弁護士業務の新規開拓など(5)~人工知能と弁護士業について
2016.02.21更新
東京都豊島区池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリア中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
前回の内容を受け、
人工知能が弁護士業に与える影響の予測について
勝手気ままに試論を書きます。
1 専門性が高いが標準化を目指す作用は人工知能に代替されうるのではないか
数値の分析に関連する仕事はその典型だと思います。
膨大なデータを統計の手法から分析して、
当該事例において出た異常値を分析できる可能性があるからです。
弁護士業においては、
文献・判例の検索、裁判作用などがその典型ではないかと思います。
特に、裁判作用は、経験則に基づいて
標準的な結論を得ることを目指す作用であることをその本質とするため、
主張と証拠の分析の手法を人工知能が身につけてしまえば、
あとは簡単ではないか、という感じがします。
実際に、訴訟実務においては、事案のあらましを聞けば、
大まかな方針を立て、結論の予測を立てることを求められます。
あとは長い時間を掛けて
その結論を得るための主張立証活動を行いますが、
その手間暇を人工知能が代替すれば、
ユーザーはコストを削減することができるかもしれません。
また、文献や判例の検索などは、以前よりもずっと簡単になっています。
分野の種類を書くことは控えますが、
類似案件や文献などをもっぱら深掘りして検索し、
考察することを求められる専門分野は、
長い目で見れば危ないように感じています。
2 代替されない作用は何かの予測
既存業務では、
刑事弁護案件などは現状に近いまま生き残るように思います。
犯罪が劇的に減少することはないでしょうし、
加速度的に氾濫していく情報媒体から
丸ごと遮断されるところにその特色があるからです。
人工知能が弱い分野である、
他者への共感性を強く要求される仕事も同様です。
街弁はその典型だと思われますので、
徹底的に依頼者に寄り添う仕事の仕方をしていくのであれば、
街弁も生き残れるのではないかと踏んでいます。
比較的クリエイティブな作用、例えば契約書の起案なども、
しばらくは大丈夫だと踏んでいます。
契約書の起案などは、突き詰めていくと本当に難しい領域であり、
本当に難しい契約書の起案などについては、
すぐには代替されないのではないかと予測し、
私自身もその種の仕事を敢えて増やしています。
これも、長い目で見れば、どうなるか分からない、
予断を許さない、と感じています。
せめて、私が現役でいる間くらいはもってほしいな、と願っています。
上記を前提と仮定した場合に、
どういう新規事業が伸びてくるかの勝手な試論を
次回から書いてみたいと思います。
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