企業法務/会社法務(10)合弁契約・株主間契約
2016.01.11更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
会社設立、定款の話に引き続き、
合弁契約・株主間契約について書きます。
1 合弁契約と株主間契約
株主になろうとする者同士が、
会社の設立前に、出資比率、役員の選出、
会社の運営方針などについて交渉し、
合意された契約が合弁契約であり、
すでに成立した会社について、
同様の交渉をして合意された契約が株主間契約です。
合弁契約は株主間契約の一種といえます。
両契約の締結に至るまでの過程、重視すべき点は、ほぼ重なります。
定款に記載すれば
強行法規に違反するものとして無効となる場合でも、
株主間で合意すれば当事者間の債権契約として
有効と認められる場合があります。
定款の内容と、これらの契約の内容を異にする実利がここにあります。
2 契約交渉過程
機会のあるときに改めて詳しく書こうと思いますが、
だいたい決まった流れです。
交渉開始前に守秘義務契約を締結し、
デューディリジェンスを行い、
必要に応じて
中間的合意(レターオブインテント)を積み重ねていきます。
その後、本契約を締結し、定款を作成する、
という流れを踏みます。
多くの場合、合弁契約書に、表明保証条項、
誓約条項、競業避止条項等を設けます。
3 弁護士の関与の薄さ
これらのプロセスを踏むことは非常に重要なことです。
しかし、個別にはいろいろな論点はあるものの、
ある程度型にはまった部分もあり、
実践することはそれほど難しくないはずです。
海外進出の場合は別ですが、日本においては、
これまで弁護士の関与は薄かったと思います。
これも不思議な話です。
4 事前に合意する習慣が希薄なこと
これから緊密な関係に立とうとする者同士で
細かい取り決めをするのは野暮だ、ということなのかもしれません。
話が少し飛びますが、家族法で、
夫婦財産契約、という概念があります(民法755条)。
夫婦が婚姻届出前に財産について取り決めをするというものです。
日本ではほぼ皆無と言ってよいほど、ほぼ使われていません。
再婚同士だったり高齢者同士の結婚だったり、
実子の意見も尊重しなければいけない場合などには、
うまく使えば、結構意味があるような気もします。
そうは言っても、多くの場合、
夫婦の間で事前に取り決めをする必要はないように思います。
しかし、夫婦は愛情の世界ですが、ビジネスは論理の世界です。
これと同じようにはいかないはずです。
事前にきちんと合意することが重要です。
合弁契約や株主間契約の重要性は増してくるものと思います。
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