企業法務/海外子会社管理(4)ガバナンス体制
2016.02.16更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
海外子会社管理の援助の業務の一環として、
最初に行われるガバナンス体制の確認について、
試論を書いてみたいと思います。
1 日本の親会社と海外子会社の資本関係等についての確認
資本関係にはいろいろなパターンがあります。
子会社であったり孫会社であることもありますが、
あるいは合弁会社などのように、他の株主がいる場合もあります。
多くの場合、これらの情報は日本で情報を入手することができます。
この点についての確認を経ないと、
各論に入るときに論点が出てきません。
一例を挙げると、
日本親会社と海外子会社との間で国際取引を行う場合には、
通常形成される正常な取引価格(独立企業間価格)にて
取引を行う必要があります。
いわゆる移転価格税制の問題です。
日本親会社の側に特に問題意識がないような場合などには、
啓蒙する方法、内容を考えることになります。
2 親会社の管理方法の確認
子会社だけを観察するのではなく、
日本の親会社を観察することが必要です。
親会社は子会社をどのように戦略的に位置づけているのか。
親会社と子会社はどのような役割分担を行うのか。
親会社側の窓口は誰になっているのか。
日本側では、海外事業部を設けるのか、
各事業部門が管理するのか、
特に中小企業の場合には
過度に属人的な管理方式になっていないか、
親会社は子会社からどういう情報を入手し共有しているか、
改善点はどの点にあるか、
など考察すべき点は諸々あります。
日本の親会社等からヒヤリングを行い、
その会社に合った方式が何であるかを判断し、
改善が必要であれば指摘を行います。
管理が緩やかすぎて子会社の活動が野放しにされていても、
管理を強化しすぎて子会社の活動を阻害するようでもいけません。
3 子会社の組織の確認
役員構成、組織図等を入手し、
当該国の会社法に適合しているかを確認します。
どの程度労力と時間を掛けるかはケースにより異なりますが、
簡易な調査で済む場合には、
投資情報のホームページ(ジェトロなど)、文献などを確認し、
綿密な調査が必要な場合には
当該国の会社法の原典にあたって調べることになります。
子会社の組織と親会社の組織のそれぞれを確認した上で、
その協働が円滑に行われるといえるか否かを
判断していくことになります。
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