野澤吉太郎法律事務所 弁護士 野澤吉太郎

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弁護士業務の新規開拓など(9)~専門家の少ない分野(ニッチ分野)の専門弁護士

2016.02.25更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

人工知能の発達を意識した場合の専門性の高め方について

引き続き試論を書きます。

 

1 裁判例等の母集団を収集しにくい分野


 

 

裁判例等の母集団を収集しにくい分野、

いわゆる「諸法」といわれる分野については、

データを非常に収集しづらいので、

人工知能等による解決装置の開発が遅れると思います。

私も、特殊な法律を取り扱う業種に着目し、

その規制法規などを子細に検討する中で、

自分の活動領域を広げていきたいと思っています。

 

少し話が逸れますが、最近、

ある米国の有名ロースクールの客員教授の先生と

若干お話をする機会があり、

そこでその先生がおっしゃっていた言葉が印象的でしたので、

要点だけ紹介します。

「米国では、M&Aをする際に弁護士を選ぶときに、

まず、その弁護士がその業種に詳しいかどうかを把握して、

その後に依頼をするかどうか決める。

ところが日本では、弁護士がM&Aに強いかどうかを先に見る。

その弁護士がその業種に詳しいかどうかは

あまり重視されていないように見える。

理由が分からず、不思議だ。」

とのことでした。

 

2 具体例~特殊な行政法


 

 

取締法規など、特に商行為に関する各種規制法は、

文献が少なく、紛争も少ないところです。

これらに関するロジックを立てる能力をきちんと身につけておくことは、

人工知能に対する対策になると思っています。

税法なども同様かもしれませんが、

国際取引の絡む租税法の分野(租税回避、関税などもそう)は、

専門家も少ないので、海外取引の実務に触れながら

研鑽を積んでいきたいと思います。

 

3 具体例~自然に関する法律


 

 

森林法、温泉法、河川法、エネルギーに関する法などが

これに該当します。

私も森林法について詳しく知る必要があり、

農林水産省の書店や林野庁図書館、国会図書館に

通い詰めたことがあります。

(エネルギーはそうでもないですが)あまり法律家の需要があるとは

思えない分野であるうちは、

人工知能を開発する重要性にやや劣るので、

しばらくの間生き残るように思います。

私も、興味とご縁のある分野を探索していきたいと思います。

 

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弁護士業務の新規開拓など(8)~ビジネス弁護士、経営弁護士としての会社の顧問弁護士

2016.02.24更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

人工知能などの活用が業務に織り込まれていく中で、

会社の顧問弁護士、企業法務の専門弁護士の領域も徐々に変わってくるように思います。

 

1 類似事案の検索に比重が置かれる業務


 

 

類似事案の検索に比重が置かれる業務は

徐々に人工知能にとって代わられ、衰退していくことは

避けられないのではないかと思います。

膨大なサンプル数を蓄積できる分野、たとえば、

比較的単純な契約書の起案、労働問題、会社法務などは、

遠い将来は、それだけでは危ないかな?という気がします。

類似事例が沢山あれば、フォーマットを構築する便益がコストを上回り、

先端技術として開発されるモチベーションも高いように思います。

 

2 部門横断的な問題意識をもった活動


 

 

先回って人工知能の盲点に対処するためには、結局のところ、

異分野とのコミュニケーションをいとわないで活動することが、

重要だと思っています。

一般民事の業務を行う場合と同様、人間が行う業務であるため、

コミュニケーションは重要であるはずです。

 

人事計画、予算計画等も含めた、

専門集団の総体としての法務活動に着目し、

これに対する見識を深め、実践することも、

重要な活動の1つです。

 

ビジネス、経営そのものに着目して活動を考えていくことも

1つの方法だと考えています。

ビジネスや経営は、どの分野から光を当てるかによって、

見え方が異なってくる、非常に複雑怪奇な現象であり、

人工知能に取って代わられるまでには相当時間がかかると思われます。

 

国際的にも人権が重視されてくる流れですので、

ビジネスを遂行するうえで、

人権分野に関する専門知識をブラッシュアップすると、

新しい知恵が生まれてくるかもしれません。

 

既存の専門家の領域のうち公認会計士の業務に着目し、

会計士の業務と弁護士の業務との協働作業を深め、

新たなノウハウを構築する試みが出始めていますので、

いろいろと勉強し、自分もこれを実践していきたいと思っています。

これまで弁護士と公認会計士のそれぞれの業務には、

監査論、不正発見の分野などを除き、

あまり接点がなかったように思いますが、

海外進出支援に関する多くの文献を監査法人が執筆されているなど、

協働すべき分野は沢山あると思います。

 

3 補足


 

 

私ごとですが、人工知能についてあまり考えているわけでもない時期に、

顧問弁護士のブログを書いていました。

顧問弁護士のブログでは、何度かに分けて、

顧問弁護士には非常勤社内弁護士としての存在意義があること、

今後は社内のコミュニケーションを取り、

個々の臨床法務を超えた法務戦略を構築する手助けをし、

法務予算の節減等にも寄与していくべきだ、ということを書きましたが、

人工知能のことを考えると、これまで自分が書いてきたことが、

何となく腑に落ちた感じがいたします。 

これも、書いているうちにいろいろな考え方がまとまってくるという、

ブログの効能だと思っています。

 

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弁護士業務の新規開拓など(7)~共感性を示す仕事としての個人の顧問弁護士

2016.02.23更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

人工知能などの活用が業務に織り込まれていく中で、

個人の依頼者のための弁護士業務のあるべき姿も、

徐々に変わってくるように思いますので、少し書いてみたいと思います。

 

1 共感性の示し方がより重要になるのではないか


 

 

私自身も、一般民事業務を扱う中で思うことですが、

法律構成、ロジックの立て方、事実調査などは、

たいていの場合、誠心誠意事案を注視し、

執務を処理していれば、多くの弁護士が取り扱い可能な領域です。

 

こうした第一の要件を満たした後に、

この人に委任して良かった、この人に出会えてよかった、

と思わせるような要素を付加することが非常に重要です。

他者への共感性が必要な要素を含む業務は、

コンピュータが比較的弱い分野だと思いますので、

この点を深掘していけば、遠い将来においても、

生き残ることができるであろうと推測しています。

 

共感性をどのように示すかは、

簡単にまとめられる内容ではありませんが、

コミュニケーションの取り方が重要だと思います。

例えば、依頼者の反応が鈍い場合にはどういう対処をすれば良いか。

これまでは威圧的に対処する弁護士もいたと思いますが、

それだけではダメで、どういう行為をすればその人の心に響くか

研究する必要があるように思います。

守秘義務の問題を考慮しつつ、

ご都合のよい場所に訪問して打ち合わせをする、

法律問題だけにとどまらず、いろいろな悩み事を聞く、

というようなことも重要かと思います。

 

近くにいる弁護士に相談したい、という要望も強いように思います。

以前は、法律事務所は裁判所に近い場所にある場合が

多かったように思いますが、最近はそうでもありません。

医師、歯科医院の世界でも、

訪問診療をアピールしている医院が出ているようです。

医院に行くと別の病気を移されるかも知れない、

と考えて医院に行くのをためらう、という患者も多いと思います。

地域に根ざした仕事をしつつ、

状況によっては遠方に行くことをいとわず、

対面の仕事に徹底的にこだわることの重要性は、

今後ますます増していくものと思います。

 

2 個人の顧問弁護士


 

 

個人の方が顧問弁護士の依頼を検討することが、

一つのトレンドになりつつあると聞き及んでいます。

特に、後見業務、相続問題などに伴う財産管理は、

個々の行為ごとに法律問題が発生します。

例えばご高齢の依頼者は、

ご自身の生活でも大変な思いをされていることが多く、

他の人に関わる事柄について、

業務を遂行することに非常にしんどい思いをすることが多いです。

その人の置かれた環境について、共感する姿勢を示しながら、

1つ1つアドバイスをし、

その人の業務を手助けすることのできる弁護士の業務分野は、

コンピュータで代替され得ないのではないかと思います。

 

個人の依頼者が顧問弁護士を付ける場合には、

弁護士の業務は、個別の法律問題に対処することはもちろんですが、

個別の問題の背景にある事情、具体的には、

その人が置かれた環境、人生の希望等をきちんと聴き取り、

時間をかけて最も納得のいく方針を一緒に考えていく、

という内容になります。

法律問題であるか否かにかかわらず、

よき相談相手になることが重要です。

私自身も、個人のお客様に対してそのようなおつきあいができるよう、

研鑽していきたいと思っています。

 

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弁護士業務の新規開拓など(6)~専門性の高め方について

2016.02.22更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

人工知能の発達を視野に入れた場合の

弁護士の専門性の高め方について、つらつらと考えていますので、

試論を書きます。

 

1 人工知能の発達


 

 

人工知能のニュースをいくつか見る機会があり、

人工知能の発達が弁護士業務に影響を与えるのではないか、

と考え、ブログに書き始め、その過程で、

どのような研究がなされているかを知ろうと思い、

文献などを調べてみました。

人工知能と司法制度について研究されている先生が

いらっしゃることを知りました。

 

成城大学法学部教授の指宿信先生による、

「テクノロジーと司法制度 ロボットはいつか法律実務を担うのか」

という、日本司法支援センターに寄せられた論文などを拝読すると、

諸外国において同様の研究が

めざましく進んでいることを知ることができます。

http://www.houterasu.or.jp/cont/100638610.pdf

 

私の予測など、研究者の方々の分析に比べれば、

根拠の薄い直感に過ぎませんが、

全く的外れでもないのかな、という気がしています。

 

2 専門性の高め方


 

 

これから30年、40年と弁護士を続けていくのであれば、

人工知能が弁護士業務の多くの業務を

代替する可能性があることを念頭に置き、

コンピュータの弱点を突く、

あるいはその裏をかく知恵比べを絶えず行い、

独自の専門性を高める必要が出てくるのではないかと考えています。

 

これまで進出していなかった分野の専門性を付加して高めること、

例えば、これまで手を伸ばしていなかった法分野に進出する、

という方法もあります。

他資格をとる、という方法もあります。

弁護士+外国弁護士(NY州弁護士など)、

弁護士+税理士、

弁護士+公認会計士、

弁護士+社会保険労務士、

など、いろいろあります。

私自身も同様の専門性の高め方をしているつもりであり、

必要に応じてこれらの方法を併用して

スキルアップしていきたいところですが、

専門性を単純に掛け持つだけでは、

人工知能に代替される業種を足し算するだけ

になってしまうおそれもあるかもしれません。

 

これからは、専門家+心理学、専門家+経営学、

というような専門性の高め方の比重が増していくのではないかと

踏んでいます。

ゼネラルな観点、総合的な観点から、ノウハウを統合する分野は、

人工知能が追いつくまでに時間がかかり、

少なくとも私が現役でいる間くらいは、

人工知能による代替が難しいのではないか、と予測しています。

まずは、私が関わり始めている、

ビジネス+弁護士

という組み合わせを深化させていきたいと思っています。

 

このように書き進めていくと、

自分の考えが現在の世間の傾向と乖離しているかも、

と感じることがあります。

しかし、それではどうするべきか、

について考えながらブログを書いていると、

不思議とそれに近い仕事が舞い込んでくる経験をいくつかしています。

今のところ、私一人のしょうもない予測に過ぎないですが、

この予測のもとに、

自分なりの新規事業を創造していきたいと思っています。

 

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弁護士業務の新規開拓など(5)~人工知能と弁護士業について

2016.02.21更新

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主に城北エリア中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

前回の内容を受け、

人工知能が弁護士業に与える影響の予測について

勝手気ままに試論を書きます。

 

1 専門性が高いが標準化を目指す作用は人工知能に代替されうるのではないか


 

 

数値の分析に関連する仕事はその典型だと思います。

膨大なデータを統計の手法から分析して、

当該事例において出た異常値を分析できる可能性があるからです。

 

弁護士業においては、

文献・判例の検索、裁判作用などがその典型ではないかと思います。

特に、裁判作用は、経験則に基づいて

標準的な結論を得ることを目指す作用であることをその本質とするため、

主張と証拠の分析の手法を人工知能が身につけてしまえば、

あとは簡単ではないか、という感じがします。

 

実際に、訴訟実務においては、事案のあらましを聞けば、

大まかな方針を立て、結論の予測を立てることを求められます。

あとは長い時間を掛けて

その結論を得るための主張立証活動を行いますが、

その手間暇を人工知能が代替すれば、

ユーザーはコストを削減することができるかもしれません。

また、文献や判例の検索などは、以前よりもずっと簡単になっています。

分野の種類を書くことは控えますが、

類似案件や文献などをもっぱら深掘りして検索し、

考察することを求められる専門分野は、

長い目で見れば危ないように感じています。

 

2 代替されない作用は何かの予測


 

 

既存業務では、

刑事弁護案件などは現状に近いまま生き残るように思います。

犯罪が劇的に減少することはないでしょうし、

加速度的に氾濫していく情報媒体から

丸ごと遮断されるところにその特色があるからです。

 

人工知能が弱い分野である、

他者への共感性を強く要求される仕事も同様です。

街弁はその典型だと思われますので、

徹底的に依頼者に寄り添う仕事の仕方をしていくのであれば、

街弁も生き残れるのではないかと踏んでいます。

 

比較的クリエイティブな作用、例えば契約書の起案なども、

しばらくは大丈夫だと踏んでいます。

契約書の起案などは、突き詰めていくと本当に難しい領域であり、

本当に難しい契約書の起案などについては、

すぐには代替されないのではないかと予測し、

私自身もその種の仕事を敢えて増やしています。

これも、長い目で見れば、どうなるか分からない、

予断を許さない、と感じています。

せめて、私が現役でいる間くらいはもってほしいな、と願っています。

 

上記を前提と仮定した場合に、

どういう新規事業が伸びてくるかの勝手な試論を

次回から書いてみたいと思います。

 

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弁護士業務の新規開拓など(4)~弁護士の増員は弁護士業界の脅威か

2016.02.20更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

弁護士業務の新規開拓の機会と裏腹にある、

弁護士業務についての脅威について試論を書きます。

 

1 弁護士増員は弁護士業界の脅威か?


 

 

弁護士業界にとっての脅威は何かと同業者に聞けば、

十中八九(というよりも99%)の人は、弁護士増員である、

と回答すると思いますし、社会一般の目もそうだと思います。

確かに弁護士が増員したとはいえ、

訴訟事件数等は大して増えてもいないことを考えると、

1つの脅威かも知れません。

 

しかし、需給バランスによる脅威は弁護士業界に限った話ではなく、

成熟期にある産業では一般的にみられる傾向のように思います。

公認会計士、歯科医師、農業、漁業なども同様か、

それ以上の苦難を味わっていると思われます。

業界が定員に関して議論しているだけでは、

業界団体の意見の域を出ず、

国民の強い理解を得られるとは思われません。

 

増員は短期的には脅威かも知れません。

しかし、必要に迫られて、

業界全体が新たな分野を徐々に開拓することを促す側面もあり、

それに対する社会の理解も徐々に進んできますので、

長期的にみれば、あながち悪いことばかりではないように思います。

 

もっとも、あと何年で引退する年齢になるか、

ということも大きいと思います。

あと10年とか15年くらいで引退できる人にとっては、

その後の変化についてはあまり関係がありませんので、

増員は大きな脅威かも知れません。

しかし、中期的な流れとは別に、

長期的な流れも見ていかないといけない世代もいます。

 

2 本当の脅威は何か


 

 

あと30年、40年くらい働かなければならない世代の人にとっての

本当の脅威は、

自分の仕事が人工知能にまるごと代替されることである、

と踏んでいます。

仮にそのようなことが起こったら、増員、減員も関係なく、

業界全体が脅威にさらされることになります。

頭脳労働の専門職で、ノウハウに高い費用を支払っている業種などは、

人工知能により代替されやすいと言われています。

公認会計士などがその例としてあげられていますが、

弁護士もその例から外れるとは思えません。

 

人工知能が発達すれば、

例えば、準備書面(または事実関係を説明する書面)と、

証拠の記載内容のデータの文脈を読み取り、

過去の膨大な判決を回帰分析等の手法によって

傾向を分析したソフトに入力すれば、

ボタンの一押しで予想される判決が出てくる、

そのような情報が安価に提供される、

などという時代が来るかも知れません。

 

現にその萌芽は出ているように思います。

インターネット上には

契約書や内容証明郵便の書式、法律相談の問答などがあふれています。

科学技術の飛躍的発達に関するニュースもあふれています。

たとえば無人機がテロリストを爆殺した、

人工知能が将棋、チェスを行っている、

センター試験で何点をとった、などです。

そういう社会が到来しようとしていることを

食い止めることは非常に困難です。

 

人工知能が発達した社会でどの程度の法曹人口が適正かは、

今後の法曹業務がどのようなものに変貌していくかにかかってくるので、

現在の人口が多すぎるのか、少なすぎるのかは、

何とも言えないところだと感じます。

少なくとも私自身はあと30年から40年は

働かなければならない年齢ですので、

人工知能の発達した社会が到来したときに、

自分自身がこれにどのように対処すべきか、

その中でどのような新規事業を見つけて継続していくか、

などを延々と考えていかなければならないと考えています。

 

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弁護士業務の新規開拓など(3)~アウトプット、弁護士ブログの効能

2016.02.19更新

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新規開拓した弁護士業務のアウトプットについて

書いていきたいと思います。

 

1 アウトプットとインプットのサイクル


 

 

新しく得たノウハウを新しい案件にあてはめて

アドバイスすることを徹底的に繰り返します。 

その際に、一見当該案件とは疎遠と考えられる職務経験を

応用することが、非常に役に立つことがあります。

 

例えば合弁会社の解散と離婚は、別れるという点で共通です。

離婚調停のときに最後に問題になるのは非常に細々とした話です。

債権回収や個人の債務整理の経験が銀行との交渉に役に立つとか。

例を挙げればキリがありません。

 

マチ弁の仕事が企業法務に役に立つことは多々あります。

そういう言い方をする人が非常に少なく、

その理由がなぜなのか、分かりません。

 

新しい案件で新たに勉強することや、

法律とは関係のない隣接した分野の話に耳を傾けたりするなかで、

新たなヒントを得られることもあるので、

そこからはインプットの始まりです。

 

2 アウトプット~ブログの意味


 

 

話は変わりますが、ブログを連綿と書いています。

過去に得た一般的な職務上の経験に関するテーマも書いていますが、

新規事業について比重を置いて書くようにしています。

我ながら、結構珍しいことも書いているように思います。

 

ブログを書くことには、考え方を世の中に伝えるという意味があり、

広告の意味合いもあるでしょうし、

閲覧されている方に対し、参考情報を提供する、

という意味合いも確かにありますが、

私自身にとっては、時間をかけて書くことを考えていく中で、

新規事業の意味づけを自分なりに咀嚼するために書く、

という意味合いのほうが強いように思っています。

 

少なくとも、インプットと一応の経験がなければ、

新しいことを書くことはできませんが、

何となくブログの構想を練っているうちに、

これから書こうと思っている内容の仕事が、

急に舞い込んできたりするので、そのあたりに面白みを感じています。

 

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弁護士業務の新規開拓など(2)~必要な準備、研鑽

2016.02.18更新

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引き続き、弁護士業務の新規開拓について、

非常に拙い体験談を交えて書きます。

 

1 必要な準備~本屋さん巡り


 

 

ある程度の期間、一般の企業法務と訴訟実務に従事していましたが、

故あって、否応にも新規開拓を考えざるを得なくなる時期がきました。

その折、いくつか新たな出会いがあり、

新たな業務を開拓する契機を得ました。

むろん、最初はお試しのような話であり、

すぐに報酬に結びつくような話ではありません。

既存業務と並行しながら模索的に活動することとなりました。

 

法律事務にかかわらない横断的な知識も必要になりますので、

比較的時間が取れたときに、

大型書店(三省堂、ジュンク堂、紀伊国屋など)、

神保町の本屋や大学の本屋などを巡り、

関連分野(ビジネス領域)の本屋の陳列と観察をすることとしました。

これにより、特定の業種に強い出版社の名前を把握したり、

分類、陳列の仕方に売り手側の考え方を感じることができ、

こういう問題が起こったらまたここに来ればよい、

ということが確認できますので、

この方法は非常に有用なことを実感しました。

 

裁判所地下や弁護士会の本屋には、法律書籍が多すぎるので、

新しい着想を得ることはなかなか難しいところもありましたが、

他の人があまり寄らない棚を注目してみるようにします。

わずかに陳列されている書籍が何なのかを見たりしていました。

 

書籍を購入するかどうかは、余裕資金と相談して、

そのときの感覚にマッチするかどうかで決めることで、

直ちに購入することもあれば、

1時間書店に居ても何も購入しないで帰ることもあれば、

最初に立ち見してから1年後に買うこともある、という具合です。

アマゾンで中古本があるかどうかを確認して買うこともあります。

 

過去には非常に忙しくて本屋にも行けない時期がありましたが、

その時期にはクリエイティブな発想は全く出てきませんでした。

本屋を巡っていると自ずとマーケティングを行うきっかけができます。

小さな単位で仕事をしている弁護士にとって

本屋さん巡りは非常に重要です。

 

2 必要な研鑽


 

 

購入した書籍については、順次読んでいきますが、

その内容は腑に落ちる時期は巡り合わせのようなものなので、

周りの人の話を聞いたりしながら、腑に落ちた時期に書籍を購入し、

読むようにしています。

難しい書籍だけでなく、一般のビジネス雑誌なども、

機会のあるときに読むようにしています。

 

私は、法学については、大学の講義一覧表などをみれば、

大まかな分類が分かるのですが、

たとえば会計学や経営学などについては、

大まかな分類の見当を付けづらいので、

大学の基本書のようなものを探して入手し、

知りたいことの学術上の位置づけなどを把握するように心がけます。

 

そうした作業を繰り返していくと、

大学の教養課程などで勉強することが、

新しい事業領域の着想を得るために死活的に重要であることを、

強く思い知らされます。

司法試験を目指している周りの学生は、

教養課程などに目もくれない人が沢山いましたが、

長い目で見れば、そういう受験の仕方、させ方、

あるいはその延長線上の仕事のさせ方を継続していると、

早晩立ちゆかなくなるだろうと思います。

 

あとは、新しく得たノウハウを新しい案件にあてはめて

アドバイスすることを徹底的に繰り返すプロセスが残ります。

体験談と言っても途上の話ですが、

これからも同様のことを継続していくつもりです。

 

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弁護士業務の新規開拓など(1)~新規事業への進出

2016.02.17更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

少しテーマを変え、

弁護士業務の新規開拓について試論を書きたいと思います。

 

1 顧客単位の開拓


 

 

弁護士の間で新規開拓の方法は各人各様であると思います。

これまでのところ、全体として、この業界では、

顧客開拓に重きが置かれていたように思います。

 

顧客とのつきあいを広げる方法としては、

例えば酒席、ゴルフ、ロータリークラブに参加するなど、

いろいろな方法がいわれています。

弁護士会の派閥、委員会、勉強会、業界団体にこまめに顔を出す、

などの方法を採っておられる方もいます。

ホームページなどで広告を打つことなども一種の戦略だと思います。

どの件に、どのようにメリハリを置いているかについて、

詳しくは書けませんが、

私もこの種の努力を怠らないようにしています。

 

しかし、既存の弁護士業務(特に訴訟案件)は、数も限られており、

弁護士が増えている中で、既存の営業活動のみを強化し、

限られたパイを奪い合うだけでは、

将来的には摩耗するだけの可能性が高いように思います。

 

2 専門分野の深掘


 

 

最近は、専門性を持つ弁護士は重宝される傾向が

ますます強まっていくので、

専門性を深掘する方向性を極めていくことは、確かに重要です。

例えば

離婚に強い~

労働法に強い~

企業法務に強い~

中国の法律に強い~

など。

弁護士の業務を法分野別に分け、その専門性を競う傾向にあります。

 

しかし、専門性を備えていさえすれば良い、

というわけにもいかないように思います。

そもそも何をもって専門的能力が高いか、というのかは、

非常に難しいことです。

せいぜい文献や経歴から判断することくらいしか

できないのではないかと思います。

インターネット等で案件の勝訴実績を誇るような場合にも、

端から見て、これは本当に勝訴か?と疑問に思うこともあります。

ものは言いようなところがあります。

 

専門性と時流がマッチするかしないかによっても変わってきます。

過払いなどはその典型だったように思います。

あるいは、破産法にいくら詳しくとも、

破産事件そのものが少なければ、仕事は先細ってきます。

時流とマッチしない専門性を持っていても、

誰かが面倒を見てくれるわけでもないところが

恐ろしいところです。

いずれ人工知能に取って代わられるのではないか、

という潜在的な脅威もあります。

 

3 新規事業への進出

 

人によって向き不向きがあることだと思いますが、

私自身は、それまでの職務経歴、近しい人間関係などをもとに、

時間を掛けていろいろ考えてきましたが、私自身にとっては、

顧客開拓、専門分野の研鑽をしながら、

新規事業への進出に主眼を置くことが、

一番しっくりくる方法です。

 

学者や実務家が分けた実務上のカテゴリーを、

弁護士も弁護士を使う側もそのまま用いていますが、

時代の変化は日を追うごとに早くなっています。

その種のカテゴリーを横断したノウハウが必要とされることは

間違いない状況になっています。

旧来のカテゴリーに拘り続けることは避けたいと考えています。

 

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企業法務/海外子会社管理(4)ガバナンス体制

2016.02.16更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

海外子会社管理の援助の業務の一環として、

最初に行われるガバナンス体制の確認について、

試論を書いてみたいと思います。

 

1 日本の親会社と海外子会社の資本関係等についての確認


 

 

資本関係にはいろいろなパターンがあります。

子会社であったり孫会社であることもありますが、

あるいは合弁会社などのように、他の株主がいる場合もあります。

多くの場合、これらの情報は日本で情報を入手することができます。

 

この点についての確認を経ないと、

各論に入るときに論点が出てきません。

一例を挙げると、

日本親会社と海外子会社との間で国際取引を行う場合には、

通常形成される正常な取引価格(独立企業間価格)にて

取引を行う必要があります。

いわゆる移転価格税制の問題です。

日本親会社の側に特に問題意識がないような場合などには、

啓蒙する方法、内容を考えることになります。

 

2 親会社の管理方法の確認


 

 

子会社だけを観察するのではなく、

日本の親会社を観察することが必要です。

 

親会社は子会社をどのように戦略的に位置づけているのか。

親会社と子会社はどのような役割分担を行うのか。

親会社側の窓口は誰になっているのか。

日本側では、海外事業部を設けるのか、

各事業部門が管理するのか、

特に中小企業の場合には

過度に属人的な管理方式になっていないか、

親会社は子会社からどういう情報を入手し共有しているか、

改善点はどの点にあるか、

など考察すべき点は諸々あります。

 

日本の親会社等からヒヤリングを行い、

その会社に合った方式が何であるかを判断し、

改善が必要であれば指摘を行います。

管理が緩やかすぎて子会社の活動が野放しにされていても、

管理を強化しすぎて子会社の活動を阻害するようでもいけません。

 

3 子会社の組織の確認


 

 

役員構成、組織図等を入手し、

当該国の会社法に適合しているかを確認します。

どの程度労力と時間を掛けるかはケースにより異なりますが、

簡易な調査で済む場合には、

投資情報のホームページ(ジェトロなど)、文献などを確認し、

綿密な調査が必要な場合には

当該国の会社法の原典にあたって調べることになります。

 

子会社の組織と親会社の組織のそれぞれを確認した上で、

その協働が円滑に行われるといえるか否かを

判断していくことになります。 

 

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