企業法務/会社法務(5)内部統制
2016.01.06更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
今回は、内部統制について書いてみます。
非常に重たいテーマなので、概略になります。
1 内部統制の内容(概略)
会社法(会社法362条4項6号、会社法施行規則100条1項)で
定められている内容の概略は以下のとおりです。
今のところ、会社法上の大会社と委員会設置会社に
限定した規定となっています。
子会社からなる企業集団における業務の適正の確保、
との点については、平成27年5月の改正会社法により、
会社法施行規則から会社法の法律自体に格上げされており、
グループ管理の重要性が増している
との立法者の認識がうかがえます。
①取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを
確保するための体制 (法令等の遵守)
②取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理
に関する体制 (情報と伝達)
③損失の危険の管理に関する規程その他の体制
(リスクの評価と対応)
④取締役の職務の執行が効率的に行われることを
確保するための体制 (業務の有効性・効率性)
⑤使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを
確保するための体制 (内部統制の目的)
⑥当該株式会社並びに当該株式会社及び子会社から成る
企業集団における業務の適正を確保するための体制
(連結ベースでの内部統制)
このほか、金融商品取引法24条の4の4)においては、
上場会社について、
内部統制報告書の作成・提出義務が定められました。
これを受け、金融庁、日本公認会計士協会等が
審議を経て、基準を定めています
(いわゆる「内部統制府令ガイドライン」等)。
2 内部統制の問題点~「やらされ感」
しかし、これだけ書くだけでも、何となく重すぎる内容です。
まず、内部統制という言葉のイメージがあまり良くないように思います。
また、COSOに援用する部分が多いことからわかるように、
米国由来の考え方の輸入の側面がありますし、
実務上は、監査法人によって事細かに監査されるイメージが拭えず、
会社の側からみると、何となくやらされ感が漂っています。
企業側から出てきたノウハウではないので、
内部統制の文献は監査法人、法律事務所などが執筆することが多く、
これを読んでも、あまり面白みを感じない、ということになってしまいます。
とにかく本を読んでも面白くない。
3 本来の考え方
この内部統制のやらされ感を払拭し、
非常にポジティブにとらえ直すこと、
すなわち、適正な内部統制を構築すれば、
会社が儲かるという実感を得ること、が必要だと思います。
私自身は、内部統制は経営戦略の前提だと考えています。
どれほど前向きな戦略を描いていても、
足下が覚束ないようでは何の意味もありません。
後方が心配なければ、思い切って前に攻めることができます。
内部統制が必要なことは、どの企業にも妥当することであって、
一部の会社に限定された話ではありません。
むしろ、これから成長戦略を描く企業にこそ、
その会社の実情に合った内部統制を構築することが必要です。
費用や労力の点で疲弊しないように、徹底的に詰めるところと、
あまり力点を置かないところの区別をしながら、
サービスを提供するのが、
これからの私のライフワークだと思っています。
重いテーマなので、今回はこの程度で割愛し、
折に触れて、内部統制の話を織り交ぜて、
ブログを書いていきたいと思います。
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