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企業法務/新規事業・ベンチャー立ち上げ支援(4)~契約書ひな形・社内規程等の作成

2016.04.10更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、ベンチャー企業における、

契約書のひな形、社内規程等の策定の段取りについて書きます。

流れを理解していただくためにあらましを書いています。

 

1 段取り


 

 

これらの業務は、ルールに関する事柄であり

、本来的な弁護士業務に近い領域です。

前回、業務フローに関するブログで述べたのと

同じことがいえると思いますが、

ある程度組織が大きくなってくると、かつての書式が焼け太り、

後で修正するには労力がかかります。

 

早いうちに枠組みを固めておいたほうがよいことが沢山あります。

もっとも、管理部門を置くために、

新規事業を立ち上げたわけではありませんから、

手を付けやすい分野から、段階的に行っていけばよいと思います。

 

2 まずは人事分野から着手する


 

 

契約書、社内規程のいずれの場合も妥当することだと思いますが、

多くの場合、雇用契約書・労働条件通知書、

誓約書、身元保証書などの人事関係の契約書、

人事関係の規程(就業規則、賃金規程、職能制度等)などを、

早急に整備することが必要なことが多いと思います。

 

労働安全衛生の観点から、

安全衛生管理規程などを整備する必要もあります。

これも、広い意味で人事関係に含まれるように思います。

 

3 その他の社内規程の整備


 

 

事例によりますが、その後、

社内で完結する事柄に着手するのが適切な場合が多いと思います。

具体的には以下のとおりです。

・会社の経営事項に関する規程(取締役会規程、規程管理規定など)

・組織権限規程(組織図、業務分掌規程、職務権限規程、稟議規程など)

・経理規程、与信管理規程

・内部監査規程

・文書取扱規程、印章取扱規程

 

以前のブログ(企業法務/会社法務(7)コンプライアンス体制、社内規程の整備)もご参照ください。

 

4 契約書のひな形の作成について


 

 

多くの場合、一番最後に来る業務が、

契約書のひな形の作成だと思われます。

取引には相手方が存在します。

取引の相手方がひな形を提示してきて、

その内容を受け入れることが半強制である場合もあります。

そうでなくとも、相手方のひな形を修正すれば事足りることがあるので、

どうしても自社のひな形の作成は後回しになります。

 

しかし、会社の規模が大きくなってくると、

それでは通用しなくなるように思います。

相手方が提示してきた契約書の文案や、コメントを見ると、

相手方の会社の法務レベル、内部統制のレベル、

管理部門にどの程度の力を置いているかは、大体知れてしまいます。

一流の会社は相手の会社の管理レベルをきちんと観察しています。

 

したがって、ある段階でプロジェクトを組んで、

望ましい契約書のひな形を整備すべきものと思います。 

 

5 教育体制の整備


 

 

これらの業務は、組織が小さいうちは、予算と相談しながら、

適宜、アウトソーシングを活用するほうが効率的です。

私自身も、ボリュームを重視して、

費用面については柔軟にご相談する心づもりはできています。

 

しかし、いつまでも外部の専門家頼みでは、

不測の事態が生じたときに対応できなくなります。

徐々に手を離し、

社内で回していける体制を少しずつ整えていきたいところです。

 

社内の後継者を少しずつ育てることが重要です。

そこまで面倒をみる専門家でありたいと思っています。

社内教育、研修などに関与することにも

積極的でありたいと思っています。

 

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企業法務/新規事業・ベンチャー立ち上げ支援(3)~ガバナンス構築と業務フローの構築

2016.04.09更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、ベンチャーの合弁会社をイメージして、

そのガバナンス構築ないし業務フローの構築について書きます。

 

1 ガバナンスの構築


 

 

ガバナンスの構築の重要性については、

既存の会社の場合と何ら変わる点はありません。

最初に居るメンバーをよく眺め、

組織図を構築し、誰が何の担当をするか

大まかな業務分掌を早急に取り決めておく必要があります。

企業が発展したり、不都合があったりする場合には、

変更すればよいことです。

まずはスピード優先です。 

 

起業間もない会社において、

大企業と同内容のガバナンスを実現することには無理があります。

例えば、10人もいない会社に法務部を構築しようとしても、

なかなか難しいことはおわかりいただけると思います。

 

企業の発展段階に応じて、

適切な管理体制を構築していくことになります。

どのような部署、制度を構築するか、

タイミングを見計らいながら助言していくことになります。

予めポリシーを策定し、経営計画を策定できるようにしておくと、

組織構築の道筋も見えやすくなります。

 

2 業務フローの構築


 

 

早い段階から業務フローの原型を作り上げていくことも重要です。

せっかく起業したのであれば、企業の規模を大きくすることが理想です。

会社に必要とされる業務の全てを抜かりなく洗い出さないと、

発展のための計画が立てられません。

業務フローを洗い出し、

経営資源(人的資源、固定資産、流動資産など)の、

何が足りないのかを特定し、将来の計画の基礎とします。

 

従業員の分担を決め、どの段階で報告、打ち合わせをするかなど、

業務フローの原型を作り上げ、文書化・ルール化しておけば、

後になって内部統制の構築をする際の手間も省けます。

支店、工場などが増えたあとに再検証することは労力を要します。

 

業務フローを向上させる改善活動をする雰囲気をつくることが重要です。

特定の人の言うことがルールになったりすることがありますが、

避けるべきことです。

途中で入ってくる従業員が、

先輩の言うことを何でも聞かなければならないとすると、

その従業員の成長が阻害されることがあります。

不合理な不文律がまかり通ると、組織が沈滞化します。

従業員の規模がひとつのハードルになることがあります。

いろいろとらえ方があると思いますが、私見では、

15名、50名、200名くらいが1つの壁でしょうか。

そこで組織の成長が止まってしまうことがあります。

これを避けなければなりません。

 

ベンチャーの段階から弁護士などの外部専門家が関与する場合には、

従業員ともコミュニケーションをとり、

人事評価制度の構築をするなどして、

モチベーションをもって仕事していただけるよう、

応援していくことになります。

 

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企業法務/新規事業・ベンチャー立ち上げ支援(2)~合弁会社設立・ライセンス

2016.04.08更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、合弁会社設立、ライセンス付与について書いていきます。

 

1 合弁かライセンスか


 

 

新規事業を興そうと志願する場合の方法論は、

細かく分けていくと、いろいろな方法がありますが、

大雑把に分けていくと、

・自らが遂行するか

・他者に遂行を任せるか

の2つしかありません。

前者の代表例は合弁契約、後者の代表例はライセンス契約です。

前者は投資が大きいが関与の度合いが強く、

後者は投資は少ないが関与の度合いが弱い、

という特徴があります。

 

合弁契約にも既存企業買収、新規設立など、様々なパターンがあり、

ライセンス契約にも、知的財産権に関するライセンス、

製造販売ライセンス、フランチャイズなど、様々な小分類があり、

細目ばかりにとらわれると立ち位置を見失ってしまいます。

大まかに捉えることが重要です。

 

弁護士に相談が来るときには、経営者の方が、

合弁契約を締結したい、ライセンス契約を締結したい、

ついてはその内容を精査して欲しい、というように、

予めテーマ設定をしてくださることが多いので、通常は、

弁護士は与えられたテーマを詰めていく作業をすることになります。

しかし、細かくビジネスモデルを聞いていくうちに、

この件はライセンスで遂行したほうが良いのではないか?

この件は合弁契約で遂行したほうが良いのではないか?

という疑問を覚えることもあるかもしれません。

そのような場合には、率直な意見交換を行うようにしています。

 

2 自ら遂行する場合(合弁契約)


 

 

自ら新規事業を遂行する場合には、

資本と人材を拠出する必要があります。

 

多数株主である場合と、少数株主である場合とで、

守るべき利害が異なりますので、

背景にある事情を考察しながら、

契約書や定款の案文を作成することになります。

 

既存の会社が合弁会社を設立する場合には、

どの部署の誰をどのような方法で新会社に関与させ、

何を担当させるか、などの枠組みを、

早急に構築して交渉にあたる必要があります。

この点も意外に重要なところです。

 

弁護士が関与する領域は、

契約書や定款の作成のみならず、

事業の切り出しの方法のレビュー、

スケジューリングのレビュー、

ないし相手方当事者への説明

(外国会社であれば法制度も含めた説明)

など、多岐にわたります。

 

なお、合弁会社とその設立については、 

「企業法務/会社法務(9)設立と定款」

「企業法務/会社法務(10)合弁契約・株主間契約」

のブログにも書いています。

 

3 ライセンス


 

 

ライセンスにはいろいろな形態がありますが、

着目すべきポイントは概ね決まっているように思います。

相手方と交渉される経営者の方々からみると、

いったい何に重点をおいてライセンス契約の締結交渉をしたらよいのかは、

意外に難しいように思います。

多種多様な内容があり、骨子を捉えづらいので、

合弁と比較してイメージが湧きづらい分野です。

 

商談は自由闊達に行いたいものです。

最低限伝えるべき事項をできるだけ簡潔に明示したうえで

あとは裁量で話してください、後で適宜条文を組み立てますので、

とお伝えすることは、弁護士が果たすべき重要な職務です。

 

全部言い尽くすことは難しいですが、

要点を抽出すると以下のとおりかと思います。

・ライセンスの範囲。どこで、何をして良いのか。

・独占権付与か非独占権か

・ロイヤルティの算定方法

・報告義務(ロイヤルティの算定について)

・権利保護に関する取り組み

・契約終了後の措置

 

以上は概略です。ビジネスの遂行上、いろいろな事態が想定されます。

細かく考えるべき点は、弁護士が綿密に考え抜いて、アドバイスしていくことになります。

より具体的なアドバイス等が必要な場合はお問い合わせいただければと思います。

 

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企業法務/新規事業・ベンチャー立ち上げ支援(1)~ベンチャー弁護士が備えるべき条件

2016.04.07更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回から、新規事業・ベンチャー支援に関して書きます。

最初に、ベンチャー支援に携わる弁護士が備えるべき条件について、

私自身の考え方を書いてみたいと思います。

 

1 ビジネスを深く理解する姿勢で取り組むこと


 

 

新規事業、ベンチャーは、全く何もないところから、

組織を創造する点に特色がありますが、

弁護士に特別な専門能力が要求される領域ではありません。

新規に行おうとしているビジネスそのものに着目し、

当該会社の既存ビジネスの情報、競争業者の事業の情報、

類似業種などで見聞した情報などを拾い集める過程を経て、

新規ビジネスから派生する法務問題を、

分野を問わず拾い上げていくことになります。

 

どの情報源にアクセスし、どのような潜在的な問題を想像し、

何を想像するか、というプロセスを回していくところに、

一定の訓練と経験が必要ですが、

偏見をもたずにビジネスに着目していく姿勢を持つことが、

最も重要なことです。

ちなみに、扱う法律問題はほぼ全ての領域にまたがる可能性があります。

何々法が専門、という、これまで弁護士のあり方とは、

相当に異なるように思います。

偏見を持たずに観察することが最も重要です。

 

2 経営者、担当者の話を丹念に聞くことができること


 

 

ビジネスそのものに着目し、一定の心証を抱いた上で、

経営者なり担当者から、大づかみな交渉状況を聞くなどして、

物事を固めていく順番を付けていくことになります。

具体的には、何の契約を締結するのか、

合弁契約なのか、ライセンスなのか、などです。

定款作成、定款認証、設立登記などの手続き、

許認可の取得などについても、イメージを持つようにします。

 

中小企業では、経営者の方々は、

先見性、パフォーマンスに圧倒的に優れた人が多いのですが、

細かく条文を規定する作業をすべき役割ではないので、

条文の作成などは部下に任せることになります。

しかも、経営者の圧倒的なパフォーマンスを、部下が、

文章に1つずつ落とし込むことができていないことが多いです。

要は、ついてこられない、ということです。

能力の問題というよりも、訓練、経験の積ませ方の問題だと思います。

設定した期限だけが先行し、精査がなされないまま、

簡単な内容の契約をもって事業を開始してしまうことが多いです。

 

経営者のパフォーマンスを文章に落とし込んでいくことが、

弁護士の仕事の1つとなります。

経営者の方々には時間がありませんので、骨子だけを聴き取り、

自分のイメージと経営者のイメージを照らし合わせて想像をめぐらし、

近い将来開始されるべき事業のオペレーションにも考えをめぐらせて、

1つ1つの条文を作成していくことになります。

必要に応じて関連部署の担当者とも打ち合わせをし、

丹念に話を聞いていきます。

とにかく、丹念に要望を聞いていくことが必要です。

弁護士の意見を過度に押しつけようとすることは禁物です。

 

3 レスポンスが早いこと


 

 

起業をめぐる情勢は、生もののように、日々動きます。

レスポンスが早いことは死活的に重要です。

論理的正確性を追求することよりも、

イメージを具現化することのほうが大事で、

すぐに方向性を示してあげないといけません。

 

弁護士が携帯電話の番号を教えておくことは必須だと思います。

これができない弁護士が意外と多いように思いますが、

ベンチャー支援をする際にはそれではダメだと思います。

軽く質問されたことについて、

取り急ぎの心証を言えないような状況では、

新しいものを創造することはできません。

 

少し話が脱線しますが、私は、具体的に依頼を受けた場合には、

携帯電話の番号を教えるようにしています。

事務所にもどってから電話する、では遅いし、かえって面倒です。

変な電話がかかってくるから教えないほうが良いよ、

と忠告されることもありますが、当人が思う以上に、

それほど変な電話はかかってこないものです。

 

4 求められた意見については専門内外を問わず具申すること


 

 

新しいものを創造しようとするときには、

何の分野であろうが、人手が足りないことが多いです。

求められた意見については、積極的に回答することが必要です。

後で責任追及されるのではないか、という、

後ろ向きな考えでは仕事が務まりません。

 

 

私は、以上の考え方にしたがって職務を遂行しています。

ついこの間もベンチャーの職務を経験しました。

未経験の業種でしたが、想像を積み重ねながら成果を提示しました。

 

あらゆる分野の考察をしなければならない領域であるため、

全貌を書き連ねることは難しいですが、次回以降に、

個々の職務内容をいくつか拾い上げて書いてみたいと思います。

 

 

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不動産事件(12)不動産の供給過剰の傾向と不動産事件

2016.04.06更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

不動産の供給過剰の世相のもとで、

どのような不動産事件が増えるかについて、

考えを簡単に書いてみようと思います。

 

1 不動産の供給過剰とトラブル


 

 

都市部でタワーマンションやオフィスビルが次々と新築されていますが、

明らかに供給が過剰なように思います。

人口が減少しているのに住居が増えている状況です。

オフィス需要も、どの程度堅調に推移するか疑問です。

クラウドサービスの進展により、

パソコンを持ち歩けば仕事ができる時代です。

 

外国人や海外会社の需要を取り込む動きもありますが、

手放すモチベーションがどうしても高くなるように思いますし、

戻りの程度は限定的なように思います。

一時需要の取り込みも、

一歩間違えるとトラブルの原因になります。

例えば、民泊を活用する動きもありますが、

個人的には、慎重に考えたほうが良いように思います。

無断転貸、用法違反などのトラブルを招く可能性もあり、

裁判などで解決しなければならないトラブルも増えると思います。

 

2 管理の困難な不動産の後始末(賃貸借の解約、建替)


 

 

今後は、需要の減退を遠因とするトラブルが、

徐々に増えていくように思います。

賃貸不動産やマンション等は、

満室であることを前提として新築されたものが多いですが、

老朽化すると、次第に空き部屋が続出し、

管理が困難な状況に陥る物件が多くなります。

耐震設計上懸念のある不動産について、

建て替えを推し進めるべき状況も徐々に顕在化しています。

高齢化の進行もこの傾向に拍車を掛けるように思います。

 

行政が急ぎ対処する事例も多くなると予想していますが、

予算が限られている中で、行政のみに対処を委ねていると、

手遅れになることが多いと思われます。

 

不動産が管理困難な状態に陥る予兆がある場合、

管理の継続の方法と、手じまい(取り壊し)の計画の策定を、

民間人が関与し、ノウハウを積み重ねることが

求められているように思います。

例えば、最低限の管理を継続しながら、適切なタイミングで、

賃借人に退去していただけるよう予め戦略を練る。

賃貸マンション等に比べれば、後見案件、相続案件でも、

規模は小さいものが多いですが、同様の現象がみられます。

この領域で弁護士が活動していく余地が

大いにあると踏んでいます。

 

不動産事件に関するブログは、ひとまずこれにて終わりにします。

 

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不動産事件(11)地方の不動産紛争~所有権と用益権・入会権

2016.04.05更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

私は地方の不動産紛争に何件か関与したことがありますが、

その過程で慣習上の権利の存在に直面しかけて、

非常に考えさせられたことがありましたので、概要を書きます。

 

1 土地所有権侵害


 

 

依頼者が所有する山林の中に、付近の住民が、

野草の採取のために立ち入っている、

という相談を受けたことがあります。

大学で現代の法律を学び、

その後に東京で弁護士業を何年も営んでいると、

付近住民によるそれらの行為は、土地所有権の侵害だろう、

と即断し、疑わなくなります。

当然、立ち入り禁止の看板を出そう、簡単でも良いから柵を作ろう、

侵入者には警告しよう、というアドバイスの流れになります。

 

付近住民が言いそうな主張内容はある程度想像がつきます。

たとえば、その山林の所有者はよそ者(地元と縁のない業者)だろう、

私たちの先祖が地元に根ざして土地を開拓してきたのだから、

私たちにも権利がある。というものだろうと思います。

民法の思考回路に慣れ、都会的発想にも染まった人間からみると、

所有権を否定するとんでもない論拠だ、

まったくルールを理解していない、という考えに陥ります。

 

2 慣習上の権利


 

 

しかし、その後に一見関係のない分野も含め、

いろいろなところから見聞を深めるにつれ、

私のアドバイスが少し安直だったことが分かってきました。

 

たとえば、入会権という権利があります。

入会権の定義は学者の先生方によって様々ですが、

典型例としてあげられるのは、一定地域の住民らが、

一定の山林原野で草木などを共同して採取する、というものです。

村落共同体に基礎を置く権利であり、

その対象は、山林、原野、河川、温泉、漁場など、

広範囲に及びうるものです。

 

民法上の条文は、2箇条しかありません。

・共有の性質を有する入会権については、

各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する(263条)。

・共有の性質を有しない入会権については、

各地方の慣習に従うほか、この章の規定を準用する(294条)。

 

明治時代に地租改正を断行し、近代的所有権制度を確立するにあたり、

土地を官有地・私有地に分けることになりましたが、

特定の土地を、半ば強引に官有地に編入する際に、

付近住民の権利が完全に消滅することなく、

残存したものがあるようです。

明治時代の民法制定の際にも、

各種各様の権利を

条文で一律に規制することは不可能と考えられたため、

慣習にしたがう、という内容の条文しか

設けられなかった経緯のようです。

今後の民法改正でも

この条文を変更するとの話は出ていないようです。

 

かつて官有地、地方公共団体の所有であった土地については、

入会権が残存している可能性が高く、

現在においても、取得しようとする不動産業者は

細心の注意を払って調べる必要があります。

入会権は登記されているとは限らないところが厄介なところです。

 

バブル期の土地開発においては、開発を進めようとする業者に対し、

隣地住民が入会権を主張し、徹底的に抵抗する紛争があったようです。

徳川時代に形成された慣習にさかのぼって

調査をしなければならないため、

主張、立証に相当の長期間を要し、紛争が解決したときには、

開発の意味が乏しくなっていた、などという話も聞いたことがあります。

 

3 地方の不動産紛争の難しさ


 

 

私は、間違ったアドバイスをしていたわけではないのですが、

付近住民が本当に無権利なのかどうかを疑わなかったことに、

多少の問題がありました。

付近住民がその土地について昔から慣習的な権利を有しており、

現在の住民も、その慣習的な権利を承継している可能性があります。

昔からある土地の所有権を過去にさかのぼっていくと、

地租改正の時代にさかのぼります。

このような土地において、

慣習的な権利の不存在を証明することは非常に困難です。

 

入会権については、民法学者の中にも、

多大な研究業績を残されている方が何人かいらっしゃいます。

近代的所有権を出発点に考える民法の考え方からすると、

非常に理解しづらい領域です。

社会学的な分野に関心をお持ちの学者からすれば、

これ以上面白い分野はないのかもしれません。

地方の不動産紛争については、

近代的な土地所有権を鵜呑みにできない側面があります。

 

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不動産事件(10)環境規制について

2016.04.04更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は不動産の開発に伴う環境規制について書きます。

 

1 不動産と環境規制


 

 

不動産に関するデューディリジェンスをおこなうにあたり、

環境法規制に関する考察は避けては通れないものになっています。

環境被害の多くは、土地建物を問わず、不動産から生じるものです。

 

不動産の開発申請については、会社、不動産業者と行政側の折衝によって行われることが多く、

それで大体事足りており、弁護士が参与することはあまり多くなかったように思います。

弁護士も細かな法規制についてはあまり知らないことが多く、

私自身もあまり明るくない分野がたくさんあります。

 

しかし、ビジネスの構築に寄与することがこれからの弁護士に求められているものと思いますし、

その中には不動産の開発等が密接に絡むものも沢山あります。

環境規制は、無尽蔵ではないかと思えるくらい、多種多様にわたります。

1つ1つ条文から勉強していくことは途方もないくらいです。

私自身は、ビジネスの構築の経験を積む過程で、少しずつ詳しくなることを目指しています。

 

2 法律や文献の調べ方など


 

 

公害規制的な内容のものとしては、廃棄物処理法などがあります。

自然保護的な内容のものとしては、自然公園法、森林法、河川法などがあります。

挙げればキリがないくらいです。

インターネットなどで環境規制を総ざらいし、

必要性の高そうなものについて深掘りして調べていくことが必要です。

 

何年か前に森林法について詳しく調べようとしたことがあります。

しかし、そのころ、これらの法規制について、

考察を加えた文献がほとんどありませんでした。

官庁の図書館などに出入りしながら根気よく調べました。

せっかく文献を見つけても、行政の解釈については言及されてはいるものの、

法制度の問題点などを明示に指摘するようなものは特にありませんでした(当然ですが)。

文脈のウラを読んでいく作業に非常に苦心したことが思い出となっています。

温泉法、河川法などについても同様の状況であったと思います。

 

3,4年くらい前からだったと思いますが、徐々に、文献が出始めています。

弁護士増員の成果といえばうがった見方かもしれませんが、

徐々に業務が開拓されている実感があります。非常に面白い状況だと思っています。

 

3 新規事業と環境規制


 

 

原発事故の後、環境への配慮から、

再生可能エネルギーが奨励された時期がありましたが、

再生可能エネルギーが必ず環境に優しいか?と考えてみると、そうでもないように思います。

 

特に、メンテナンス不十分な太陽光発電などは、漏電、発火のおそれがあり、非常に危険です。

パネルを見ると何となく楽しくなります。

触りたくなる人もいるかも知れませんが、感電死してしまいかねません。

 

環境規制を厳しくして生まれた事業にも別の環境規制が必要となります。

終わりのないリスク管理の連続です。

 

環境規制について絶えず厳しくチェックする仕事は、相当の潜在的需要があるように思います。

 

4 海外の不動産においても概ね共通の問題があること


 

 

しかも、環境規制は日本国内に限ったものではなく、世界的にほぼ同種の規制がある、

という点が非常に興味深いところです。

日本国内の環境規制に詳しくなれるのであれば、

海外事業でも応用を利かせられるのではないかと思っています。

 

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不動産事件(9)賃料増減額に関する紛争

2016.04.03更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、賃料増減額をめぐる紛争の処理について書きます。

 

1 借地借家法に基づく増減額請求権


 

 

まずは条文上の根拠を挙げます。

土地については借地借家法11条、建物については借地借家法32条です。

 

借地借家法11条1項

地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、

土地に対する租税その他の公課の増減により、

土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、

又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、

契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。

ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

借地借家法32条1項

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、

土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、

又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、

契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。

ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

 

商業不動産開発などが盛んであった時代などにおいては、

年々ますます景気が良くなるだろう、という見通しのもと、

賃料自動増額条項などが契約書に設けられ、所有者を勧誘していた事例がありました。

私が弁護士になった時期ごろにこの件に関する紛争が多発しており、

裁判例も蓄積されていました。

 

増額、減額のトレンドは、景気に左右されます。

賃料自動増額条項などに関連する紛争は少なくなっていると思いますが、

最近、都市部においては増額のトレンドになりかけているような気がします。

権利行使までの調査の内容、権利行使のタイミングについてアドバイスをすることが、

請求を行う側の弁護士の重要な仕事です。

 

2 調停


 

 

賃貸人、賃借人間の交渉がまとまらない場合には、

請求をする側の当事者は調停を申し立てなければなりません。

多くの場合、裁判所による鑑定を経ていない状況で調停を行います。

片方の当事者が依頼した不動産鑑定士による鑑定書がある場合でも、

その内容を相手方当事者が受け入れないことが多く、

私の実感としては調停が成立して紛争が終結するケースは割と少ない気がします。

 

3 訴訟


 

 

調停が不調に終わった場合は請求をする側の当事者が訴訟を提起することになります。

お互いの主張立証を一応尽くした後に、不動産鑑定を実施します。

鑑定書が出された後に、話し合いの機会が持たれることが多く、

話し合いが決裂した場合には証人尋問、判決という流れに移行します。

 

4 弁護士の活動


 

 

訴訟にまで至った場合、不動産鑑定士による鑑定の内容が結論においても採用される可能性が高く、

正直なところ、弁護士が知恵を働かせて大きく流れを変える、ということはあまり多くありません(特に被告の場合)。

しかし、法廷の場で賃料の増減額を争うにまで至る背景には、

賃貸人・賃借人の間で別のトラブル(賃料不払い、用法違反など)も隠れていることが多く、

訴訟上の和解の場でこれを解決できる可能性もあります。

また、どの時点から賃料を増額するか(意思表示時か、和解時か)、

鑑定費用を誰が負担するか、などにおいて、

駆け引きを行いやすい環境があります。

話し合いを成立させるための戦略、駆け引きについては、

弁護士の出る幕は大いにあります。

 

5 弁護士費用


 

 

弁護士費用については、月額の増減額の請求幅または実現幅×7年分を経済的利益とみなし、

それを交渉、調停、訴訟の着手金・報酬金の算定式にあてはめることでお願いしています。

鑑定費用は別途必要です。鑑定費用をどの当事者が負担するかは、話し合いの場合はその内容次第であり、

判決の場合は、概ね、鑑定費用の金額に敗訴割合を乗じた金額となります。

(このことから、判決が不利な内容の場合には、話し合いをしたほうがよい場合が多いといえます。)

 

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不動産事件(8)管理の困難な不動産について

2016.04.02更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、管理費用の捻出が困難な不動産の案件に関与した際の、

若干の経験を書いてみたいと思います。

 

1 管理困難な不動産


 

 

マンションを活用した不動産賃貸業等を営む会社が、

支払不能になるケースなどが典型例です。

賃借人の退去が続き、売上(賃料収入)が減少すると、

費用の捻出に苦心します。

場合によっては、水道光熱費、火災保険料などを

拠出できない場合も出てきます。

不測の事態が生じた場合には、

賃借人に損害を与えるおそれがあります。

費用を工面できない場合には、

対処療法を施しながら粘っていくしかありません。

 

2 将来、管理困難な不動産の問題が深刻になっていくおそれ


 

 

詳細の言及は控えますが、

私もこのような不動産の管理に関与せざるを得なかったことがあり、

何度もヒヤッとさせられたことがあります。

営業中のテナントがいる不動産に関して、

明日電力供給を止めます、

いま水漏れが起きているけれどもどうしたらよいか、

などという緊急の電話が来たりします。

法律が絡む問題であれば、

倒産法制にしたがって処理しなければなりませんが、

背に腹を代えられない状況は沢山出てきます。

 

複数のテナント、賃借人がいる不動産において、

管理責任者が当事者としての責任を負えなくなることほど

恐ろしいことはありません。

ゴミ屋敷などの例がニュースで報道されたりすることもありますが、

不動産管理は不動産所有者や管理組合など、

当事者が行うのが大原則であって、

よほどのことがない限り行政が介入することはありません。

地方においては人口が減少し、

都市部においてはマンションの供給過剰の傾向にあり、

地方、都市を問わず、高齢者が増えていくという趨勢であるため、

この種の問題が今後深刻化していくことは

ほぼ間違いないと思われます。

肌実感ですが、現状の倒産法制は、

管理の荒廃について十分な配慮を施していないように思います。

 

3 高圧電力供給の問題


 

 

高圧電力供給の料金の未払いへの対処に

何度も悩まされたことがあります。

いったん電力供給を打ち切られると、

料金を支払えばすぐに供給が復旧する、

ということではなく、再開設まで2週間くらいかかる

(正確かどうかは不明です)ようです。

営業店舗などがテナントにいる場合には、

その期間の電力供給停止により、

回復不能な損害を被ることがあります。

 

そのため、多くの場合、結局は、

電力料金を支払わざるを得ないことになりますが、

そうは言っても1回分だけなら滞納できるかどうか、

など細かい注意点が沢山あります。

倒産法制の教科書的対応をしているだけでは

対処しきれないことが多いです。

私がたまたまそのような経験をさせられただけかも知れませんが、

高圧電力供給体制についてはほかの水光熱費の未払いにも

まして細心の注意を払う必要があります。

 

4 管理組合


 

 

管理組合が好き勝手な振る舞いをして

区分所有者が異常な苦労を強いられることがあります。

特定の団体(出入り業者など)が、

過半数の区分所有権を掌握したりすると、

気ままに管理組合を運営することがあります。

少数派が異議を申し述べたりしても一顧だにせず、

少数派がマンションを売却しようと思っても、

管理組合が重要事項説明書を不動産業者に提出してくれない、

したがって売却することもままならない、

などという事例があったりします。

 

区分所有法に限らず、会社法などを含め、

日本の法制度全般において、

多数決の横暴に対する歯止めの意識が弱いように思います。

 

特に単身者向けのマンションなどは横の繋がりが弱いので、

このような問題が横行しやすい下地があります。

いずれにせよ、不動産を選ぶ際には慎重に観察する必要があります。

 

 

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不動産事件(7)不動産の任意売却

2016.04.01更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

仕事上の都合がいろいろと立て込み、更新が遅れました。

久しぶりに不動産について書いていきます。

今回は、不動産の任意売却について書きます。

 

1 オーバーローンの場合の任意売却


 

 

不動産の決済は至るところで行われています。

多くの案件では金融機関のローンを担保するため、

抵当権が設定されており、その抹消が必要となります。

売主が買主から受領した代金を原資として、

ローンの元金、利息の満額を支払ってくれれば、

金融機関は、抵当権の抹消に応じてくれます。

決済によりローンを完済できるような事案であれば、

弁護士が介入するまでもないことが多いです。

 

金融機関に対するローンの金額が不動産価値よりも多額の場合などには、

金融機関が満足する売却価格を提示しない限り、

金融機関は抵当権を抹消することに難色を示します。

とはいえ、不動産価値は市場の需給により決まるものであり、

価格をつり上げようとしても自ずと限度があります。

無謀に高価な売却価格にて売却させようとして粘りすぎると、

不動産の処分が遅れ、ローンの回収も捗りません。

金融機関は、どの程度の売却価格で売却し、どの程度の金額を弁済すれば、

不動産の処分を許容するかについて、ある程度もくろみを立てています。

このような場合、金融機関に対するローンの支払い方法に関する交渉を含みますので、

弁護士が事務処理に参与する下地があります。

 

2 相続案件での任意売却


 

 

遺産分割案件をはじめとした相続案件において、

任意売却が必要となるケースもあります。

相続財産に不動産が含まれる場合には、現物で分けづらいので、

とりあえず法定相続分にしたがい相続人間の共有としておく、ということがあります。

そのような共有不動産をいよいよ売却する場合には、

共有者全員で売却に向けて活動することが困難な場合がありますし、

特定の共有者に対して委任をしたとしても、

その受任者が関係者に対して金銭を適正に配分するか否かが疑わしい場合などもあります。

このような場合には、専門家である弁護士に委任することが適切です。

 

3 任意売却業務の進め方 


 

 

不動産の任意売却案件は、特に破産管財人の業務で多く経験しております。

任意売却の経験が豊富な不動産業者と連携して処理することとなります。

急いで各種関係者と交渉を重ねていきます。

競売の開札期日の10日くらい前に買主候補者が見つかり、

その時点から複数の抵当権者、差押債権者(市)との交渉を始め、

買主候補者が何度も変わり、1週間程度で決済にこぎ着けたことがあります。

終わったときには40度の発熱をした思い出があります。

 

4 弁護士報酬等


 

 

事案により異なりますので、ご相談いただければと思います。

大まかな目安は、売却代金の3%程度だと考えております。

 

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