野澤吉太郎法律事務所 弁護士 野澤吉太郎

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契約書(2)商取引と契約書

2015.11.07更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、商取引の契約書について書きたいと思います。

 

1 商取引の契約


 

 

現在、フランチャイズ契約に関する書籍の編集、

校正等の作業に名前を連ねていただき、検討を重ねています。

 

フランチャイズ契約については、

裁判などの紛争になることが多いので、

裁判例を分析した書籍などは多数存在します。

裁判例を分析した書籍などは、類似の紛争が発生したときは、

もちろん参考になります。

しかし、裁判で問題になった論点をいくら洗い出しても、

非常に限られた論点に集中していて、

断片的であると思わざるを得ません。

(裁判になると、その論点に対する判断に何年もかかることが多い、

    というのも困りどころですが。)

日々の業務の中で担当者の方が悩まれている問題は、

裁判になりそうもない、別の問題であったりします。

基本的なものの考え方を把握しないまま、

諸々の論点を一つ一つ追っていくと、本当にキリがありません。

 

理論と実務の双方に精通しておられる弁護士の先生は、

非常に限られていると思います。

契約の条項の根底に流れているものの考え方について記した書籍も、

本当に少ないことを実感しています。

今回私がご協力させていただいている書籍は、

数少ない書籍の1つに加わることに間違いないものと思っています。

 

2 専門性の高い商取引


 

 

多数の裁判例があるためか、フランチャイズ契約はまだいいほうで、

法解釈論に関する文献がほとんどない商取引は物凄く沢山あります。

弁護士が増えた、とよく言われますが、

皆が同じ領域に関心を向けているようでは、

社会のニーズを満たすことにはなりません。

あまり深掘りされていない商取引の分野について、

研鑽を深めることも私の1つの業務であると思っています。

 

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契約書(1)ひな形、フォーマットを使える場合と使えない場合

2015.11.06更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回はテーマを変え、契約書について書きたいと思います。

 

1 契約書のひな形、フォーマットが使える場合


 

 

すでに原稿を作成した後に弁護士が目を通す、

というレベルの仕事であれば、

調べる時間を少しいただければ、大概は解決できます。

また、定型的な契約であれば、

ひな形やフォーマット等も出回っていますので、

弁護士が最初から作成する場合でも、それほど時間はかかりません。

すでに取引が始まっているけれども、

契約書を作成していなかったので作成する、

という場合でも、ほぼ同様です。

 

2 契約書のひな形、フォーマットが使えない場合


 

 

難しいのは、例えば、ビジネスそのものが始まっておらず、

一からビジネススキームを創り出す場合の契約書の作成です。

たいていの場合、弁護士は、片方の当事者から話を聞くことになります。

その話の中から、相手方の要望、想定されるトラブルなどを発見し、

条項を詰めていくことになります。

お客様から、徹底的に話を聞いていかなければなりません。

大企業で用いられる基本契約書や覚書などを作成する場合も、

似たような問題があります。

これらを作成する際には、

ビジネスそのものを一から理解するプロセスが必要になります。

これは非常に難しい作業であり、

上の段落で書いたやり方とは全く様相が異なります。

場合によっては、修正を重ねたりしていると、

作成に何ヶ月もかかったりすることもあります。

 

3 契約書作成とコミュニケーション


 

 

このように、契約書について、

どの程度時間をかけて検討すべきかは、事案によって異なります。

時間や労力のかけ方を決めることは、難しい判断です。

弁護士の側からきちんと方針を提案し、お客様と協議し、

納得を得ながら進めていくよう、心がけています。

このプロセスを省き、きちんとお客様に説明しないまま、

蓋を開けてみれば費用が高かった、というケースが、

この業界においては相当多かったのではないかと思います。

契約書の作成は本当に難しい仕事であり、

相応の費用をいただかなければならない場合もありますが、

オーバースペックでは意味がありません。

双方、適切にコミュニケーションを取りながら、

進めさせていただければと願っています。

 

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弁護士とコンサルタント(6)弁護士、コンサルティングのアドバイスの違い

2015.11.04更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、企業の顧客対応に関するアドバイスの方法について

書きたいと思います。

 

1 弁護士としてのアドバイス


 

 

お客様に対するクレーム対応のあり方について、

弁護士としてのアドバイスと、コンサルタントとしてのアドバイスは、

自ずと違うものとなります。

特に、個人の消費者をお客様としている場合には、

甚だしい違いを生じることもあります。

 

まずは、弁護士としてのアドバイスを示すこととなります。

契約内容に基づいて法的な判断を加えていくことになります。

例えば、店舗における対面販売などでは、

約款も契約書も存在しない場合が多いため、

法的には責任なし、クレームには応じる必要がない、

という結論を示すことが、わりと多かったりします。

 

しかし、昨今のように、

消費者のバイイングパワーが強くなった時代にあっては、

このアドバイスをそのまま一人歩きさせると、

お客様に不親切すぎであって、

当然ながら、顧客離れを起こす原因になります。

インターネットで悪口を書かれたりすることにより、

売上が下がっては、元も子もありません。

 

2 コンサルタントとしてのアドバイス 


 

 

そこで、次にコンサルタントとしてのアドバイスを行います。

法的な原則論からどこまで修正して良いかを、

ご担当者と一緒に考えることとしています。 

対象が商品であれば、返品対応、商品交換、郵送費負担の範囲、

段取りなどを検討します。

この対応により、個別にみれば、

商品売価を超過する負担が発生する場合もあります。

しかし、クレームの件数が比較的僅少である限り、

そのようなコストは避けられないもの、

と考えたほうが良いと考えています。

このコストとしていくらくらいを予算として見込むことができるか、

あるいは、どの範囲まで親切な対応をすることを許容できるかの

ルールを決めていきます。

ある程度ルールが決まれば、

現場のクレーム対応する方々も仕事をしやすくなります。

経営判断も絡むことになりますが、

適宜経営者とご相談のうえ、承認を得ていけばスムーズに進みます。

このようにして、不満を持つお客様の割合を

できる限り減らしていくことに神経を傾けます。

それでもご不満をお持ちの方については、

原則論に戻り、法的対応によって処理していきます。

弁護士として受任し、対応することもあります。

 

3 まとめ


 

 

まずは企業でお困りのご担当者の方に、法的な原則論を押さえていただくことは非常に重要です。

その原則から、どの範囲まで修正を加えることができるか

一貫して判断していきます。

難しいことも多いですが、

経験を積み、このノウハウを確立していきたいと思っています。

 

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弁護士とコンサルタント(5)弁護士業務の難しさ、コンサルティングの難しさ

2015.10.31更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、弁護士の視点の立て方と

コンサルタントの視点の立て方の難しさの違いについて書きたいと思います。

 

1 弁護士業務の難しさ


 

例えば、訴訟の原告は、事実関係の取捨選択をして、

何を訴訟物とするかを選択することになりますので、

代理人弁護士は、その選定について創意工夫を凝らすことが必要ですが、

無数に選択肢があるわけではないので、取捨選択が異常に難しい、

ということはあまり感じません。

訴状の提出の段階で、概ね、審判の対象は設定されており、

その後は、一定のテーマの枠をあまり外れることなく、

必要な業務を行います。

原告被告を問わず、非常に細部にわたるまで事実の把握、

証拠の確保に努め、主張立証を行うことになります。

細部の事実を究明することは、非常に大切なことであり、

また、非常に労力のかかることでもあり、

日々難しさを痛感します。

書面を起案するときには、一点の誤解も招かないよう、

一言一句に神経を使います。

 

2 コンサルタントの難しさ


 

コンサルタントにはそれとは別の難しさがあるように思います。

経営課題は無数にあります。その中から問題を選定する際に、

この点を改めれば効率的に経営が改善するのではないか、

という仮説を立て、

統計データなどを参照、活用して説得性を持たせ、

実行してもらう、という段取りを経ます。

この仮説の立て方が格段に難しいところになります。

ここを間違えると、その後どれだけ労力と費用を費やしても、

無意味であればまだいいほうで、

場合によっては有害になることがあります。

問題設定を間違えると、いくら正しい検討過程を経ても、

答えも間違えてしまいます。

テーマの選定を間違えると致命的ですので、

その間違いだけはしないように努めなければなりません。

他方で、仮説の立て方が間違っていなければ、

実行の段取りを適切に組めば良いのであり、

自分が実行することは少ないので、

訴訟ほどには一言一句や一挙一動に神経を遣う必要がありません。

 

3 両方を見ることの重要性


 

どちらがより難しいということはなく、

どちらも重要だとしか言いようがありません。

木を見て森を見ず、という言葉がありますが、

木も森も見ないといけない、というのが、実情です。

どちらが必要とされている局面なのかによって、

頭のスイッチを切り替えないといけません。

 

よほど専門的なことであれば話は別かも知れませんが、

どこの組織の一員の判断だから間違いがない、というような話ではなく。

もっぱら個人の実力にかかってくることのように思います。

弁護士業務でもコンサルタント業務でも、

両方を見ることができるように、

細心の注意を払って仕事をしていきたいと思います。

 

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弁護士とコンサルタント(4)経営コンサルタントの意味

2015.10.30更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

引き続き、コンサルタントの活動について書きたいと思います。

 

1 弁護士業界の最近の動向


 

 

弁護士が増員となって仕事の取り合いになっている、

という話をよく聞きますし、

実際に、私自身もそのような空気感を、

ひしひしと感じながら仕事をしています。

1年、あるいは数ヶ月単位くらいで、

業界を取り巻く環境が変わっていく感じがしています。

ただ、変化が早いことは、他の業種も同様であり、

それほど特殊なこととは思いません。

 

弁護士の定数を減員すべきかどうかなど、

そういう議論はいろいろあります。

確かに、このままの状態で増員し続けても意味がない気はしていますが、

今までと違う分野に進出する弁護士が増えていくような流れができると、

良いと考えています。

 

2 コンサルタントの存在意義


 

 

弁護士が、社外取締役や社外監査役として会社に参画する途は、

あまり広い門ではありませんが、以前から存在しています。

しかし、いきなり社外役員になったとしても、

会社のことをきちんと理解して職務を遂行することは、

本来、非常に難しいように思います。

少なくとも、私自身は、下から上に上申される情報には、

どこかでバイアスがかかると思ってしまい、

なかなか鵜呑みにはできませんので、自分で調べたくなってしまいます。

 

他方で、外部のコンサルタントは、経営者、従業員など、

ピラミッドの上下を問わず、

横から情報を収集しやすい立場にあります。

会社の運営についても、外部の関係者のほうが、

関与しやすい分野はたくさんあります。

そこで活動して、いろいろなルートから情報を入手し、

事実を把握し、分析することも、自分の経験になります。

 

3 今後の弁護士業界について


 

 

コンサルタントの領域から、

経営者や管理職として会社に入る弁護士が増えてくると、

非常に面白いと思います。

常勤か非常勤かは重要ではなく、

実際に業務執行を担うかどうかが重要だと思います。

 

私自身がそういう途をたどるかどうかは全く分かりませんが、

業界がそういうことに違和感を持たない雰囲気ができてくれば、

私自身も自分の活動を弁護士の同業者に説明する煩わしさが少なくなり、

仕事をしやすくなる、という気持ちもあります。

ともかく、同じような考え方をもって行動してくれる弁護士が、

たくさん現れてくれると面白いなと思います。

 

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弁護士とコンサルタント(3)弁護士のコンサルタントを活用する意味

2015.10.29更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士活動をしております、野澤吉太郎です。

今回も、コンサルタントの活動について書きたいと思います。

 

1 弁護士の活動との共通性


 

 

コンサルティング会社の関係者になってから、

経営者、ビジネスマンの仕事の進め方を、

間近に見ることが多くなってきました。

ビジネスを成功させるためには、アイデア、行動力、

営業力、決断力、その他諸々・・の能力もさることながら、

相応の論理能力が必要だ、ということを痛感しています。

同じ会社の構成員、取引先、関係先などを説得しないと、

ビジネスを前に進めることができませんので、

考えてみれば、当たり前のことなのですが。

 

論理能力については、弁護士は、

法律に関わる議論の中で散々鍛えられているので、

既存の業務に相通ずるところが非常に多いと感じます。

 

また、事実を把握し、分析することが重要である、

という点も痛感しています。

これも、法曹が徹底的に訓練されている事柄の1つです。

会社の様子を外から見ていても、ここがおろそかになっている人は、

意外と多いな、という気がします。

 

2 役に立つ局面


 

 

ビジネスを進めていくうえで、滅茶苦茶な論理を押し通そうとしたり、

相手によって事実を使い分けて説明したりして、

事態を切り抜けようとする人がいます。

(※別にビジネスマンに限らず、弁護士にも、

どこにでもそういう人は沢山います。)

そういう事態に直面しても、

事実を説得性をもって丁寧に説明していくことで、

少しずつ味方を増やすことができることがあります。

そのときにはいったん退却せざるを得ないとしても、

布石というか、足跡を残すことができれば、

その後のビジネスの足がかりになることもあると思います。

 

法律の解釈問題ではなくとも、そのような領域で活動し、

お役に立てることは、結構多いのではないかという感触を持っています。

その他の能力についても、常日頃仕事をしている中で、

ある程度は養成されてくるものですので、

弁護士の既存業務との共通項は多いと考えています。

 

3 私自身の取り組み方


 

 

これまで、ビジネスについては会社側が考えることで、

弁護士はあまり関与すべきでないというのが、

業界内の一般的な考え方でした。

ついこの間まで、棲み分けがうまくできていたのかもしれません。

その考えを否定するわけでもないのですが、

少なくとも、幸いにして、私の周りには、

ビジネスについても関与するニーズがあるようなので、

私自身は、既存業務に過度に固執しないで、

ご期待に添えるようにしていきたいと思います。

 

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弁護士とコンサルタント(2)コンサルタントの仕事内容

2015.10.28更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で主に城北エリアを中心に

弁護士活動をしております、野澤吉太郎です。

今回も、コンサルタントの活動、仕事内容について書きたいと思います。

 

1 コンサルタントになる前の弁護士の活動


 

 

以前から、弁護士業務として、会社分割、事業譲渡などに関わる際に、

他の専門家の方が作成されたスキーム図などを参照していました。

 

会社分割や特別清算などにおいては、会社法をはじめとして、

たくさんの手続きを確実に履行していく必要があり、

これを間違いなく遂行するだけでも非常に神経を遣います。

 

そうして仕事をしながらも、頭の片隅に、

図を描く人が一番凄いなあ、自分もそれに関与していきたい、

という思いがありました。

それでも、多くの場合は、全体のスキームにおける弁護士の役割分担は、

だいたい決まっており、与えられた役割の範囲内で、

淡々と業務をこなすことが多かったように思います。

 

そうしたところ、ご縁があって、コンサルティングの仕事を始めた後は、

スキームを策定する仕事にも関与できるようになりました。

 

2 ビジネススキームの策定


 

 

ビジネススキームを策定する際には非常に神経を遣います。

どういうところに落とし穴があるかを仲間と徹底的に議論し、

時間をかけて、スキーム図を決定していきます。

 

その作業が終わってから、契約書を作成する作業に移ります。

 

契約書を起案する仕事は非常に長い時間がかかりますが、

スキームを策定するところから関与していると、スムーズに進めやすくなります。

合弁契約や、株主間契約などは、

そうした進め方をすることに最も適した契約類型です。

 

3 コンサルタントのメリット


 

 

最近は、ビジネススキームの策定をすることに、

非常にやり甲斐をもって仕事をしています。

 

コンサルタントとして活動するようになってから、

早い段階からご相談をいただきやすくなったように感じています。

 

今後も、弁護士の既存の領域や作法に拘らずに、

早い段階からビジネスに関わるような方法をとれるよう、

工夫して仕事をしていきたいと思っています。

 

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弁護士とコンサルタント(1)弁護士がコンサルタントをする意味

2015.10.27更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で主に城北エリアを中心に

弁護士活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、コンサルタントの活動について書きたいと思います。

 

1 所属するコンサルティング会社


 

 

経歴にも書いてありますが、

私は、コンサルティング会社の代表取締役をしております。

他の仲間2名とあわせて3名で代表取締役をしております。

 

会社情報はこちら

 

弁護士も競争が激しくなり、差別化をするため、

例えば公認会計士、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士など、

ほかの士業も兼ねていらっしゃる方が多くいらっしゃるようです。

 

最近は、コンサルティング業務も行っている弁護士の先生も

現れ始めているようですが、コンサルティング会社の役員をやっている、

というケースは、まだ珍しいかも知れません。

 

ご縁があって、3年ほど前から会社に関わるようになり、

今年になって、役員になりましたが、これから、会社の仲間と協力して、

新しい領域を伸ばしていきたいと思っています。

 

2 弁護士がコンサルタントをすることの、お客様にとってのメリット 


 

 

役割を使い分けると、割とことが進めやすいケースもあります。

 

たとえば企業再生コンサルティングをする場合に、

弁護士資格を有しないコンサルタントは、

裁判所を通じた手続きをとる場合には、

別に弁護士を頼んだりしなければならず、

二度手間になることがあります。

 

弁護士の側も、任意整理や民事再生申立はするけれども、

収支の改善策は経営者ご自身に考えていただく、

ということが多かったかもしれません。

 

しかし、弁護士兼コンサルタントの場合には、

普段はコンサルタントとして、

収支改善策、社内体制の構築などについてもアドバイスしつつ、

いざとなれば、弁護士として、M&Aや民事再生手続、

債務減免交渉などに着手することもできるので、

引き継ぎが要らないというメリットがあります。

 

3 弁護士がコンサルタントをする意味 


 

 

もちろん、

コンサルタントとしての肩書きを持っているだけでは無意味で、

実力と説得力を備えなければなりません。

 

これまでと違う研鑽の仕方をしなければならないので、

大変なことも多いですが、私が所属している会社では、

他の専門家が同僚として力を貸してくれるので、

大変助かっております。

 

何より、違う経歴を持った人間同士が同じ方向を向いて、

力を合わせるのは、非常にやり甲斐のあることです。

 

守秘義務の関係もあり、

あまり具体的なことが書けないのが悩みどころですが、

しばらくの間、このテーマで、続きを書いていきたいと思います。

 

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債権回収の方法(3)法的手続きの選択のポイント

2015.10.26更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で主に城北エリアを中心に

弁護士活動をしております、野澤吉太郎です。

少し間が空いてしまいましたが、続きを書きたいと思います。

 

1 回収可能性がなくとも法的手続きを選択する場合


 

前回、回収可能性があることを原則論に据えるべきと書きましたが、

回収可能性を度外視して、

法的手続きをとるべき事例もあると考えています。

 

私が弁護士になりたてのころは、

金融機関は不良債権を早期に処理する必要があり、

そのために、貸金請求訴訟などをはじめとして、

もろもろの法的手続きをとっていました。

 

金融機関の存立基盤を固めるために

裁判などを提起し続けることが必要とされていたのかもしれませんが、

ひととおり不良債権の処理が終わり、

中小企業金融円滑化法の時代が到来してからは、

これらの流れは過去のものになりかけているように思います。

 

現在のご時世で、回収可能性がなくても、

法的手続きを取るべきだと私自身が考えるのは、

債権者のシステムを悪用したり、債権者に難癖をつけたりして

債務を免れようとする場合のように、

放置しておくと債権者のビジネスモデルを維持することが

困難になったり、対外的、対内的に示しがつかなくなる場合です。

 

2 回収可能性がない場合に説明すべき事情


 

事案をお聞きした後に、回収可能性は高くなくても、

訴訟を起こすべきだと提案する場合には、

私は、ご依頼者に対し、未収債権を放置しておくと、

ビジネスモデルへにこれこれの悪影響が及ぶ、という点を、

きちんと説明していくように心がけています。

 

その議論には、多くの場合、経営判断が絡むことになりますので、

弁護士の側にも債権者のビジネスに対する理解が必要になります。

弁護士の側も勉強をしなければならず、

それはそれで大変だな、と思うこともあります。

 

しかし、回収可能性とビジネスモデルに関する議論をないがしろにして、

弁護士に報酬を支払ったのに、

蓋を開けてみれば、回収はできませんでした、ということになると、

ご依頼者のご要望に応えられないことになります。

 

回収のアテがないのであれば、そのリスクも説明し、

それでも法的手続きを取るべき理由を、

ご依頼者にきちんと説明できる実力を持つことが、

これからの弁護士に求められているのだと思います。

 

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債権回収の方法(2)弁護士の考える方法論

2015.10.22更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で主に城北エリアを中心に

弁護士活動をしております、野澤吉太郎です。

前回に引き続き、債権回収の方法について、

私の考えをご説明したいと思います。

 

1 法的手続きの重要性


 

弁護士に限らず、様々な士業のホームページで、債権回収を取る際、

法的手続きの利点などが強調してあります。

内容証明郵便による督促、

裁判所を利用する手続き(仮差押、訴訟、強制執行)などは、

本来、弁護士が最も得意とする分野です。

これらの手続きを粛々と進めることは、もちろん非常に大事なことです。

 

私も、特に弁護士になり立ての時期には、その当時の時代背景もあり、

この種の仕事を沢山してきました。

時効完成間際の訴訟などは非常に切迫します。

事案を始めて聞いてから訴状と証拠を作成し、

会社の資格証明書などを取得して、

その日のうちに裁判所に訴状を受け付けてもらったこともあります

(かかった時間は3時間くらいでした)。

この種の職務は、時間を割り当てることができる限り、

基本中の基本です。

細かい手続、運用、解釈論争などについての知識は必要で、

そこに専門性が出てくることは確かですが、

全体的には、できて当たり前、の世界です。

 

2 現実に回収することの重要性 


 

そこに付加価値を付けるとすれば、

どうやって現実の回収に結びつけるか、という点だと思っています。

これは、最も大変なことです。

依頼者に発生するコストとの兼ね合いを考えて、

現実の回収をすることは、それほど容易なことではありません。

私は債務者の代理人として活動することもありますが、

この人は、回収のことを考えているのか?

と疑問を持たざるを得ない弁護士が多いと感じています。

回収ができるのか、という点を原則論に据えて物事を考えるべきです。

 

警戒させないで資産などについての情報を入手したり、

債務者のキャラクターや行動パターン、何に心が動くか、

何が弱みなのかなどを把握するためには、

前回に書いたとおり、弁護士に委任する前のご準備が重要だと思います。

弁護士が出ていくとこれらの情報が取れなくなることがあります。

 

3 相手の心を掴むことの重要性 


 

もちろん、事前の準備などを考えるまでもなく、

弁護士が委任を受け、直接債務者と交渉したり、

内容証明郵便を提出したり、それすらせずに、

問答無用で裁判を起こすことが適切なケースもあります。

しかし、この人は払ってこないだろうな、

と思って裁判を起こしたケースでも、

諸事情あって和解したりすると、その後、

誠実に分割支払をしてくるケースがあったりします。

法的手続きにおいても、手続きを利用して、相手の心を読んだり、

つかんだりことができるか、がキーポイントのように思います。

単純に強硬に事を進めていってもうまくいかないことがあります。

 

債権回収は本当にケースバイケースです。

従来弁護士に求められてきた分野を意識しながら、

付加価値を付けられるよう、

日々研鑽を積まなければならないと思っています。

 

次回は、回収ができなくとも法的手続きを取るべき場合について

書いていきたいと思います。

 

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