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企業法務/海外子会社管理(2)調査の概要と程度

2016.02.14更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

海外子会社管理の援助の業務について、

引き続き試論を書いていきたいと思います。

2回目は調査の概要と程度について書きます。

 

1 調査の概要~焦点、重点を絞る活動


 

 

調査は的を絞って行わなければなりませんが、

調査人員、時間、コストからの制約があり、

自ずと、調査の焦点を事前に絞らなければならなくなります。

また、重点的に観察すべき項目はさらに絞られてくるように思います。

 

前回に述べたとおり、

チームを組んで海外子会社の調査を行うことになりますが、

親会社の経営陣、ないし合弁会社である場合は、

他の株主の経営陣がどのような懸念をもち、

調査チームに対してどのようなリクエストをしてくるのか、

調査を受ける子会社の経営陣が

何を調査して欲しいと要望しているのか、

それらを事前に聴き取った上で、

焦点、重点を絞っていくことになります。

 

弁護士として私がチームの一員に入り、活動する場合には、

主に、コンプライアンス、内部統制についての調査を

担当することとなりますが、

何時どのような理由で

他の調査項目が関係してくるか分かりませんので、

自分の担当かどうかにかかわりなく、

全ての打ち合わせに参加するように時間のやりくりをします。

 

最初にやらなければならないことは、

具体的な調査内容を決定することです。

合議のうえ、調査のマニュアルを早急に策定することとなります。

 

2 調査の程度

  ~公認会計士における「レビュー」と「監査」の違いを類推すること


 

 

調査の程度をどの程度深化させるかは、

いつでも難しい問題のように思います。

この点について、公認会計士の業界で用いられている

「監査」と「レビュー」の両手法が参考になります。

これをある程度意識しておくと、調査がオーバースペックにならず、

柔軟に進めやすいと考えられます。

 

私は公認会計士ではありませんので上手に説明できませんが、

私の拙い理解では、

「監査」は、外部からの情報も含めて実査、立会、確認の作業を行い、

会社の内部外部を問わず情報を取得して監査手続きを行うもので、

財務諸表の整合性について積極的な意見表明を行うものです。

「レビュー」は財務諸表の分析は行うものの、

情報源は主に内部の担当者(経理担当者)が装丁されており、

財務諸表に修正を要する項目が発見されなかったことについて、

消極的な意見表明をするものです。

当然、監査のほうが負担が重く、費用もかかる、ということになります。

 

会計監査人監査を目的とするものではない調査であれば、

財務デューディリジェンスの場合には、原則としてレビューで足り、

非常に重要な事項については、監査に準じた手続きをとる、

ということで良いのではないかと思います。

 

他のパートについてもほぼ同じ考え方で臨むべきものと考えられます。

法律の分野で言えば、現地法について、

最初から頭にたたき込まなければならない、

と堅く考える必要はない、ということになります。

デューディリジェンスを極められた方からしてみれば、

至極当然のことのように聞こえると思いますが、

チームに一般の従業員などが含まれる場合もあるので

(現場業務フローを観察する人など)、

このことを意識していただくよう啓蒙することが、

私たちの仕事の1つになります。 

 

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投稿者: 弁護士 野澤吉太郎