弁護士業務の新規開拓など(7)~共感性を示す仕事としての個人の顧問弁護士
2016.02.23更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
人工知能などの活用が業務に織り込まれていく中で、
個人の依頼者のための弁護士業務のあるべき姿も、
徐々に変わってくるように思いますので、少し書いてみたいと思います。
1 共感性の示し方がより重要になるのではないか
私自身も、一般民事業務を扱う中で思うことですが、
法律構成、ロジックの立て方、事実調査などは、
たいていの場合、誠心誠意事案を注視し、
執務を処理していれば、多くの弁護士が取り扱い可能な領域です。
こうした第一の要件を満たした後に、
この人に委任して良かった、この人に出会えてよかった、
と思わせるような要素を付加することが非常に重要です。
他者への共感性が必要な要素を含む業務は、
コンピュータが比較的弱い分野だと思いますので、
この点を深掘していけば、遠い将来においても、
生き残ることができるであろうと推測しています。
共感性をどのように示すかは、
簡単にまとめられる内容ではありませんが、
コミュニケーションの取り方が重要だと思います。
例えば、依頼者の反応が鈍い場合にはどういう対処をすれば良いか。
これまでは威圧的に対処する弁護士もいたと思いますが、
それだけではダメで、どういう行為をすればその人の心に響くかを
研究する必要があるように思います。
守秘義務の問題を考慮しつつ、
ご都合のよい場所に訪問して打ち合わせをする、
法律問題だけにとどまらず、いろいろな悩み事を聞く、
というようなことも重要かと思います。
近くにいる弁護士に相談したい、という要望も強いように思います。
以前は、法律事務所は裁判所に近い場所にある場合が
多かったように思いますが、最近はそうでもありません。
医師、歯科医院の世界でも、
訪問診療をアピールしている医院が出ているようです。
医院に行くと別の病気を移されるかも知れない、
と考えて医院に行くのをためらう、という患者も多いと思います。
地域に根ざした仕事をしつつ、
状況によっては遠方に行くことをいとわず、
対面の仕事に徹底的にこだわることの重要性は、
今後ますます増していくものと思います。
2 個人の顧問弁護士
個人の方が顧問弁護士の依頼を検討することが、
一つのトレンドになりつつあると聞き及んでいます。
特に、後見業務、相続問題などに伴う財産管理は、
個々の行為ごとに法律問題が発生します。
例えばご高齢の依頼者は、
ご自身の生活でも大変な思いをされていることが多く、
他の人に関わる事柄について、
業務を遂行することに非常にしんどい思いをすることが多いです。
その人の置かれた環境について、共感する姿勢を示しながら、
1つ1つアドバイスをし、
その人の業務を手助けすることのできる弁護士の業務分野は、
コンピュータで代替され得ないのではないかと思います。
個人の依頼者が顧問弁護士を付ける場合には、
弁護士の業務は、個別の法律問題に対処することはもちろんですが、
個別の問題の背景にある事情、具体的には、
その人が置かれた環境、人生の希望等をきちんと聴き取り、
時間をかけて最も納得のいく方針を一緒に考えていく、
という内容になります。
法律問題であるか否かにかかわらず、
よき相談相手になることが重要です。
私自身も、個人のお客様に対してそのようなおつきあいができるよう、
研鑽していきたいと思っています。
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