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不動産事件(4)手付金、違約金をめぐる紛争

2016.03.13更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は手付金、違約金をめぐる紛争について書きます。

 

1 手付金の定めに関する紛争の実例


 

 

不動産売買契約日と代金支払日との間に間隔が空く場合に、

手付金が支払われることがあります。

手付金は、決済時において代金の一部に充当されます。

手付金の支払後、買主が不動産売買契約を解約したい場合には、

手付金は没収され、

売主が解約する場合には手付金の倍額を返還することとなります。

現実には、買主が手付解約する事例のほうが多いと思われます。

 

住宅ローンなどの融資が下りることを前提として

不動産売買契約が締結されることがあります。

このような場合、不動産売買契約において、

融資が下りないことが確定した場合には、

手付金を返金するだけで契約を解消する特約を入れたりします。

手付解約の応用パターンです。

しかし、「融資が下りなかったこと」を立証することは、

実は、意外と難しいです。

銀行などは、融資審査の内容を不動産業者などが

聞いても教えてくれないこともあるからです。

そうすると、売主である不動産業者から、

「融資が下りなかったというのはウソで、

本当はあなたが購入する気をなくしただけだろう?

本気で融資審査を受けていないだろう?」

というロジックで、手付金は返さず、

かえって違約金請求などをされることがあります。

住宅ローンの場合には、レピュテーションリスクがあるため、

そこまで露骨な紛争になることは少ないかも知れませんが、

事業用ローンなどの場合には、そのような事例があるように思います。

 

2 違約金の定めに関する紛争


 

 

不動産売買契約日と代金支払日との間に間隔が空く場合に、

違約金の定めが置かれることが多いです。

売主が物件を確保し、

ほかの買主候補者の購入申し出を断らなければならないためです。

違約金額は、通常、代金額の10%~20%程度です。

 

多くの場合、何らかの理由で残代金を支払うことができない買主が

違約金の請求を受けます。

割とトラブルになることの多い条項です。

私も数件、被告代理人として関与したことがあります。

個人等が巨額の請求を受けることも多く、非常に厳しい紛争です。

上記の1の手付金の紛争と絡めた形で紛争化することもあります。

 

双方が相手方に対する請求を立てる場合が多い類型です。

自分の債務を履行したが

相手が債務を履行しないから契約を履行できないのだ、

よって契約を解除し、違約金を請求する、というロジックは、

多くの場合、お互いが他方に対して言いたい言い分だからです。

 

3 買主の立場から紛争を避けるために


 

 

手付紛争については、手付金をなくすことが最も重要だと思われます。

業者は、手付金を自分の会社の資金繰りに回してしまうことも多く、

一度もらったお金は早々簡単には返金したくなくなります。

 

違約金については、なくせない場合もあると思いますが、

不当に高い分率であれば、

比較的低い割合に低減するなどの交渉を

活性化させるべきだと思われます。

契約締結の時点では率について意識しないことが多いですが、

非常に大事なことです。

個人的な感覚では、10%くらいには下げてもらうべきだと思います。

 

また、手付金・違約金のいずれの場合でも、

契約締結日と代金決済日を限りなく近づけておくことが一番安全です。

 

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