野澤吉太郎法律事務所 弁護士 野澤吉太郎

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弁護士によるオンライン申請(その21)~法律事務所にとってのオンライン申請のハードル

2023.10.14更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、野澤吉太郎です。

最後に、法律事務所がワンストップサービスをオンライン申請でおこなおうとすることのハードルについて書きます。

 

何よりも、弁護士が電子署名をするための十分な仕組みが構築されていないこと、その手引き、ガイドとなるような説明が絶望的に乏しいことがハードルです。これは、弁護士業界側も社会の側も、法人設立ワンストップサービスに弁護士が関与するという考え方に乏しいからという理由によるものと思います。

 

業界やシステムが公認する業務上の電子証明書がないので、個人事務所の場合、マイナンバーカードを活用せざるを得ないことが多いです(弁護士法人には電子証明書などの別の方法があるのかもしれませんが)。

 

社会保険労務士登録していない弁護士がe-govを使えるのかどうか。登記業務の特例方式のような方式をe-govで利用することができるのかどうか。システムの仕組みも社会保険労務士法の建付けもよく考えたことがありません。私は社会保険労務士登録して電子証明書を購入したので、マイナンバーカードでどこまで行けるのか、きわどいところは、私にはよく分かりません。ただ、提出代行証明書においては、社会保険労務士登録番号を記載しなければなりません。システム上も社会保険労務士が対応することが当然とされる入力箇所がいたるところにあり、社会保険労務士登録していないと、個々の入力のところで撥ねられてしまい、オンラインを貫徹することは無理なのかもわかりません。

少なくとも届書作成プログラムでは、「初期情報を設定する」の「管理情報登録」の項目で、社会保険労務士登録番号8桁を入力しなければなりませんので、初期情報を設定できず、その先に進まないので、算定基礎届などは電子申請では出せません。

弁護士は包括的な資格などということで安心してしまうと、こういうところからじわじわと、地味に競争力を喪失し、排除されていくんだろうなという感じです。

 

だれかが意地悪しているということではなく、誰も意識をしていないから自然に排除される、ということかと思います。

 

現在、デジタル庁が立ち上げている法人設立ワンストップサービスという仕組みでは、一般の方がマイナンバーカードを利用してワンストップサービスの利用をトライする仕組みが出来上がっています。

サービストップ | 法人設立ワンストップサービス (myna.go.jp)

 

しかし、いかんせん法制度が難しいです。途中で詰まったりする(登記手続でいえば、補正が入るなど)事象が多々あるようです。結局は、紙媒体に戻るか、専門家(複数士業)に戻るか、ということで、従前と同様の世界に戻ってしまうのでは、と危惧しています。

 

弁護士が法人設立ワンストップサービスに関与できるようになり、それに付随して効率の良い業務プロセス(経理等を含む)をパッケージで提案できるようになれば、革新的な取り組みになるはずです。そういう話がほとんど世間に出ていないのでそれではいかんだろうと感じ、自分の備忘録も兼ねてブログを書いてみようと思い立ち、しばらく発信し続けてきた次第です。個々のブログはしょうもない話を書き連ねてありますが、全体を通して読んでいただくとそれなりにインパクトのあることが書いてあると思っております。

 

オンライン申請についてのブログは以上となりますので、今後は折をみて別の話題を書いてみたいと思っております。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その20)~効率よいプロセスを提案する新規業務

2023.10.13更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、野澤吉太郎です。

ワンストップサービスをオンライン申請でおこなうプロセスをクライアントに提案する件について書きます。

 

何より、クライアントに対し紙媒体ではなくデータの送受信で申請を済ませる方法をお伝えしたときに、これに前向きな姿勢を示していただければ、クライアントの事務の省力化、オフィススペースの削減、場合によっては人件費の削減を図ることができます。テレワーク等にもなじみやすくなります。

特に、現金出納が絡む事務(銀行からの出入金、納付など)が絡む手続は、移動等も絡み、事務上大きな負担となります。特に、市民税の特別徴収、源泉所得税の納付などが。最初から電子納税までたどり着く方法論を構築しておくのが適切であろうと思います。もちろん、銀行口座の出入金をオンラインで手続できるようにすることも必要です。

あわせてシステムの検討が必要になります。具体的には、サーバーの利用、経理システム、給与計算システム、業務システムなどです。特に勤怠管理、給与計算の事務を簡略にしておくことが重要です。ある程度の規模になってからシステムを構築しその連携を図るのは、なかなか困難になります。早期の段階で業務のプロセスを確立しておくことが最も効率の良いスタートを切ることに繋がります。

 

昨今はただでさえ人手不足が顕著になっており、スタートアップ、スモールビジネスを開始しようとする場合、能力のある人が集まらないことがしばしばあります。この傾向は将来になればなるほどますます深刻化していくことは間違いありません。事務で省力化ができたならば、そのぶん、営業、経営分析など、本来必要な業務に力を傾けることができるようになります。

 

オンライン申請の方法論をクライアントに伝え(e-tax、eltax、e-govなど)、あわせて経理、勤怠管理、給与計算などのシステムを導入し、担当の従業員の教育をしながらコンサルティングする、その全てについて有資格でもってノウハウを蓄積できる専門家は、弁護士しか存在しません。

経営全般についてサービスを提供する場合、これらのノウハウだけではもちろん足りません。詳細は割愛しますが、業務システムに習熟する、マーケティング、ビジネスコンサルティング全般に通じるようになるなど、その他の研鑽も必要になります。しかし、これら全般の業務について実務的に対応できるようになれば、クライアントが非常に小規模な会社であっても、いくつかのご依頼をいただければ、争訟事件等を単発で案件獲得する努力を重ね過ぎなくても十分に事務所の業務が回転し、かつ、やりがいのある仕事ができるようになるだろうと思います。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その19)~法律事務所にとってオンライン申請にどういう意味があるのか?

2023.10.12更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、野澤吉太郎です。

ワンストップサービスをオンライン申請でおこなうプロセスが、法律事務所にとって何か意味をもつのかについて考えを書いてみたく思います。

 

電子定款認証をすれば収入印紙4万円を節約できる、というメリットはあります。コスト面ではそのくらいかと思います。そのほか、郵送申請による場合は郵送事情により申請日(到達日)が左右されますが、オンライン申請の場合は到達日がコントロールできるというメリットはあります。

 

オンライン申請自体について直接に感じる法律事務所側のメリットは、そのくらいかもしれません。その仕組みを構築する労力は正直申し上げて相当大きいです。最初は紙媒体のほうが楽です。

 

どの程度のメリットを感じられるかは、法律事務所業務全般の業務効率化をどのように図るか、その運営方針と絡んでくると思われます。私の事務所の場合は、紙媒体を極力削減する方針で運営しています。オンライン申請をするようになり、いまだ試行錯誤はありますが、本当に業務が楽になりそうな気がしています。オンライン申請のための準備に膨大な時間を使いましたが、今後は強いメリットを享受できるだろうと思います。

 

紙媒体の場合、紙媒体で作成→コピー→郵送(封筒を作成し切手を貼ってポストに投函する)→受領印付控え返送→スキャン→データ保管、控えをクライアントに返送…というようなやり取りをすることになります。郵送の際には送付書を作成したりします。この事務作業は意外と馬鹿になりません。

 

オンライン申請の場合、登記の特例方式の場合は少し郵送が発生はしますが、それ以外は、申請→受理→承認されたデータのデータ受信→サーバー保管(私の事務所の記録)→クライアントにメール転送、で済みます。この時間短縮効果は個々的にみると非常に大きいです。最初に試行錯誤してできるようになってしまえば、後は何度か繰り返せば、簡単に時間の元が取れます。

 

何より、インターネットさえ繋がり、PDFデータの添付資料を用意できれば、いつでもどこでも申請ができる、その記録保管もパソコン(というよりもサーバー)上で、(サーバーの事故がない限り)確実に保管される、ということには、非常に安心感があります。フォルダをきちんと区分しておけば、物理的な動かし方を工夫することなくても、保管場所も明確に分かります。これに対し、紙媒体による場合は、一回取り出して誤って別の場所に入れたりした瞬間に、ほぼ散逸に近い状態になります。外出の際に持参して参照したいな、というようなときに、散逸の原因になります。データ保管に慣れてしまうと、紙媒体保管のほうが危険を感じてしまいます。

 

書庫が減れば、法律事務所に必要なオフィスの収納場所も減り、床面積も減ります。よって、必要な賃料も減ります。スキャンをする手間は必要であり、そこに人件費を要しますが、その人件費は家賃よりも優越だろうと思っております。もちろん、処理速度の遅いスキャン機器を使うと非効率となります。複合機はオペレーションの手間暇もあり、あまりお勧めできません。性能の良いスキャン専門の機器が必要となります。富士通のScansnapを利用しています。

 

法律事務所の業務全般を意識的にクラウド、オンライン、テレワーク等にシフトしている場合には、全ての業務の在り方をその方向に向けて改善するのがよく、仮に法人設立ワンストップサービスという領域に弁護士が進出していこうとするならば、それについてもオンラインでできるよう努力しよう、というのは、当然にあるべき流れになるのだろうと思います。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その18)~クライアントにとってオンライン申請にどういう意味があるのか?

2023.10.11更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

ワンストップサービスをオンライン申請でおこなうプロセスを一通り書きましたので、クライアントにとってそのプロセスが何か意味をもつのかについて考えを書いてみたく思います。

 

率直に書くと、これまでに書いた個々の手続きをオンラインでおこなうことについては、クライアントの目線からみると、それ自体にすぐに意味を見いだせる可能性は低いです。

試しにオンライン申請してみるといろいろな発見があります。

しかし、そのために要する労力は相当莫大なものです。

個々の事務作業は、慣れないうちは、紙媒体でおこなう方が早いです。紙媒体をクライアントが選択される場合は、もちろんそれで良いと思います。

 

しかし、会社の設立当初の段階でクライアントの事務をなるべく効率化したほうがよいことは、あまり異論のないところです。

そのためにどういうシステムが望ましいかを最初に確立しておくときに、オンライン申請等により事務作業の手間を回避する仕組みを最初に習得しておくと、スタートアップの会社の後々の組織作りに役に立つことがあります。そのようなアドバイスをできるようにするために、予め専門家がオンライン申請に慣れておくことにも、それなりに意味があると思います。

 

デジタル庁は、「法人設立ワンストップサービス」という

仕組みを立ち上げています。

サービストップ | 法人設立ワンストップサービス (myna.go.jp)

いくつか問診をすると、どのような手続をすればよいか、教えてくれるサービスがあります。

法人設立関連手続かんたん問診 | 法人設立ワンストップサービス (myna.go.jp)

これは素晴らしい試みだと思います。

ただ、この問診内容を全部きちんと分かる専門家でない人がどのくらいいるのか?という問題があります。

この問診内容は、専門家も担当外の分野については、あまり分からないことが多いと思います。少し玄人向けです。

そうすると、知識の深さ浅さの差はあっても、

問診内容に一応は全部対応できる専門家が必要だと思います。

その役割を担う専門家として、実は、弁護士が最も適していると思います。

 

別に全部を弁護士に担当させる必要はなく、そうするべきでもありません。個々の弁護士には必ず得手不得手があります(私の場合、税務です。)。

全体像を理解したうえで、得手不得手を確認して、

不得手な部分については本業者を探してお任せする仕組みをつくるだけのことです。

個々の弁護士がスタートアップ企業の組織作りのアドバイスに関与できるようにするために、オンライン申請の仕組み全体を理解して、経営に役立つアドバイスをすることが大事だろうと感じております。

 

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その17)~社会保険提出書類の添付書類~社会保険関係の申請書の提出の訓練

2023.10.10更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

社会保険関連のオンライン申請について書きます。

 

【社会保険提出書類の添付書類】

社会保険労務士電子証明書または提出代行証明書

+社会保険労務士証票、を覚えるべき、

という点は、労働保険の場合と全く同様です。あとはPDFとかcsv添付を忘れないことが重要です。これらの点に気を付ければ一応何とかなります。

 

【社会保険関係の申請書の提出の訓練】

日本年金機構系の申請書については、最初は相当戸惑います。

電子申請をはじめるにあたり、練習(失礼)するのには、

期間に幅があるものが良いです。

 

具体的には、「賞与支払届」あるいは「賞与不支給報告書」あたりが良いと思います。

この書類の記載内容は、それほど難しいものではありません。

しかし、例えば全角半角、空白スペースなどの入力ルールを間違えると、差し戻されます。

正確には、到達後、システム上の自動チェックで不都合な箇所がある場合には、返戻されます。到達後30分くらいで、時間帯関係なく返戻されるので、人の目は入っていない自動検知のシステムと思われます。

 

健康保険証を返却する手続き(「健康保険被扶養者(異動)届」)なども良いと思います。

記載内容は難しいものではありません。

しかし、全角半角、空白スペースの入力ルール間違いは、返戻の原因となります。

到達後十数分くらいで返戻されたことがあります。理由を見たところ、『「その他の被扶養者になった日」の欄に実存しない日付が設定されています。実存する日付を入力してください。』

とありました。実存…凄まじい用語だと思い、心臓が止まるかと思いました。

確認したところ、被扶養者該当欄の元号選択コマンドで、

令和、を間違えてチェックしたまま残してしまっており、

年月日の数字を入力していなかったので、「令和」という実存しない日付が記載されていることになったようです。

 

「実存」はSEが使う言葉ではないはずです。

それはニーチェ、キルケゴールの領域。哲学用語です。

こういうところはなるべく普通の用語に修正していただきたいところです。

 

実務上大切なのは、「被保険者報酬月額算定基礎届」です。

毎年9月以降の標準報酬月額を決める(定時決定)ための届出書であり、7月1日から10日までが提出期限です。

この時期には会社の全従業員について手続をすることになります。

この手続をe-govの導入だけで完遂できるのかどうか?

答えは、無理です。

このことに気が付くまでに相当時間がかかります。

単記用、という手続はe-gov単体であるのですが、これをいくら工夫しても全従業員分は作成できない。

調べたら、届書作成プログラムを導入し、初期情報を入力したうえ、従業員の情報の入力を終え、途中でjkkという形式のファイルを経由し、csv化してe-gov上にする必要。

これらは昔から電子申請に従事されている方々においては常識だろうとは思います。

新参者にはわかりづらいというだけの話です。

最初にチャレンジする際にはe-govだけでやろうとしましたが、途中で挫折すれば、すべてやり直しです。最初のトライアルの際には事務員と弁護士の労力を総動員してことに当たりました。かけた労力を考えるとまったく割に合いませんが、やむを得ません。

正直、何をしていたのか、記憶が吹っ飛ぶくらいであり、よく覚えていません。

 

いずれにせよ、うまくいきそうな操作が見つかったときに、

写メで1枚1枚画像を撮影したり、それに解説文を加えたりすると、

操作方法がある程度記記録化できます。

一通りの操作を最初から最後までおこなえばだんだん慣れてきます。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その16)~社会保険にかかわる提出書類

2023.10.09更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

社会保険関連のオンライン申請について書きます。

 

会社を設立した場合に、社会保険の適用を受ける人がいる場合には、日本年金機構の所轄年金事務所に対して、以下の書類を提出することになります(単純化して書いていますが)。

①健康保険厚生年金保険新規適用届

②健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届・厚生年金保険70歳以上被用者該当届

③協会管掌事業所用健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届

④健康保険厚生年金保険保険料振替納付(変更)申出書

⑤その他の添付資料(全部事項証明書とか、法人番号指定通知書、委任状、社会保険労務士証票など…)

 

社会保険の適用を受ける人とは、取締役等の役員も含まれます。

そのため、従業員を雇用しないため

労働保険関係の書類を提出しない場合でも、

社会保険関係の書類は提出しなければならない、

ということもあります。

 

俗に、新規適用届と資格取得届等を一緒に出す場合、

新適同時届出、などと言ったりします。

①新規適用届自体はe-govでも提出できます。

手続情報表示|e-Gov電子申請

②資格取得届自体もe-gov対応しています。

手続情報表示|e-Gov電子申請

 

しかし、e-govで①新規適用届を作成したのに引き続いて、

同時に②資格取得届などを作成してみようと思うと、

壁にぶち当たります。

 

②資格取得届、③被扶養者(異動)届第3号被保険者関係届については、新規適用届と同時に作成していこうとすると、その時点では事業所整理記号や事業所番号が存在していないので、e-govで申請しようとしても、未入力でエラーがでてしまいます。

 

悪戦苦闘しているうちに、

業務用ソフトのホームページを見つけました。

社会保険の新規適用届と資格取得届は同時に電子申請できますか? – 台帳サポートサイト – 株式会社セルズ (cells.co.jp)

事業所整理記号を空欄にすると「必須項目です」というエラーが表示される – 台帳サポートサイト – 株式会社セルズ (cells.co.jp)

 

まず、e-govのシステムでは事業所整理記号が記載されていないデータは容赦なく撥ねられます。

しかし、新規適用の段階で事業所整理記号が

存在するわけがありません。

それでも資格取得届+被扶養者届は、新規適用届と別個に

出すことが認められません。

結局、全部書面でやることになるようです。

しかし、そういう話の説明はe-gov上には一切見当たりません。

つまり、事業所整理記号が入力画面上必須である以上は、

オンライン申請は全体として不可、ということだと理解しました。

ワンストップサービスを政府が進めているというのに、

ほんとかねと信じられない思いになりまして。

かなりムキになって調べましたが、

最初は、書面でやらざるを得ないのかなと思いました。

これだけは、どれほどオンラインの途を追求しても私の知り得る知識では無理でした。

これまでオンラインで徹底してきたので、相当ムキになりますが、

いくら意地を張っても自分の分かる範囲では難しい。

断腸の思いで、書面申請したことがあります。

まあ、もともと書面でやったほうが正直楽であり、

何をムキになっているんだろうという気もするんですが…。

調べれば別の方法があるのかもしれません。

私が知らないだけかもしれませんから、

どなたかに良い方法を教えていただきたいところです。

 

しかし、そうだとすると、

新規適用届の申請がe-govでできるということには、

いったい何の意味があるんだろうか…?すみませんが、謎です。

 

e-Gov電子申請利用マニュアルの紹介|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

これは前のブログで記載したホームページですが、ここには社会保険の新規適用届絡みの記載がありません。これは上記のとおり一筋縄ではいかない事情があるから書いていないのだろうと。私がそう思うだけかもしれませんが。思い切りワケアリな気がします。

 

また、それとは別の問題として、

④健康保険厚生年金保険保険料振替納付(変更)申出書

は、カーボンなので、郵送提出しなければなりません。それは重々承知しておりました。登記申請の際の半ライン申請みたいなことができないかと思い、悪戦苦闘していたのですが、無理だった、全部書面でやらざるを得なかった、ということです。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その15)~労働保険関係の申請書の提出の訓練

2023.10.08更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

労働保険関係の申請書の提出の習得方法について書きます。

訓練などというと、プロ(社会保険労務士の先生方)に怒られてしまう話ですが、仕方ありません。

 

労働保険関係は、提出期間に幅がある手続がかなり多いです。

そして電子申請の場合、不備があると全部差し戻されて手続が終了します。

これは、考えようによっては、幅のある期間内にトライして訓練習得するというプロセスだとみることができます。何度かやれば正しくなる。この点は、登記申請とは少し様相が異なります。

もちろん金額等を間違えるなどの基本的ミスは、許されないことは同じです。

 

e-govには一時保存機能がありますので、これを何度も何度も活用して文案を修正します。

また、データをデバイスに出力して保存する作業を繰り返して、何度も練習することが必須です。

 

最初の例は、三六協定です。

最初に練習(失礼)する場合、

入力事項も少ないことはちょうど良いのですが、

どのフォーマットを活用すればよいのかの説明が

ほとんどなくて分かりづらい。

最初に入力するフォーマットを間違えると全部やり直しです。

そして期限には気を付けなければなりません。

始期を遅れてしまうとお客様に迷惑をかけます。

しかし、三六協定の場合、間違えて送信してしまった後の、

差し戻しのタイミングが本当に遅いのです…。

また、パソコンのデバイスに出力した控えのデータを印刷すると、

右側が途中で途切れていて印刷できない現象は

本当に何とかして欲しい。

私、なんか悪いことしたかしら、と思っておりましたが、

どうもそういう問題ではなかったみたいです。

 

最初にどの書式を選べばよいのかが本当に分かりづらいのです。

これがe-govの最大のネックです。

 

次に、年1回かならずおこなう年度更新について書きます。

年度更新用のデータは6月1日(たしかこの日)にならないと

e-gov用の書式がシステム上に供用されません。

受付期間外にはシステム上にフォーマットが存在しません。

そのため、事前に気合を入れて万全の準備をするぞ、と思い、

それ以前に類似の概算保険料申告書のフォーマットを

いくらいじっても、それは全く無駄な作業になります。

受付期間内にフォーマットが供用された後に、

緑色の封筒の中身にカーボンの控え付きの申告書が入っており、

申告書の右上に書かれた暗証番号風の8桁英数字のアクセスコードを入力することで、

はじめて申告準備が可能になります。

年度更新については審査期間がかなり短いです。

概してスピーディーです。

保険料を確定する必要があるからなのかもしれません。

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その14)~労働保険提出書類の添付書類

2023.10.07更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

オンライン申請の際の添付書類などについて書きます。

社会保険労務士電子証明書を使用した手続を

念頭に置いた記載になります。

 

e-govの画面で申請書の入力をしていった後に、

添付ファイルを選択することになります。

 

e-govで労働保険の場合についていえば、

おおむね、添付データ形式はPDFでおこなうことになります。

電子申請する | e-Gov電子申請

前回のブログで記載した下記ホームページに紹介されたPDFの説明書を読み込むと、操作方法が比較的わかりやすく書いてあります。

最初に読むと疲れますが、慣れてくればできるようになります。

e-Gov電子申請利用マニュアルの紹介|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

添付ファイルには、申請内容により、法人の履歴事項全部証明書とか、その他の添付資料が必要な場合もありますが、

PDFスキャンデータの添付をおこないます。

 

社会保険労務士の電子証明書が必要とされる場合と

不要とされる場合があります。

労働基準法、最低賃金法等に基づく電子申請手続に係る社会保険労務士の方による提出代行について[厚生労働省] | e-Gov電子申請

ここで大事なのは、

電子証明書による電子署名をする場合には、

電子署名の画面が出てきますが、

電子証明書による電子署名が不要とされる場合は、

そもそも電子署名の画面が出てきません。

そのため「不要」というのはシステムを実際に動かす場合には

間違った説明です。

「不可能」のほうが正しいです。

「不要」と「不可能」は意味が全く違います。

そのままあれよあれよと先に行くと、提出代行証明書や社会保険労務士証票の添付を忘れ、そのまま送信後も差戻しが来るまで保留となり、後で全部やり直し。

その待機期間はかなりイライラするところです。

 

電子署名しない場合

(というよりも、電子署名の画面が出てこない場合)、

提出代行証明書を提出しなければなりません。

書式は比較的単純です。

PDF形式で添付しますが、押印が不要となっていますので、

ワードデータをAdobe Acrobat有料版を利用してPDFデータに変換すれば完成します。

事業主の押印も、電子署名なども不要なので円滑です。

提出代行に関する証明書 | e-Gov電子申請

社会保険労務士証票コピーの添付も忘れてはいけません。

提出代行証明書を提出する場合は、

必ず社会保険労務証票コピーがセットです。

社会保険労務士証票は、登録の際にすでにもらっていますので、

そのコピーのPDFデータを使いまわせば大丈夫です。

社会保険労務士証票コピーの添付を忘れて送信すると、

一旦受信されて審査に回ったと思ったら、しばらくして差し戻しを喰らいます。

しかも差し戻しまで結構時間がかかったりすることもあります(1週間とか)。この点は最初に間違えると後で大変往生します。

 

赤字部分を身につまされるまで体に叩き込めば、

労働保険のe-govの電子申告はだいたい習得できます。

 

 

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その13)~労働保険にかかわる提出書類

2023.09.29更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

引き続き、労務関連のオンライン申請について書きます。

社会保険労務士電子証明書を使用した手続きを

念頭に置いた記載になります。

 

会社を設立し、従業員を雇うことになっている場合、

まずは、所轄の労働基準監督署において、以下の①②の書類を提出することになります。

①労働保険保険関係成立届

②労働保険概算保険料申告書(所轄の労働局や金融機関でも提出可)

労働基準監督署に①や②を提出するついでに、「適用事業報告」を提出します。

その後に、所轄の公共職業安定所に、以下の③④の書類を提出します。

③雇用保険適用事業所設置届

④雇用保険被保険者資格取得届

 

二元適用事業(建設業・農林漁業等)の場合は、

労災保険と雇用保険が別管理になります。

労災保険に係る手続きについては、

労働基準監督署に、①②の書類を提出します。

(上記の一元適用事業と同じ)

雇用保険に係る手続きについては、

公共職業安定所に、①③④の書類を提出し

労働局または金融機関に、②の書類を提出します。

 

厚生労働省:労働保険の成立手続 (mhlw.go.jp)

 

しかし、労基、ハローワーク、金融機関…などとひたすら移動し続けるのは、たいそう骨が折れます。手間暇、現金管理、良いことはありません。電子申請に限ります。

 

労働保険保険関係成立届、労働保険概算保険料申告書、雇用保険被保険者資格取得届の操作方法は、以下のリンクにあるホームページが有効です。

e-Gov電子申請利用マニュアルの紹介|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

これは、わりと良いホームページです。

PDFの電子申請利用マニュアルも非常に分かりやすいです。

ここに書いてあるとおりにやれば、

スムーズに処理できる記載がなされています。

 

しかし、ここにはe-govの最大の難点が隠れています。

この種のホームページにたどり着くことが実に難しいことが

問題なのです。

しかもe-govの改良の履歴が反映されていないようで、

一覧性がないだけなのか、ここに書いていない手続きがワケアリなのかどうか…謎なところですが、その文脈、テキストを読み込む洞察力が必要です。

 

ともあれ、

雇用保険適用事業所設置届の紹介ホームページは別となります。

手続情報表示|e-Gov電子申請

 

適用事業報告については、以下のとおりです。

手続情報表示|e-Gov電子申請

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

弁護士によるオンライン申請(その12) ~e-gov、gBizID、届書作成プログラム

2023.09.28更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で弁護士をしております、

野澤吉太郎です。

 

登記、税務に続き、労務関連のオンライン申請について書きます。

社会保険労務士電子証明書を使用した手続きを念頭に置いた記載になります。

 

ほとんど何も知らない弁護士が、労務関係の仕事をオンラインで進めてみようと思ったときに何が必要なのか。散々試行錯誤した結果、以下の3つが必要です。プロフェッショナルとしての社会保険労務士の先生方からみれば、笑われてしまう話であり、恥ずかしい限りです。

 

e-gov

トップ | e-Gov電子申請

このシステムを使うには、電子証明書が必要です。

新参者の私はいまのところこれで間に合っています。

インストール自体はそれほど難しくありませんが、これを使いこなすまでには、かなりの試行錯誤が必要です。つぎはぎプログラムではないかと思います。特に日本年金機構関係を申請しようとすると最初は本当に精神的に来ます。とにかくクライアントに迷惑をかけてはなりませんので、時間に余裕をもって事に当たる必要があります。

 

gbizID

GビズID | Home (gbiz-id.go.jp)

電子証明書は必要ないシステムです。

gbizIDプライム、gbizIDメンバー(※プライムに登録した場合にその組織の従業員が登録できる)、gbizIDエントリー、というものがあります。

ここはgbizIDプライム、gbizIDメンバーを選択すべきです。

gbizIDプライムに登録するには、印鑑証明書+実印を押捺して申請書類を郵送するか、マイナンバーカードを用いたオンライン申請をするか(個人事業主のみだそうです)、どちらかが必要です。

今のところ、インストールはしていますが、使用しておりません。

 

届書作成プログラム

届書作成プログラム|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

日本年金機構系のシステムです。

定時決定のための算定基礎届をe-govで作成しようとしたところ、

システムの整備が不十分であり、こちらもインストールしなければならないことを知り、インストールしました。

CSVファイルが組成されるので、

電子申請時の添付ファイルとします。

従業員とはプログラム内容を共有できません。

 

有償の社会保険労務士用業務ソフトだともっと円滑に事務が進むのかもしれませんが、関連する業務量をたくさん生み出せない限りは、コストが合いませんから、最初にチャレンジするにあたっては、行政の用意したプログラムの準備で始めてみるのが良いと思います。

 

 

 

投稿者: 弁護士 野澤吉太郎