企業法務/会社法務(11)組織再編等
2016.01.12更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
今回は、組織再編行為(合併、会社分割、株式交換・移転等)の
進め方について、概略を書きます。
1 流れの概略
同一企業グループ間で完結しない手続きをとる場合には、
合弁契約・株主間契約と似たような流れをとることになります。
交渉開始前に守秘義務契約を締結し、デューディリジェンスを行い、
中間的合意(レターオブインテント)を積み重ねていきます。
最終的に買取価格等を合意し、契約(合併契約、会社分割契約など)を
締結し、組織内の意思決定(株主総会決議等)を経て、
手続きを履践する、という流れを踏みます。
ビジネスDD、税務対応、株主対応など、
全てにおいて力点が置かれます。
これに対し、同一企業グループ内においては、
税務対応に力点が置かれることになります。
2 スケジューリング
どの手続きを採用するかの選択が終了した後に、
弁護士が最初に行うことは、
会社法、労働契約承継法などを踏まえたスケジューリングです。
目標となる効力発生日を決定し、そこから逆算して、
どの日までに何の行為を行わなければならないかを決めます。
会社の担当者の方のスケジュールと繁忙度に合わせて、
ご相談しながら決めます。
スケジューリングの際、官報公告の申込時期、
態様には非常に神経を遣います。
中小規模の企業の場合は決算公告などを行っていない場合が多く、
組織再編前にこれをどのように行うかを決めなければなりません。
時期にもよりますが、決算公告などを兼ねる場合には、
申込みから掲載まで1ヶ月以上かかることがあります。
また、公告の方法を日刊新聞等で行う旨の定款の規定がある場合などに、
債権者に向けた公告と兼ねられるよう、
決算公告についても定款変更によって官報に掲載する方法でする旨に
変更すると安全ですが、この措置をとるために
定款変更登記が必要となり、それに時間と費用がかかります。
万が一にでも間違いがあってはならない箇所です。
実際に株主総会を開催する場合などには
特に神経を遣う必要があります。
株主総会を書面決議等で行える場合や、
簡易・略式組織再編行為を行うことができる場合にあっては、
どこまでスケジュールを省略できるかが
一つの腕の見せ所のように思います。
3 各種書面の作成
その後、開示書面等の書式を起案し、作成することになります。
契約書自体は定型的なものが多いですが、
債権債務をリスト化したり、金銭的に評価を加える箇所については、
当然のことながら、非常に神経を遣います。
特に、会社分割の際の承継権利義務明細表の作成には時間を要します。
税理士・会計士の先生と問答を繰り返しながら、
お客様と打ち合わせをすることになります。
4 関係者への対応
株主総会の対応が必要なものについては、
株主総会の招集、開催も行うことになります。
労働者・労働組合への対応も重要です。
退職慰労金、社会保険等の切り替えに万全を期す必要があります。
許認可等が絡む業種については、許認可を承継できること、
円滑に再取得できることを事前に確認しておかなければなりません。
5 弁護士費用等
関与の内容と程度により、ご相談にて決めることとなります。
基本的な考え方を載せますが、
支払余力などにも左右されることと思います。
あくまで随時ご相談と考えています。
スケジューリング・各種書面作成の場合には、
基本は100万円(税別)程度で、
関係者対応(債権者対応、株主対応=株主総会)が絡む場合には、
それに準じた費用(株主総会の場合、50万円(税別)程度)を加算し、
特別清算等を行う場合には、
その費用50万円(税別)程度を加算していただく、
という感じだと思います。
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