達した社会が到来したときに、
自分自身がこれにどのように対処すべきか、
その中でどのような新規事業を見つけて継続していくか、
などを延々と考えていかなければならないと考えています。
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