企業法務/会社法務(9)設立と定款
2016.01.10更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
前回までとは少し話を変えて、会社設立、定款について書きます。
1 会社設立
法学部の講義や司法試験の勉強で、商法の勉強を始めると、
会社法の目的、理念を学んだ次に、
会社の設立の論点が出てきます。
理論的に奥の深い分野です。
しかし、私も弁護士になってから10年あまり経ちますが、
設立に関するアドバイスを本格的に求められるようになったのは、
ここ何年かくらいのことです。
会社設立、とインターネットで検索すると、
司法書士・行政書士・税理士などの専門家を紹介する広告は
上位に出てきます。
しかし、弁護士はあまり出てきません。
日本には隣接士業の方々が
十分に役割を果たされているからかもしれません。
しかし、諸外国と比較すると、特異な状況のようです。
ある人(外国の方)から、
日本では会社設立にほとんど弁護士が関与していないのはおかしい、
と言われたことがあります。
設立、定款のプランニングについて
弁護士の関与が薄いのは、私の偏見ではないようです。
私が設立に関するアドバイスを受けなかったのも、
それほど奇妙なことではないかもしれません。
2 定款の作成について
会社を設立するには定款を作成する必要があります。
定款のひな形は巷間にあふれています。
確かに、ひな形を活用すれば会社の設立はできます。
価格競争も非常に厳しい世界のようです。
しかし、設立の時点で、将来予想されることを厳しく織り込んで、
塾考を重ねて定款を設立したほうが良いことは
間違いありません。
こればかりは、単純に費用が安ければよい、
というものではありません。
会社法は、
中小規模で全株式譲渡制限をした会社については、
機関設計について幅広い定款自治を認めていますが、
会社を設立した後、
定款の内容を変更することは容易ではありません。
株主間の意見の対立が現れたりすると、
特別決議を成立させることが困難な会社に
変わってしまうことがあります。
そうすると、株式に関する定めを変更することなどが難しくなります。
会社法がせっかく許容した定款自治の恩恵を
ほとんど受けられない会社は山ほどあります。
3 合弁契約、株主間契約の重要性
会社を設立する際には、将来の利害対立の可能性を予め織り込むため、
出資者同士できちんと議論を闘わせることが必要です。
よって、合弁契約、株主間契約のように、
対象の会社について株主の間で合意することは、非常に重要です。
合弁契約、株主間契約については項を改めます。
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