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企業法務/海外子会社管理(1)海外子会社への調査の意義

2016.02.13更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

法務の役割について一通り書く中で、

戦略法務、法務部の役割についてもブログを展開しましたので、

その延長線上で、戦略法務のあり方について

記載していきたいと思います。

具体的には、海外子会社管理の援助の業務に踏み出しています。

いまだ試論の域を出ていませんが、しばらく書いていきたいと思います。

 

1 海外子会社への調査の意義(日本の親会社からの視点)


 

 

日本にある親会社と海外にある子会社は、

距離が離れているため、

親会社が子会社を随時訪問することができないことが多く、

海外子会社の活動をチェックすることは容易ではありません。

通常は、主に月次資金繰り表や年次の決算書などを送ってもらい、

これを分析の用途に供することとなります。

大まかな経営実績を把握したとしても、

その数字が真に信頼がおけるものかどうかは不明です。

海外子会社が何を考え、

どのようなビジネスを遂行しようとしているのか、

その取引先との関係はどうかなどを知るためには、

たとえ親会社・子会社という近しい関係であるとしても、

積極的にコミュニケーションをとっていかない限り、

きちんと情報を入手できなくなるものです。

 

特に中小企業では人手が足りず、

子会社の管理のノウハウが確立されていないことが多いかと思いますが、

大企業とその海外子会社についても、質量の違いはあれども、

共通の悩みどころであるはずです。

最近では、テレビ会議等を行ったり、

電子メール等でやりとりをすることができるようになり、

かつてよりはコミュニケーションの状況は改善しています。

しかし、コミュニケーションの状況の改善は、

ビジネスの速度が速まることと裏腹の関係にあります。

海外子会社管理についても

競争相手がいることを認識しなければなりません。

かつてより子会社管理が楽になったということはなく、

むしろ煩雑になっているものと思います。

 

目が届きにくいところには不正が起きやすいものです。

多くの不正が海外子会社を通じて行われていると言われています。

海外子会社を含めた内部統制の構築が重要視されている傾向にあります。

 

2 海外子会社への調査の意義(海外子会社からの視点)


 

 

海外子会社は調査に協力することになりますが、

手間を掛けさせる側面がありますので、

親会社は、応対の手間に報いるよう、

海外子会社の活動に役に立つような調査をしなければなりません。

事前に入念に調査して臨むことが必要なことは当然です。

海外子会社の尊厳を傷つけたり、横柄な態度、

搾取を仄めかすような態度を示すことは、

モチベーションを下げるきっかけになりますので、

あってはならないことです。

 

海外子会社の関係者は、親会社の方針などを詳しく聞くことや

適切な援助を受けることなどができず、

業務上の迷いを覚えながら仕事をしていることもあります。

海外子会社の関係者に惜しみなくノウハウを提供することで、

海外子会社の業績の改善に繋げ、

ひいてはその経営陣、従業員の待遇を改善する、

という共通の目標をもち、

前向きにコミュニケーションをとることが重要です。

 

海外子会社管理の際に、改善点を見つければ、

遠慮なく指摘します。

日本の親会社の担当者等は、

子会社の経営陣に比べれば第三者的な立場に立ちやすいといえます。

労使間に少しわだかまりがあるような場合に、

日本の親会社の担当者が、

合理的な理由に基づいて改善点の指摘、アドバイス等をした場合、

子会社の労働者は、

経営陣が同じことを言うよりも言うことを聞いてくれやすくなる、

親会社もこう言っているから改善して欲しいと言いやすくなる、

という話を聞いたこともあります。

 

3 チームを組むことの重要性


 

 

海外子会社管理は、結局のところ、

様々な視点から1つの会社をフォーカスし、

濃淡の差こそあれ、総合的なデューディリジェンスを行う業務です。

もろもろのパートにつき、

それぞれの知恵を結集して、

チームを組んで実践していくことになります。

1人ではなかなかできませんが、

どの会社でも共通のノウハウを構築することにより、

次第に少数精鋭でも活動できるようになるはずです。

 

具体的な段取り(試論)については、次回以降に回したいと思います。

 

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