野澤吉太郎法律事務所 弁護士 野澤吉太郎

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不動産事件(10)環境規制について

2016.04.04更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は不動産の開発に伴う環境規制について書きます。

 

1 不動産と環境規制


 

 

不動産に関するデューディリジェンスをおこなうにあたり、

環境法規制に関する考察は避けては通れないものになっています。

環境被害の多くは、土地建物を問わず、不動産から生じるものです。

 

不動産の開発申請については、会社、不動産業者と行政側の折衝によって行われることが多く、

それで大体事足りており、弁護士が参与することはあまり多くなかったように思います。

弁護士も細かな法規制についてはあまり知らないことが多く、

私自身もあまり明るくない分野がたくさんあります。

 

しかし、ビジネスの構築に寄与することがこれからの弁護士に求められているものと思いますし、

その中には不動産の開発等が密接に絡むものも沢山あります。

環境規制は、無尽蔵ではないかと思えるくらい、多種多様にわたります。

1つ1つ条文から勉強していくことは途方もないくらいです。

私自身は、ビジネスの構築の経験を積む過程で、少しずつ詳しくなることを目指しています。

 

2 法律や文献の調べ方など


 

 

公害規制的な内容のものとしては、廃棄物処理法などがあります。

自然保護的な内容のものとしては、自然公園法、森林法、河川法などがあります。

挙げればキリがないくらいです。

インターネットなどで環境規制を総ざらいし、

必要性の高そうなものについて深掘りして調べていくことが必要です。

 

何年か前に森林法について詳しく調べようとしたことがあります。

しかし、そのころ、これらの法規制について、

考察を加えた文献がほとんどありませんでした。

官庁の図書館などに出入りしながら根気よく調べました。

せっかく文献を見つけても、行政の解釈については言及されてはいるものの、

法制度の問題点などを明示に指摘するようなものは特にありませんでした(当然ですが)。

文脈のウラを読んでいく作業に非常に苦心したことが思い出となっています。

温泉法、河川法などについても同様の状況であったと思います。

 

3,4年くらい前からだったと思いますが、徐々に、文献が出始めています。

弁護士増員の成果といえばうがった見方かもしれませんが、

徐々に業務が開拓されている実感があります。非常に面白い状況だと思っています。

 

3 新規事業と環境規制


 

 

原発事故の後、環境への配慮から、

再生可能エネルギーが奨励された時期がありましたが、

再生可能エネルギーが必ず環境に優しいか?と考えてみると、そうでもないように思います。

 

特に、メンテナンス不十分な太陽光発電などは、漏電、発火のおそれがあり、非常に危険です。

パネルを見ると何となく楽しくなります。

触りたくなる人もいるかも知れませんが、感電死してしまいかねません。

 

環境規制を厳しくして生まれた事業にも別の環境規制が必要となります。

終わりのないリスク管理の連続です。

 

環境規制について絶えず厳しくチェックする仕事は、相当の潜在的需要があるように思います。

 

4 海外の不動産においても概ね共通の問題があること


 

 

しかも、環境規制は日本国内に限ったものではなく、世界的にほぼ同種の規制がある、

という点が非常に興味深いところです。

日本国内の環境規制に詳しくなれるのであれば、

海外事業でも応用を利かせられるのではないかと思っています。

 

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投稿者: 野澤吉太郎法律事務所

不動産事件(9)賃料増減額に関する紛争

2016.04.03更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、賃料増減額をめぐる紛争の処理について書きます。

 

1 借地借家法に基づく増減額請求権


 

 

まずは条文上の根拠を挙げます。

土地については借地借家法11条、建物については借地借家法32条です。

 

借地借家法11条1項

地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、

土地に対する租税その他の公課の増減により、

土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、

又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、

契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。

ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

借地借家法32条1項

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、

土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、

又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、

契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。

ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

 

商業不動産開発などが盛んであった時代などにおいては、

年々ますます景気が良くなるだろう、という見通しのもと、

賃料自動増額条項などが契約書に設けられ、所有者を勧誘していた事例がありました。

私が弁護士になった時期ごろにこの件に関する紛争が多発しており、

裁判例も蓄積されていました。

 

増額、減額のトレンドは、景気に左右されます。

賃料自動増額条項などに関連する紛争は少なくなっていると思いますが、

最近、都市部においては増額のトレンドになりかけているような気がします。

権利行使までの調査の内容、権利行使のタイミングについてアドバイスをすることが、

請求を行う側の弁護士の重要な仕事です。

 

2 調停


 

 

賃貸人、賃借人間の交渉がまとまらない場合には、

請求をする側の当事者は調停を申し立てなければなりません。

多くの場合、裁判所による鑑定を経ていない状況で調停を行います。

片方の当事者が依頼した不動産鑑定士による鑑定書がある場合でも、

その内容を相手方当事者が受け入れないことが多く、

私の実感としては調停が成立して紛争が終結するケースは割と少ない気がします。

 

3 訴訟


 

 

調停が不調に終わった場合は請求をする側の当事者が訴訟を提起することになります。

お互いの主張立証を一応尽くした後に、不動産鑑定を実施します。

鑑定書が出された後に、話し合いの機会が持たれることが多く、

話し合いが決裂した場合には証人尋問、判決という流れに移行します。

 

4 弁護士の活動


 

 

訴訟にまで至った場合、不動産鑑定士による鑑定の内容が結論においても採用される可能性が高く、

正直なところ、弁護士が知恵を働かせて大きく流れを変える、ということはあまり多くありません(特に被告の場合)。

しかし、法廷の場で賃料の増減額を争うにまで至る背景には、

賃貸人・賃借人の間で別のトラブル(賃料不払い、用法違反など)も隠れていることが多く、

訴訟上の和解の場でこれを解決できる可能性もあります。

また、どの時点から賃料を増額するか(意思表示時か、和解時か)、

鑑定費用を誰が負担するか、などにおいて、

駆け引きを行いやすい環境があります。

話し合いを成立させるための戦略、駆け引きについては、

弁護士の出る幕は大いにあります。

 

5 弁護士費用


 

 

弁護士費用については、月額の増減額の請求幅または実現幅×7年分を経済的利益とみなし、

それを交渉、調停、訴訟の着手金・報酬金の算定式にあてはめることでお願いしています。

鑑定費用は別途必要です。鑑定費用をどの当事者が負担するかは、話し合いの場合はその内容次第であり、

判決の場合は、概ね、鑑定費用の金額に敗訴割合を乗じた金額となります。

(このことから、判決が不利な内容の場合には、話し合いをしたほうがよい場合が多いといえます。)

 

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不動産事件(8)管理の困難な不動産について

2016.04.02更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、管理費用の捻出が困難な不動産の案件に関与した際の、

若干の経験を書いてみたいと思います。

 

1 管理困難な不動産


 

 

マンションを活用した不動産賃貸業等を営む会社が、

支払不能になるケースなどが典型例です。

賃借人の退去が続き、売上(賃料収入)が減少すると、

費用の捻出に苦心します。

場合によっては、水道光熱費、火災保険料などを

拠出できない場合も出てきます。

不測の事態が生じた場合には、

賃借人に損害を与えるおそれがあります。

費用を工面できない場合には、

対処療法を施しながら粘っていくしかありません。

 

2 将来、管理困難な不動産の問題が深刻になっていくおそれ


 

 

詳細の言及は控えますが、

私もこのような不動産の管理に関与せざるを得なかったことがあり、

何度もヒヤッとさせられたことがあります。

営業中のテナントがいる不動産に関して、

明日電力供給を止めます、

いま水漏れが起きているけれどもどうしたらよいか、

などという緊急の電話が来たりします。

法律が絡む問題であれば、

倒産法制にしたがって処理しなければなりませんが、

背に腹を代えられない状況は沢山出てきます。

 

複数のテナント、賃借人がいる不動産において、

管理責任者が当事者としての責任を負えなくなることほど

恐ろしいことはありません。

ゴミ屋敷などの例がニュースで報道されたりすることもありますが、

不動産管理は不動産所有者や管理組合など、

当事者が行うのが大原則であって、

よほどのことがない限り行政が介入することはありません。

地方においては人口が減少し、

都市部においてはマンションの供給過剰の傾向にあり、

地方、都市を問わず、高齢者が増えていくという趨勢であるため、

この種の問題が今後深刻化していくことは

ほぼ間違いないと思われます。

肌実感ですが、現状の倒産法制は、

管理の荒廃について十分な配慮を施していないように思います。

 

3 高圧電力供給の問題


 

 

高圧電力供給の料金の未払いへの対処に

何度も悩まされたことがあります。

いったん電力供給を打ち切られると、

料金を支払えばすぐに供給が復旧する、

ということではなく、再開設まで2週間くらいかかる

(正確かどうかは不明です)ようです。

営業店舗などがテナントにいる場合には、

その期間の電力供給停止により、

回復不能な損害を被ることがあります。

 

そのため、多くの場合、結局は、

電力料金を支払わざるを得ないことになりますが、

そうは言っても1回分だけなら滞納できるかどうか、

など細かい注意点が沢山あります。

倒産法制の教科書的対応をしているだけでは

対処しきれないことが多いです。

私がたまたまそのような経験をさせられただけかも知れませんが、

高圧電力供給体制についてはほかの水光熱費の未払いにも

まして細心の注意を払う必要があります。

 

4 管理組合


 

 

管理組合が好き勝手な振る舞いをして

区分所有者が異常な苦労を強いられることがあります。

特定の団体(出入り業者など)が、

過半数の区分所有権を掌握したりすると、

気ままに管理組合を運営することがあります。

少数派が異議を申し述べたりしても一顧だにせず、

少数派がマンションを売却しようと思っても、

管理組合が重要事項説明書を不動産業者に提出してくれない、

したがって売却することもままならない、

などという事例があったりします。

 

区分所有法に限らず、会社法などを含め、

日本の法制度全般において、

多数決の横暴に対する歯止めの意識が弱いように思います。

 

特に単身者向けのマンションなどは横の繋がりが弱いので、

このような問題が横行しやすい下地があります。

いずれにせよ、不動産を選ぶ際には慎重に観察する必要があります。

 

 

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不動産事件(7)不動産の任意売却

2016.04.01更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

仕事上の都合がいろいろと立て込み、更新が遅れました。

久しぶりに不動産について書いていきます。

今回は、不動産の任意売却について書きます。

 

1 オーバーローンの場合の任意売却


 

 

不動産の決済は至るところで行われています。

多くの案件では金融機関のローンを担保するため、

抵当権が設定されており、その抹消が必要となります。

売主が買主から受領した代金を原資として、

ローンの元金、利息の満額を支払ってくれれば、

金融機関は、抵当権の抹消に応じてくれます。

決済によりローンを完済できるような事案であれば、

弁護士が介入するまでもないことが多いです。

 

金融機関に対するローンの金額が不動産価値よりも多額の場合などには、

金融機関が満足する売却価格を提示しない限り、

金融機関は抵当権を抹消することに難色を示します。

とはいえ、不動産価値は市場の需給により決まるものであり、

価格をつり上げようとしても自ずと限度があります。

無謀に高価な売却価格にて売却させようとして粘りすぎると、

不動産の処分が遅れ、ローンの回収も捗りません。

金融機関は、どの程度の売却価格で売却し、どの程度の金額を弁済すれば、

不動産の処分を許容するかについて、ある程度もくろみを立てています。

このような場合、金融機関に対するローンの支払い方法に関する交渉を含みますので、

弁護士が事務処理に参与する下地があります。

 

2 相続案件での任意売却


 

 

遺産分割案件をはじめとした相続案件において、

任意売却が必要となるケースもあります。

相続財産に不動産が含まれる場合には、現物で分けづらいので、

とりあえず法定相続分にしたがい相続人間の共有としておく、ということがあります。

そのような共有不動産をいよいよ売却する場合には、

共有者全員で売却に向けて活動することが困難な場合がありますし、

特定の共有者に対して委任をしたとしても、

その受任者が関係者に対して金銭を適正に配分するか否かが疑わしい場合などもあります。

このような場合には、専門家である弁護士に委任することが適切です。

 

3 任意売却業務の進め方 


 

 

不動産の任意売却案件は、特に破産管財人の業務で多く経験しております。

任意売却の経験が豊富な不動産業者と連携して処理することとなります。

急いで各種関係者と交渉を重ねていきます。

競売の開札期日の10日くらい前に買主候補者が見つかり、

その時点から複数の抵当権者、差押債権者(市)との交渉を始め、

買主候補者が何度も変わり、1週間程度で決済にこぎ着けたことがあります。

終わったときには40度の発熱をした思い出があります。

 

4 弁護士報酬等


 

 

事案により異なりますので、ご相談いただければと思います。

大まかな目安は、売却代金の3%程度だと考えております。

 

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