企業法務/会社法務(17)平成26年会社法改正
2016.01.18更新
東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で
主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。
今回は平成26年会社法改正について思うところを書きます。
1 改正の概要
主として法務省HPなどを参照すると、以下のとおりです。
(1)コーポレートガバナンス体制
・社外取締役、社外監査役の要件の厳格化
・監査等委員会設置会社の創設
・会計監査人の選解任議案の内容の決定権を
監査役または監査役会に属させる。
(2)親子会社に関するもの
・多重代表訴訟
(3)組織再編に関するもの
・組織再編差止請求
・詐害的会社分割の保護
大雑把に考えると、企業グループの適正な運営を担保する仕組みを
構築することを目指している、ということだと思います。
2 所感
コーポレートガバナンスについて制度を構築することについては、
時代の要請であり、避けられない方向であると思います。
しかし、この改正に限らず思うことですが、
「社外取締役、社外監査役の能力要件は何か、
取締役・監査役と会計監査人は、その会社において、
いったい何を期待されているのか?」
の議論が煮詰まっていないと思います。
どれほど実績を積み、能力を有する方であっても、
あまり時間が取れないような人では、深く関与することもできません。
逆に、例えば自分の思うべき経営方針を過度に押しつけすぎるような人が
社外取締役になると、会社は取締役会の開催自体を減らして
遠ざけようとするかもしれません。
どのような役員を招聘するべきか、という問題は、
会社の事業内容、社風、人員構成などによって各種各様です。
一律に、社外であるべき、役員にすべきという規律を課し、
そこで議論が終わってしまうのは、ある意味で思考停止であり、
悪く言えば、外形だけ整えている、という感が否めませんし、
専門家(弁護士、財界人、官僚OBなど)の職域の拡大
という話で矮小化してしまいそうな感じもします。
他方で、内部統制、内部監査の方法は、
各会社の創意工夫に委ねられているということなのだと思います。
したがって、法律の定めは簡素なものです。
しかし、各会社の創意工夫こそが重要です。
これらの方法を構築して実務的に定着させることが
より重要になることは間違いないと思います。
外形だけでは意味がなく、実質を伴ってこそなんぼの世界です。
会社の管理業務を充実させる専門家を増やすことが
望まれていると考えています。
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