企業法務/海外子会社管理(5)コンプライアンス・法務デューディリジェンス
2016.02.27更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
海外子会社管理の援助の際のコンプライアンスチェックと
法務デューディリジェンスの活動について、
試論を書いてみたいと思います。
1回のブログで網羅的に書くことは困難であるため、
比較的小規模な海外子会社をイメージして
ざっくりとしたあらましを書いております。
1 関連法規の確認
法務部機能が不十分な海外子会社などにおいては、
そもそも、自社の事業と関連の深い法律が何なのか、
正確に把握しきれない場合があります。
これは日本の子会社においても、多かれ少なかれ同様のことですが。
国、あるいは州によって法律の内容は異なりますので、
ビジネスモデルを聴き取った上で、
投資情報等を参照しながら、該当する法律を探索します。
最近はインターネット等が発達しているため、
何某かのルートで情報にたどり着くことができます。
しかし、一から作業を行う場合には、結構時間がかかります。
公的機関のアドレス等をメモしておくと、
法律が改正されたような場合にもリンクできるので、便宜です。
重要なものに絞ってある程度一覧性のある表を作成したりして、
従業員に対する啓蒙に用いると良いと考えられます。
2 体制の確認
法規範が確定できたら、法の遵守、ルールの作成、
従業員への意識付けがなされる体制がとられているか、
重要な基本契約の内容は法規範に適合しているか否か、
などを確認していくことになります。
力点の置き方は個々の事案によって異なります。
金銭不正等を防止するための役割分担の方法、
二次チェックの態様等を確認したり、
従業員の意識を高めるために
継続的に啓蒙を行うプログラムを構築することなどが重要です。
研修などを実施して、労働安全衛生、環境、贈収賄防止などの
基本的なモラルを向上する取り組みも考えていく必要があります。
3 法務デューディリジェンス
コンプライアンス上の問題はそれほどないような場合でも、
ビジネスの遂行上の不確定要素(リスク)が
契約書の条項中に紛れていることがあります。
契約書の確認のプロセス等が
しっかりと構築されていないような場合には、
比較的安易にそのような条項を受け入れてしまうことが
あるように思います。
重要な契約書を入手し、必要に応じて経営陣の見解を聞きながら、
重点的に調査すべき点を絞っていきます。
一般的には、契約の禁止事項、解除の条項などに
注意する必要があるように思います。
場合によっては
契約の修正をお願いしたほうが良い場合もあるかもしれませんし、
反省点を活かして法務機能を構築する足がかりにすることも
考えられると思います。
この点については、弁護士の活動領域は広いと思います。
4 重要なこと~精査のプロセスを会社の従業員の方に覚えてもらうこと
弁護士や会計士などの専門家でないと
これらのプロセスを遂行できない、ということはありません。
従業員の方々と一緒にノウハウを構築し、
精査のプロセスを体得していただくことが最も重要だと思います。
従業員の方もチームに加わっていただくなどしたほうが良いと思われます。
中には、体制が十分に整備され、
子会社監査のノウハウが確立している会社もあるかもしれませんが、
あの子会社では何をしているのか分からない?
というところから調査が始まるのが、多くの会社における実情だと思います。
海外子会社は星の数ほどあります。
私たち専門家も特定の会社に拘り続けるのではなく、
ノウハウを提供、創造、共有して企業と助け合うことに
活路を見いだしたほうが良いように思います。
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