企業法務/会社法務(16)会社の特別清算
2016.01.17更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
前回、会社解散、清算の流れについて書きましたので、
特別清算について書きます。
1回のテーマでざっくりとした概略を説明する趣旨ですので、
端折り気味ですが、個別論点については、
機会のあるときに書こうと考えています。
主として個別和解型の特別清算をイメージして書いています。
1 特別清算申立
会社の本店所在地を管轄する裁判所宛に申立を行います。
必要な書類は、事案によって異なりますが、
最低限を記載すると下記のとおりです。
このうちの多くの書類は、弁護士が作成します。
清算貸借対照表と清算財産目録については、
内容が適正かどうか、清算人と綿密に打ち合わせて検証します。
・臨時株主総会議事録(解散決議)
・清算貸借対照表、清算財産目録
・臨時株主総会議事録(清算貸借対照表等の承認)
・決算書(過去2期分程度)
・株主名簿
・債権者名簿
・債務者名簿
・解散公告写し
・債権者に対する催告書写し
・清算人の履歴書
・定款の写し
・スケジュール表
特別清算の申立代理人が清算人代理となる場合には、
清算人代理選任許可申立を行います。
これにより、弁護士が引き続き清算人の代理業務を行うことができます。
2 重要な財産の処分、公租公課債権者への対応等
特別清算開始決定を得た清算株式会社においては、
債務超過の状態にありますので、
財産の換価、弁済については手続きが厳格化されており、
重要な財産の処分等を行う場合には
裁判所の許可(または監督委員の同意)が必要です。
また、債務の弁済を債権額割合によって行うか、
協定に基づいて行うのが原則です。
債権申出公告において定めた債権申出期間内の弁済は
原則として禁止されていますが、
少額債権、担保債権などについては
裁判所の許可を得て弁済することができます。
公租公課債権についても
裁判所の許可を得て弁済することがあります。
債権申出期間内に期限が到来した債務についても
遅延損害金の支払いを免れないので、
このような制度を活用することは比較的多いです。
3 一般債権者への対応
協定によらない場合について記載します
(協定によらない場合には、債権者集会の招集は不要です)。
債権申出期間が経過した後、
個別の債権者と和解契約書を締結するべく、
裁判所に対して和解許可申立を行います。
債権申出期間終了後直ちに許可申立ができるように
予め準備しておくことが重要です。
速やかに許可を下して欲しいと裁判所に要望することが多いです。
4 弁済
和解許可を受けた後、和解契約の内容に従い、弁済を行います。
5 清算結了
会社財産が全て換価され、負債が法律上消滅し、
費用の支払いも終えたときには、
特別清算終結決定の申立を行い、
裁判所から特別清算手続終結決定を受けることになります。
6 弁護士費用
申立の弁護士費用は50万円(税別)程度~です。
債権者集会を開催する場合、
清算人代理として換価業務を行う場合などには、
上記の報酬の加算をお願いすることになりますが、
総支払金額、支払方法等については、ご相談に応じさせていただきます。
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