野澤吉太郎法律事務所 弁護士 野澤吉太郎

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相続(3)遺言執行者と弁護士費用

2016.01.24更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、遺言執行者の業務と弁護士費用について書きます。

 

1 遺言執行者の業務


 

 

遺言執行者の任務は、

遺言事項を遺言者の意思に従って忠実に実現するというものであり、

その中でも、特定の相続人に相続財産を承継させることが

最も一般的な業務内容となります。

遺言の内容によっては、

遺言執行者の指定が必須となる場合もあります(相続人の廃除など)。

 

遺言にて指定された候補者が就任を承諾すれば

その候補者が遺言執行者となりますが、

指定がない場合や、指定された候補者が就任を拒絶した場合には、

家庭裁判所に対する遺言執行者選任申立を経て、

多くの場合、申立人が推薦した候補者が遺言執行者に就任します。

弁護士が遺言執行者に選任されるのは、

予め遺言にて指定を受けていた場合か、

家庭裁判所から選任される場合となります。

 

2 弁護士に関与させることが最も適切


 

 

時間と手間をかければ専門家でなくともできる任務です。

しかし、遺言執行者候補者が別の仕事に忙殺されている、

遠隔地にいる、体調が思わしくない、老齢である、

要介護者の面倒をみている、育児中である、というような事情により、

第三者に処理を委ねることが適切な場合があります。

加えて、遺言執行者は、例えば、相続税の税務申告などが必要であり、

税理士との連携をとる必要がある、

財産を受領しない相続人からの連絡にも対応しなければならず、

相続人の廃除申立などの家庭裁判所への立件を含め、

しばしば法律的な判断も必要である、などの事情もあるため、

弁護士に処理を委ねることが最も適切であるといえます。

 

3 弁護士費用


 

 

遺言にて遺言執行者を指定していただく場合には、

遺言に定めを置いていただくことをお願いしています。

経済的利益の額が300万円以下の場合は30万円(消費税別途)

300万円~3000万円以下の場合は2%+24万円(同)

3000万円~3億円以下の場合は1%+54万円(同)

3億円以上の場合は0.5%+204万円(同)

というのが旧弁護士会報酬基準の相場であり、

基本的にその相場にてお願いしています。

特に複雑な事情がある場合、裁判を経る必要がある場合などには、

協議させていただくことになります。

 

他方で、遺言にて遺言執行者の指定がなく、

家庭裁判所から選任された場合には、

報酬額は、家庭裁判所が決定した金額によることになります。

 

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相続(2)限定承認と弁護士費用

2016.01.23更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、限定承認について書きます。

 

1 限定承認を検討すべき場面


 

 

限定承認を検討すべき典型的なケースは、

積極財産(資産)が消極財産(負債)よりも多い可能性が高く、

被相続人名義の自宅など、出来ることならば相続したい物件があり、

把握している負債の金額もそれほど多額ではないはずであるものの、

亡くなられた被相続人と相続人が絶縁状態、

音信不通であったり、関係が良好ではないなどの理由により、

把握できない負債があるのではないか、という懸念がある場合です。

 

2 限定承認の方法


 

相続開始を知ったときから3ヶ月以内の期限があります。

手続きは相続人全員で行う必要があります。

隠れ債務への対処は、官報において限定承認公告を行うことにより、

一定の期限(公告日から2ヶ月)内に届出をしなかった債権者を、

弁済から除斥することができます。

その後、存在することが明らかな相続債務については、

積極財産(≒プラスの相続財産)の限度で弁済します。

期限内に届出をしなかった債権者は除斥されますので、

届出がなければ、把握できない債務を遮断することができます。

 

3 注意すべき点


 

 

相続放棄と同様で、相続財産を処分してはいけません。

相続放棄と同様に、非常に微妙なケースにぶち当たります。

財産的価値がないと思うが、遺品等を処分せざるを得ないとか。

債務は、多くの場合、遺された書類や、

銀行の通帳の履歴などを見て判断せざるを得ません。

注意すべきは連帯保証債務です。

とくに、会社の債務の連帯保証が隠れている、というケースがあります。

単純相続した後で会社が破綻し、

会社の債務の連帯保証債務の履行を迫られたりするケースがあります。

そのような可能性を予測してご相談に乗るのが大事なことです。

 

4 費用


 

 

弁護士に委任する場合は、全ての手続きを弁護士が代理して行います。

概ね1件あたり着手金30万円(税別)、

官報公告費用、調査費用(戸籍取得等)については、

実費といったところだと思います。

債権者との交渉が必要となる場合(債務減額交渉など)については、

別途報酬金が発生することになります。

 

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相続(1)相続放棄と弁護士費用

2016.01.22更新

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今回は、相続放棄について書きます。

 

1 相続放棄を検討すべき場面

 

相続対策が問題になるケースは、

単純相続することがプラスの場合であって、

単純相続をしないほうがよい場合もあります。

積極財産よりも消極財産(負債)が多い場合です。

または、負債のほうが多いのではないか、という不安が残る場合です。

自分と日常的なつきあいのない、縁遠い方が亡くなり、

代襲相続などにより法定相続人となり、不安が残る場合などです。

 

2 相続放棄の期限

 

相続開始を知ったときから3ヶ月以内です。

相続人全員で行う必要はありません。

なお、相続開始を知った後3ヶ月を経過しても

相続放棄をすることができる場合があります。

民法の条文に反しているようにも思いますが、

私自身も直面したことがあります。

隠れ債務が見つかったときの救済なのかもしれません。

いずれにせよ、3ヶ月を経過したしないに関わりなく、

ご相談をお請けすることはできます。

 

3 注意すべき点

 

まず、相続財産を処分してはいけません。

しかし、実際に相続放棄申述をすると、必ずと言っていいほど、

非常に微妙なケースにぶち当たります。

財産的価値がないと思うが、遺品等を処分せざるを得ないとか。

債務は、多くの場合、遺された書類や、

銀行の通帳の履歴などを見て判断せざるを得ません。

注意すべきは連帯保証債務です。

とくに、会社の債務の連帯保証が隠れている、

というケースがあります。

単純相続した後で会社が破綻し、

会社の債務の連帯保証債務の履行を迫られたりするケースがあります。

そのような可能性を予測してご相談に乗るのが大事なことです。

 

4 費用

 

弁護士に委任する場合は、全ての手続きを弁護士が代理して行います。

概ね、放棄者お1人あたり着手金10万円(税別)、

調査費用(戸籍取得等)については、郵送料等を含め実費

といったところだと思います。

複数人いる場合は、着手金の減額も検討いたします。

 

5 どの専門家に頼むべきか

 

司法書士、行政書士の先生方が書類作成の代行等をされており、

一般に、弁護士費用より安い場合が多いと思いますが、

必要な事務処理は

戸籍の取得や家庭裁判所への申述書面だけに限られるものではなく、

積極財産の処理の方法や、債務の把握・予測、

その他のアドバイス(債権者対応)などにわたることがあります。

関連するアドバイスのご提供は上記の費用に含めて考えております。

一般的に、ある程度費用をお支払いいただいたほうが

お客様がアドバイスを求めやすいので、

弁護士に委任されるのが適切ではないかと考えています。

司法書士、行政書士の先生方の仕事を否定するつもりはありませんが、

関連するアドバイスなどが費用に込みになっているかには

注意されたほうが良いと思います。

 

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企業法務/会社法務(20)子会社管理

2016.01.21更新

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前回、会社のコーポレートポリシーについて書きましたので、

その流れで子会社管理について書きます。

 

1 子会社管理におけるポリシーの重要性


 

 

親会社のポリシーの策定は、子

会社の管理をする際にも有用なツールになる、

もっと言うと、子会社の管理においてこそ、

ツールとしての重要性は増すはずです。

 

親会社と子会社の意思疎通をするために、定期的な打ち合わせを入れる、

子会社の代表者を親会社が手配する、などの実務上の工夫がなされます。

しかし、定期的な人事異動などを契機として

親会社の経営方針が唐突に変更になる場合もあります。

親会社の経営方針が特に意味もなく変更されると、

子会社が振り回されることになります。

 

親会社と子会社の利益が相反する場合も出てきます。

親会社が支配株主権を濫用し、

子会社の犠牲において親会社が利益を計上するような事例もあります。

現在のところ、日本の会社法上の歯止めはあまり期待できない状況です。

子会社の経営者、従業員がどれほど創意工夫していても、

親会社に振り回されて無に帰するようであれば、

モチベーションの減退のきっかけになります。

 

ルールの策定のノウハウを積み上げることが

早急に必要とされているように思います。

中期経営計画などを策定すれば足りるかというのは非常に疑問です。

親会社であれ子会社であれ、

会社に数十年勤務したいと考える従業員が多いわけですから、

5年とか10年というスパンの計画では短いのではないかと思われます。

 

2 海外子会社管理


 

 

海外子会社管理においては

ポリシーの重要性はなおさら増すように思います。

言葉の問題もさることながら、

社会情勢、文化、規範意識から、何もかも違います。

海外の子会社の従業員にとっては、

日本の親会社の経営方針は、非常に遠く感じられるところです。

トップが明確なメッセージと規律を伝える必要があります。

少しでも油断すれば、親会社が何を考えているのか分からなくなる、

というのが実情だと思います。

 

3 最低限を画するルールである必要がある


 

 

ただし、微に入り細に入り厳格なルールを策定することは、

労力もかかりますし、子会社の創意工夫を失わせることにも繋がります。

子会社の関係者から直接ヒヤリングをするなどして、

最低限のものとしてルールを定め、

そこに記載されていない問題については、

原則として創意工夫に委ねることが必要です。

これは会社の規模の大小を問わず必要なことであり、

会社の規模の大小により労力の掛け方の違いはあるにせよ、

必要とされるノウハウは共通であると考えています。

非常に骨の折れる仕事だと思いますが、

私自身も、そのノウハウを蓄積していきたいと考えています。

 

会社法務についてはこれにて小休止し、別のテーマでブログを書いていこうと思います。

 

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企業法務/会社法務(19)会社のコーポレートポリシー

2016.01.20更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は会社の会社のコーポレートポリシーの重要性について

少し書いてみたいと思います。

実務的に関わり始めている分野ですが、

詳細を書きづらい事情があり、書くのに少し難儀しています。

ぼかし気味に書いてある箇所もありますので、

関心を持たれた方は直接お問い合わせください。

 

1 コーポレートポリシー


 

 

コーポレートポリシーとは、企業の根本的な立ち位置を示すもので、

会社の意思決定の筋道、意思決定に至る行動を示すものです。

企業の目標を具体的な内容として規定し、

組織の方向性を基礎付ける、という意味があります。

欧米の企業やグローバル企業では

大きな労力をかけてこれを規定するようです。

毎年とか、中長期的な目標というレベルの目標にとどまらず、

会社が永続するための仕組みとして策定されるようです。

この策定は、経営戦略の策定の前提になるとの位置づけのようです。

 

2 業務指針


 

 

欧米企業では、ポリシーを実現するために、

実際の業務で各役員、各部署、各従業員が何を行うべきか、

その指針を定めるため、業務指針、指示書などを策定するようです、

各組織人が最低限遵守すべきルールとして業務指針を策定すれば、

その規定の範囲外のことについては、

自由な創意工夫を凝らして業務遂行をすることが許容されることになります。

 

3 日本の実情


 

 

日本にも、非常に立派な創業者の遺訓や

考え方が生きている例もあると思いますが、

多くの場合には、年次計画、中長期経営計画などの

レベルにとどまっているのではないかと感じます。

会社の根本規範というレベルまで深掘りして、

具体的にポリシーが考えられている例は非常に少ないように思います。

中長期経営計画等は、株主や債権者に対して説得的な見せ方をする、

という機能を有しますが、

中長期といわず、数十年、あるいは百年単位のポリシーがあっても

よいのではないかと思います。

組織人の行動規範を具体的に、

正しく規定することは、組織人のパフォーマンスを上げていきます。

株主、投資との利害関係の調整という側面を超えて、

国の繁栄のために必要ではないかと思います。

 

きちんとした根本規範を持っている会社では、

たとえ経営トップであっても、これを守る、という文化が醸成されますので、

節操のない人たちの意見だけが通るような、

過剰な人治主義などは力をなくしていくと思いますが、

日本では、そのような観点から議論がなされていないように思います。

 

昨年制定されたコーポレートガバナンス・コードなどを読むと、

ステークホルダーへの価値創造に配慮した経営を行い、

中長期的な企業価値向上を図る旨などが

記載されていますが(原則2-1)、

そこでいうステークホルダーとは、

主として株主や投資家のことのように見えます。

もともと東京証券取引所が策定したものであるから、

株主等への情報開示に重きが置かれることは、

当然と言えば当然ですが、

組織内関係者に対する行動指針を明示し、

組織内関係者の創意工夫を正しく発揮させながら、

根本規範を構築するという観点は

もっと強調されてしかるべきだと思います。

 

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企業法務/会社法務(18)支配株主に関する法規制の必要性

2016.01.19更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は会社法で立法的に解決されていない問題である、

支配株主に関する法規制について思うところを書いてみます。

 

1 支配株主の権限の濫用に関する規制


 

 

株主は、会社の支配株主の地位を利用して不正を行うことがあり、

具体的には、親会社が子会社を支配する、

創業家が会社を私物化する、といった態様で現れます。

 

中国会社法では、支配株主による株主権行使の濫用、

影響力の不正行使の禁止が明文化され、

会社が支配株主に対する損害賠償請求権を有するのに、

会社が権利行使しない場合には、

少数株主が会社に代位して代表訴訟を提起し、

支配株主の責任を追及する、という株主代表訴訟が認められています。

 

この問題に関しては、日本法では、ほとんど議論にのぼってないように思います。

学者の先生方は、立法による規制が必要であることを

実務的にはほとんど議論が盛り上がりません。

 

コーポレート・ガバナンス・コードにおいては、

少数株主や外国人株主に対して実質的に配慮する(基本原則1)、

上場会社が役員や主要株主等との取引をする際に

適切な手続きをとるよう枠組みを開示し、監視する(原則1-7)

という形で、若干触れられていますが、

他のテーマと比較してあまり重きが置かれていませんし、

非上場会社を規律するものではありません。

 

支配株主がいながら上場を果たしている会社も多数ありますが、

どうにも不自然な値動きをすることも多いように思います。

一般の個人投資家が右往左往するような値動きをすることは、

好ましくありません。

 

2 子会社管理との関係


 

 

日本では、親会社は子会社のためにならないことをしないであろう、

という、性善説に基づく運営をしてきて

支障がなかった歴史があるのかもしれません。

しかし、取締役が子会社を利用して不正行為を行った、

というケースでも、実はその取締役が

支配株主の出身者である場合が多いはずであり、

このような場合に、経営陣としての権限濫用にのみ着目するのは、

観察が足りないように思います。

 

海外を含め、適正なグループ管理を行う前提として、

親会社が子会社の利益を蔑ろにしないことが必要になります。

グループ管理の必要性をどれほど叫んだところで、

会社法上の法規制が不十分である場合には、

うまく機能しないように思います。

不勉強なのでこの程度にしておきますが、

英知を集結して何とか解決していただきたいと思います。 

 

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企業法務/会社法務(17)平成26年会社法改正

2016.01.18更新

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今回は平成26年会社法改正について思うところを書きます。

 

1 改正の概要


 

 

主として法務省HPなどを参照すると、以下のとおりです。

(1)コーポレートガバナンス体制

・社外取締役、社外監査役の要件の厳格化

・監査等委員会設置会社の創設

・会計監査人の選解任議案の内容の決定権を

  監査役または監査役会に属させる。

(2)親子会社に関するもの

・多重代表訴訟

(3)組織再編に関するもの

・組織再編差止請求

・詐害的会社分割の保護

 

大雑把に考えると、企業グループの適正な運営を担保する仕組みを

構築することを目指している、ということだと思います。

 

2 所感


 

 

コーポレートガバナンスについて制度を構築することについては、

時代の要請であり、避けられない方向であると思います。

しかし、この改正に限らず思うことですが、

「社外取締役、社外監査役の能力要件は何か、

取締役・監査役と会計監査人は、その会社において、

いったい何を期待されているのか?」

の議論が煮詰まっていないと思います。

 

どれほど実績を積み、能力を有する方であっても、

あまり時間が取れないような人では、深く関与することもできません。

逆に、例えば自分の思うべき経営方針を過度に押しつけすぎるような人が

社外取締役になると、会社は取締役会の開催自体を減らして

遠ざけようとするかもしれません。

どのような役員を招聘するべきか、という問題は、

会社の事業内容、社風、人員構成などによって各種各様です。

一律に、社外であるべき、役員にすべきという規律を課し、

そこで議論が終わってしまうのは、ある意味で思考停止であり、

悪く言えば、外形だけ整えている、という感が否めませんし、

専門家(弁護士、財界人、官僚OBなど)の職域の拡大

という話で矮小化してしまいそうな感じもします。

 

他方で、内部統制、内部監査の方法は、

各会社の創意工夫に委ねられているということなのだと思います。

したがって、法律の定めは簡素なものです。

しかし、各会社の創意工夫こそが重要です。

これらの方法を構築して実務的に定着させることが

より重要になることは間違いないと思います。

外形だけでは意味がなく、実質を伴ってこそなんぼの世界です。

会社の管理業務を充実させる専門家を増やすことが

望まれていると考えています。

 

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企業法務/会社法務(16)会社の特別清算

2016.01.17更新

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前回、会社解散、清算の流れについて書きましたので、

特別清算について書きます。

1回のテーマでざっくりとした概略を説明する趣旨ですので、

端折り気味ですが、個別論点については、

機会のあるときに書こうと考えています。

主として個別和解型の特別清算をイメージして書いています。

 

1 特別清算申立


 

 

会社の本店所在地を管轄する裁判所宛に申立を行います。

必要な書類は、事案によって異なりますが、

最低限を記載すると下記のとおりです。

このうちの多くの書類は、弁護士が作成します。

清算貸借対照表と清算財産目録については、

内容が適正かどうか、清算人と綿密に打ち合わせて検証します。

・臨時株主総会議事録(解散決議)

・清算貸借対照表、清算財産目録

・臨時株主総会議事録(清算貸借対照表等の承認)

・決算書(過去2期分程度)

・株主名簿

・債権者名簿

・債務者名簿

・解散公告写し

・債権者に対する催告書写し

・清算人の履歴書

・定款の写し

・スケジュール表

 

特別清算の申立代理人が清算人代理となる場合には、

清算人代理選任許可申立を行います。

これにより、弁護士が引き続き清算人の代理業務を行うことができます。

 

2 重要な財産の処分、公租公課債権者への対応等


 

 

特別清算開始決定を得た清算株式会社においては、

債務超過の状態にありますので、

財産の換価、弁済については手続きが厳格化されており、

重要な財産の処分等を行う場合には

裁判所の許可(または監督委員の同意)が必要です。

 

また、債務の弁済を債権額割合によって行うか、

協定に基づいて行うのが原則です。

債権申出公告において定めた債権申出期間内の弁済は

原則として禁止されていますが、

少額債権、担保債権などについては

裁判所の許可を得て弁済することができます。

公租公課債権についても

裁判所の許可を得て弁済することがあります。

債権申出期間内に期限が到来した債務についても

遅延損害金の支払いを免れないので、

このような制度を活用することは比較的多いです。

 

3 一般債権者への対応


 

 

協定によらない場合について記載します

(協定によらない場合には、債権者集会の招集は不要です)。

債権申出期間が経過した後、

個別の債権者と和解契約書を締結するべく、

裁判所に対して和解許可申立を行います。

債権申出期間終了後直ちに許可申立ができるように

予め準備しておくことが重要です。

速やかに許可を下して欲しいと裁判所に要望することが多いです。

 

4 弁済


 

 

和解許可を受けた後、和解契約の内容に従い、弁済を行います。

 

5 清算結了


 

 

会社財産が全て換価され、負債が法律上消滅し、

費用の支払いも終えたときには、

特別清算終結決定の申立を行い、

裁判所から特別清算手続終結決定を受けることになります。

 

6 弁護士費用


 

 

申立の弁護士費用は50万円(税別)程度~です。

債権者集会を開催する場合、

清算人代理として換価業務を行う場合などには、

上記の報酬の加算をお願いすることになりますが、

総支払金額、支払方法等については、ご相談に応じさせていただきます。

 

 

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企業法務/会社法務(15)会社の解散

2016.01.16更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、会社解散、清算の流れについて書きたいと思います。

今のところ、ブログでは概略を説明することに注力しているため、

普通の解散、清算をイメージして書きます。

 

1 株主総会による解散決議


 

 

株主総会の特別決議により会社は解散します。

後で特別清算を予定しているような場合には、

倒産イメージを避けるため、商号を変更したりします。

予め司法書士の先生に商号調査をしていただいたりします。

また、株主総会において清算人を選任します。

 

株主総会を実際に開催する場合には、

弁護士が招集手続きから関与し、総会に立ち会うこともあります。

株主総会決議を書面により行えるような場合には、

司法書士の先生と協力しながら、

できる限り期間を短縮できるよう、知恵を絞ります。

 

会社が解散した場合、

清算人は2週間以内に本店所在地において解散登記を行います。

株主総会決議日までに準備しておき、

その日のうちに解散登記手続きを済ませてしまうのが円滑です。

 

2 清算手続き


 

 

会社が解散すると、清算手続きが開始されます。

清算人が会社の現務を結了し、債権を取り立て、

債務を弁済し、株主に残余財産を分配します。

 

重要なのは官報公告です。

清算株式会社は、生産の開始原因が生じた場合には、

遅滞なく債権者に対し、2ヶ月以上の期間内に

債権を申し出るべきことを官報に公告し、

知れている債権者に催告しなければなりません。

この公告も解散の翌日には掲載されるよう

予め手配することが多いです。

だいたい3週間くらい前までには申込を済ませます。

 

若干脇道に逸れますが、実際には会社が解散したものの、

清算手続きは放置されている場合が多いです。

債権債務をともにゼロにしないと清算人の任務は終了しません。

清算人には任期も法定されていませんので、

いつまでも義務が残ります。

実体的にも税務上も、あまり好ましくないことなので、

早急に解消すべきことです。

 

3 清算財産目録・清算貸借対照表の承認


 

 

清算人は、就任後遅滞なく、

清算株式会社になった日における財産目録・貸借対照表を作成し、

株主総会に提出して承認を受けなければなりません。

つまり、ここでも株主総会を開催する必要があります。

特別清算申立などをする場合には、

最低2回の株主総会を経る必要がある、ということです。

株主総会を実際に開催する場合には、

弁護士が招集手続きから関与し、総会に立ち会うことがあります。

株主総会決議を書面により行えるような場合には、

できる限り期間を短縮できるよう、知恵を絞ります。

 

4 清算事務の遂行


 

 

清算人が会社の現務を結了し、債権を取り立て、

債務を弁済し、株主に残余財産を分配します。

 

5 清算事務の終了


 

 

清算人は株主総会において決算報告を行い、

株主の承認を得なければなりません。

清算人は清算結了登記手続きを行い、

登記の時から10年間、帳簿等の重要資料を保管します。

 

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企業法務/会社法務(14)会社訴訟事件

2016.01.15更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は会社訴訟について書きます。

 

1 会社訴訟が提起される原因~本音と建前


 

 

非上場株式の株主から持株権確認、

株主代表訴訟を起こされることがありますが、

多くの場合、株式の金銭的な評価について

見解の相違がある場合に提起されます。

会社の譲歩を迫るため、会社訴訟を提起する、

という具合です。

 

2 当事者の戦い方


 

 

表の目的と裏の目的が異なる場合、

相手に弱みを見せた方が負けることになります。

どこまで我慢できるか、どの段階で相手の虚を突くかがポイントです。

この種の原因で提起された訴訟では、普通の訴訟事件と比べても、

裁判官が早い時期から

話し合いによる解決を提案してくる可能性が非常に高いと感じます。

お互いに主張を十分に行った後に、

勝敗見込みなどを踏まえて、慎重に情勢を見極め、

場合によっては、当事者の側から

解決スキームを提案するなどすることも有用です。

一方当事者が和解提案をして、裁判所が猛烈に乗っかることがあります。

そうすると、相手側は虚を突かれ、対応に苦慮することがあります。

外への見せ方、パフォーマンスが重視される世界です。

この種のパフォーマンスの必要性と有用性については

依頼者の皆様にもご理解いただきたいと思います。

 

3 早期に解決することが双方のためになること


 

 

非上場株式の会社紛争を延々と繰り広げると、

果てしなく長期化することがあります。

株主の側は、いつまでも株式を換価できず、

相続が起こったときなどに相続税を支払えなくなる可能性があり、

会社の側も、多分に労力を費やしますし、

事業承継の前提が固まらないというマイナスが生じることも

否定できません。

場合によりますが、できることであれば、

2項で少し述べたように、我慢比べと虚を突く行動とを両立させながら、

早期の解決に導くことが、どちらの立場にとってみても重要なことです。

延々と会社紛争を引っ張る弁護士さんもいますが、

どうかと思うことがあります。

 

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