野澤吉太郎法律事務所 弁護士 野澤吉太郎

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人事評価制度とは(2)人事評価システムの構築

2015.11.19更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

人事評価システムの構築に関連する話について書きます。

 

1 人事評価システムの構築の方法  

 

人事評価システムを構築する際には、従業員からの聴き取りを行います。

与えられた資源(時間、予算など)とのにらみ合いになりますが、

できるだけいろいろな立場の方から話を聞いていきます。

 

経営者層の方々にはあえて外していただき、

意見を述べた人が特定されないように配慮して、

何か意見がありますか、と聞いてみると、

それなりに話を聞くことができます。

それまで、そのような話をすることができなかった人が

沢山いたりするのだと思います。

 

給与体系に関する意見、

スキルアップを図るためにはどうしたらよいか、など、

いろいろな話が出てきます。

職務規律を緩めることはできませんので、

従業員の意見に流されてはなりませんが、

取り入れるものを取り入れていけば、説得性も違ってきます。

 

とにかく、幅広く、粘り強く意見を聴くことが最初に肝心なことです。

この点において、弁護士は、

相当に訓練を積んでいる人が多いと思います。

何しろ、人の話を聴くのが重要な仕事です。

 

2 別の経営課題の発見 

 

この過程で他の課題を見つけ出すこともあります。

テーマを限定せずにオープンな意見を求めたりすると、

適切な業務分掌のあり方、

職務権限の分配の仕方などにも話が及ぶことがあります。

その会社に見合った組織を構築したり、

経営面においても、当該部署、

会社の活動を改善する足がかりを築けることもあると思います。

 

人事制度システム構築に関わる分野の多くについて、

弁護士はその専門能力を生かし、助力をすることができるはずです。

非常に有望な活動領域であると思っています。

 

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投稿者: 弁護士 野澤吉太郎

人事評価制度とは(1)人事評価制度の目的

2015.11.18更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、人事評価制度について書きます。

 

1 人事評価制度の策定の必要性 

 

前回、労働問題(2)において、

早い時期から労使紛争の芽をつぶすことが重要だと書きましたが、

さらに大事なことは、

適切な人事評価制度を策定することだと考えています。

従業員の方々が、何によって評価されているか分からないまま

働いているケースは、意外と多いように思います。

従業員が何を目指せば良いかが不明確であると、

フラストレーションがたまり、士気も落ちます。

 

外で会社の悪口をいう人は沢山おり、

そのことは、この国では一つの文化のようになっていますが、

本来、おかしな話です。

適切で説得性のある評価の仕組みを構築できれば、

会社に対して不満を持つ方の割合も減ってきます。

意欲をもって働いていただき、

それによって会社の業績が向上すれば、待遇に反映させることもできます。

そのような方向性を目指すことが非常に重要なことです。

 

2 私の活動

 

多くの大会社には人事部が存在していますが

(正しく機能しているかどうかは会社によりますが)、

中小企業においては、

人事部の機能が存在しない場合が多く見受けられます。

どういう人材が、何人必要で、そのために何をすればよいか、

どうやって従業員のレベルを上げることができるか、

それらの方法論を構築するお手伝いができるようになるのが

私の目標の1つであり、現に実践しております。

 

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労働問題(2)労働紛争を未然に解決する手段

2015.11.17更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回も、労働問題について書きます。

 

1 労使紛争を未然に解決する方法 

 

前回、使用者側代理人となった場合に、

事実関係を徹底的に明らかにすることが重要だと書きましたが、

それよりも最も重要なことは、

極力、労使紛争を起こさないようにすることです。

当たり前の話ですが。

 

多くの場合、早期に対応することで、紛争の芽をつぶすことができます。

早い段階から、労働条件通知書、雇用契約書、

誓約書、就業規則などを見せていただければ、

初回の法律相談の段階である程度指針を示すことができますので、

紛争を未然に防止することができます。

顧問契約を締結するなど、ある程度継続的なおつきあいがあれば、

就業規則の内容なども熟知することができますので、

その会社特有のアドバイスもすることもできます。

 

2 時代の変化

 

私が弁護士業務を開始したときと比べ、年々、

労働者の権利が強く意識されるようになっています。

有名な企業を被告として、

残業代請求事件、労働契約上の地位の確認請求事件など

が起こされて、マスコミに報道されたりすることもあります。

これは訴えられても仕方ないな、

というケースも多く聞こえてきます。

 

3 コンサルタントの視点から

 

私は使用者側代理人としても活動していますが、

経営コンサルティングも行っています。

会社に所属する従業員の方々に、

り甲斐を感じて仕事をしていただくことは、

会社にとっても、非常に重要なことだと考えています。

個別紛争は依頼者に有利な結論を得るよう処理しなければなりません。

しかし、その活動をするに際しても、随所随所において、

会社が持続的に成長できる仕組みを作ることを提案しつつ、

労働事件の処理にあたりたいと考えています。

 

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労働問題(1)労働紛争の解決方法

2015.11.16更新

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今回は、労働問題について書きます。

 

1 労働問題のセオリー  

 

特に個別労使紛争においては、

労働者側は権利の主張を強固に行って依頼者を有利な方向に導き、

会社側は事実関係を丹念に暴き出して有利な方向に導く、

というのが、この種の事件のセオリーのように思います。

労働事件を多く取り扱われている弁護士の先生ならば

常識中の常識だと思います。

仮に労働者側に変わった振る舞いがあるときには、

会社側は、徹底的に事実関係を調査して、

そのことを証拠化する努力が必要です。

 

2 労力の掛け方

 

私は会社側の代理人として活動することが多かったですが、

個別労使紛争における事実関係の調査への労力の掛け方は、

労使のそれぞれで全然違うと感じています。

感覚的にいうと、1:3から1:5くらいの比率かな、という実感です。

私が個別労使紛争を受任する際には、

このことを最初に説明するようにしています。

 

3 受任後の取り組み方 

 

労働審判申立などにおいては、期日までほとんど時間がない場合が多く、

期限が切迫している中で事実関係を明らかにしなければなりません。

ご相談にいらしたお客様が、以上の趣旨にご賛同のうえ、

惜しみなくご協力くだされば、弁護士と依頼者の距離は一気に縮まり、

私もお客様に共感しながら仕事を進め、

徹底的に事案に没頭することができます。

使用者側代理人は困難も多いですが、

その点にやり甲斐を感じています。

お困りのお客様はご連絡いただければと思います。

 

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取扱い業種(2)ビジネス法務

2015.11.10更新

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取扱い業種(1)のブログで、お客様の取扱い業種次第で、

私自身も、割と珍しい領域に踏み込んでいったことを書きました。

 

お客様とは一期一会、ご縁だと思っているので、

ご縁のあるお客様の取扱い業種については自分で勉強し、

研鑽を深めていくことは、当然のことです。

 

ただ、私自身には、

基本的なインフラに関連する業種に深く関与できるよう、

そこに力点を置いて研鑽を深め、

実践していきたいという希望があります。

 

例えば、電力、ガスなどのエネルギーの分野では、

これまで、競争原理があまり働いてきませんでしたし、

部外者のうかがい知れない部分が残っていました。

しかし、たとえば電力についていえば、

電力システム改革、自由化が進み、

激しい競争の時代が来ることは間違いない状況です。

競争という点からいえば、農業なども同様の状況かと思います。

意外と見えづらかったところインフラコストを下げ、

価格競争力を付けていく、など、

これから取り組まなければならないことは山ほどあるかと思います。

 

そのようなニーズに応えるため、取引スキームを作ったり、

会社を設立したりすることは、弁護士業務の新しい領域かと思います。

これこそ、本当のビジネス法務ではないかと思っています。

 

ご興味のある方は、是非ご連絡いただければと思います。

 

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契約書(3)交渉、覚書の段階から弁護士に依頼する意義

2015.11.09更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、交渉、覚書の締結の段階から

弁護士が関わることの意義について考えるところを述べたいと思います。

 

1 交渉、覚書の締結

 

規模の大きな取引や、継続的取引においては、

最初に最終の契約書(基本契約書など)が取り交わされることはまれで、

多くの場合は、交渉の段階ごとに、覚書のようなものを交わし、

LOI(レターオブインテント)、

MOU(メモランダムオブアンダースタンディング)

などといわれるものです。

中間の合意を積み重ねて、最終の合意に至ります。

 

2 中間的な合意の重要性

 

大企業の場合はそうでもないと思いますが、中小企業の取引においては、

交渉段階や、覚書の締結の段階から、弁護士が立ち会ったり、

助言することはそれほど多くなかったように思います。

私がこれまで相談を受けてきた際にも、

最終の契約書の確認を求められることがほとんどでした。

お客様が支払えるコスト等との兼ね合いで、

そうした関わり方が多かったのかも知れません。

 

しかし、最終の契約書が締結される際に、

個別条項の修正をしたほうが良いと指摘しても、

交渉過程で中間的な合意がなされているなどして、

何を言っても、いまさら覆すことは難しい、

細かい修正はあり得るとしても、

概ね、契約するか否かしか実質的な選択肢がない、

などということが結構あります。

もう少し早くから相談していただければやりやすいのに、

と思ったことは何度もあります。

 

本来、中間的な合意を取り交わす前の段階から、

弁護士が関与していることが望ましいはずです。

中間的な合意には法的拘束力を持たせないことが

多いためかもしれませんが、この領域については、

従来、弁護士の関心は薄かったかも知れません。

 

3 中間的な合意と弁護士の関わり方

 

しかし、ビジネスを前に進めるためには、

交渉当事者間の信頼関係を深めることが重要であり、

中間的な合意において約束事を確認することは、

ビジネス上、非常に重い意味を持っており、

ビジネスを前に進めるために、不可欠なことでもあります。

しかも、お互いに拘束がない中で、

合意を取り付けることは、実に難しいことです。

どの段階で、どのような方法で、中間的な合意を取り付けるかは、

ビジネスマンにとっても、相談を受ける弁護士にとっても、

腕の見せ所であるはずです。

交渉初期の段階から、法律の観点から計画内容を確認していくことが

望ましいのは、いうまでもありません。

取引交渉過程を目の当たりにすることは、

弁護士にとっても新鮮なことであり、非常に面白いことです。

 

取引を組み立てるには、初期において、

きちんとした計画を立案し、

これを、実直、堅実に遂行していくことが重要ですが、

これからは、取引の初期の段階から、

弁護士が関与することが多くなるに違いないと思っています。

私自身も実践を重んじて活動していきたいと考えています。

 

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取扱い業種(1)お客様の業種と弁護士の取扱い業務との関係

2015.11.08更新

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1 お客様の業種

 

現在の私の取扱い業務は、

「取り扱い案件」のところに書いてあるとおりですが、

お客様の取扱い業種別に見ると、

割と珍しい領域に踏み込んでいたりします。

比較的珍しいのは、貿易、物流、食肉などの取引です。

 

2 研究の蓄積不足

 

珍しい領域について法律問題を検討し、

いろいろ試行錯誤してみて感じていることですが、 

これらは、日本経済を支える屋台骨であるにもかかわらず、

これまでの法律家は、概して、

これに着眼して研究することに注力してこなかったといえます。

 

まず、法律解釈を説明した文献が多くありません。

法律問題を検討しようとしても、どの点に着眼すべきか、

見当を付けることが難しいことが多いです。

 

もちろん、行政の解釈を記載した文献はいくつかありますが、

行政の解釈が多く述べられていても、

私人がどう振る舞えば良いか、あるいは、

どの条項がどのような態様で紛争解決の指針となっていくのかが、

行間を読み解かなければ分からないことが多いです。

 

3 業界について考察することのやり甲斐

 

業界の特殊な事情のある案件で、

裁判などで通用するレベルのロジックを組み立てる作業は、

自分の頭で考えなければいけないことが多いので、

大変ですが、非常にやり甲斐があります。

 

また、このような業種に関連する取引スキームを組み立てるときには、

業界慣習などについての理解も必要になります。

業界の本を読みあさったり、

お客様からいろいろお話を聞いたりすることで対処します。

林業や観光業などの文献を読みあさったりしたこともありました。

 

業界特有の問題点について

法律的な判断が必要と考えられた場合には、

ご用命いただければと思います。

 

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契約書(2)商取引と契約書

2015.11.07更新

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主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回は、商取引の契約書について書きたいと思います。

 

1 商取引の契約


 

 

現在、フランチャイズ契約に関する書籍の編集、

校正等の作業に名前を連ねていただき、検討を重ねています。

 

フランチャイズ契約については、

裁判などの紛争になることが多いので、

裁判例を分析した書籍などは多数存在します。

裁判例を分析した書籍などは、類似の紛争が発生したときは、

もちろん参考になります。

しかし、裁判で問題になった論点をいくら洗い出しても、

非常に限られた論点に集中していて、

断片的であると思わざるを得ません。

(裁判になると、その論点に対する判断に何年もかかることが多い、

    というのも困りどころですが。)

日々の業務の中で担当者の方が悩まれている問題は、

裁判になりそうもない、別の問題であったりします。

基本的なものの考え方を把握しないまま、

諸々の論点を一つ一つ追っていくと、本当にキリがありません。

 

理論と実務の双方に精通しておられる弁護士の先生は、

非常に限られていると思います。

契約の条項の根底に流れているものの考え方について記した書籍も、

本当に少ないことを実感しています。

今回私がご協力させていただいている書籍は、

数少ない書籍の1つに加わることに間違いないものと思っています。

 

2 専門性の高い商取引


 

 

多数の裁判例があるためか、フランチャイズ契約はまだいいほうで、

法解釈論に関する文献がほとんどない商取引は物凄く沢山あります。

弁護士が増えた、とよく言われますが、

皆が同じ領域に関心を向けているようでは、

社会のニーズを満たすことにはなりません。

あまり深掘りされていない商取引の分野について、

研鑽を深めることも私の1つの業務であると思っています。

 

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契約書(1)ひな形、フォーマットを使える場合と使えない場合

2015.11.06更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で

主に城北エリアを中心に弁護士の活動をしております、野澤吉太郎です。

今回はテーマを変え、契約書について書きたいと思います。

 

1 契約書のひな形、フォーマットが使える場合


 

 

すでに原稿を作成した後に弁護士が目を通す、

というレベルの仕事であれば、

調べる時間を少しいただければ、大概は解決できます。

また、定型的な契約であれば、

ひな形やフォーマット等も出回っていますので、

弁護士が最初から作成する場合でも、それほど時間はかかりません。

すでに取引が始まっているけれども、

契約書を作成していなかったので作成する、

という場合でも、ほぼ同様です。

 

2 契約書のひな形、フォーマットが使えない場合


 

 

難しいのは、例えば、ビジネスそのものが始まっておらず、

一からビジネススキームを創り出す場合の契約書の作成です。

たいていの場合、弁護士は、片方の当事者から話を聞くことになります。

その話の中から、相手方の要望、想定されるトラブルなどを発見し、

条項を詰めていくことになります。

お客様から、徹底的に話を聞いていかなければなりません。

大企業で用いられる基本契約書や覚書などを作成する場合も、

似たような問題があります。

これらを作成する際には、

ビジネスそのものを一から理解するプロセスが必要になります。

これは非常に難しい作業であり、

上の段落で書いたやり方とは全く様相が異なります。

場合によっては、修正を重ねたりしていると、

作成に何ヶ月もかかったりすることもあります。

 

3 契約書作成とコミュニケーション


 

 

このように、契約書について、

どの程度時間をかけて検討すべきかは、事案によって異なります。

時間や労力のかけ方を決めることは、難しい判断です。

弁護士の側からきちんと方針を提案し、お客様と協議し、

納得を得ながら進めていくよう、心がけています。

このプロセスを省き、きちんとお客様に説明しないまま、

蓋を開けてみれば費用が高かった、というケースが、

この業界においては相当多かったのではないかと思います。

契約書の作成は本当に難しい仕事であり、

相応の費用をいただかなければならない場合もありますが、

オーバースペックでは意味がありません。

双方、適切にコミュニケーションを取りながら、

進めさせていただければと願っています。

 

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債権回収の方法(3)法的手続きの選択のポイント

2015.10.26更新

東京都豊島区の池袋エリアの法律事務所で主に城北エリアを中心に

弁護士活動をしております、野澤吉太郎です。

少し間が空いてしまいましたが、続きを書きたいと思います。

 

1 回収可能性がなくとも法的手続きを選択する場合


 

前回、回収可能性があることを原則論に据えるべきと書きましたが、

回収可能性を度外視して、

法的手続きをとるべき事例もあると考えています。

 

私が弁護士になりたてのころは、

金融機関は不良債権を早期に処理する必要があり、

そのために、貸金請求訴訟などをはじめとして、

もろもろの法的手続きをとっていました。

 

金融機関の存立基盤を固めるために

裁判などを提起し続けることが必要とされていたのかもしれませんが、

ひととおり不良債権の処理が終わり、

中小企業金融円滑化法の時代が到来してからは、

これらの流れは過去のものになりかけているように思います。

 

現在のご時世で、回収可能性がなくても、

法的手続きを取るべきだと私自身が考えるのは、

債権者のシステムを悪用したり、債権者に難癖をつけたりして

債務を免れようとする場合のように、

放置しておくと債権者のビジネスモデルを維持することが

困難になったり、対外的、対内的に示しがつかなくなる場合です。

 

2 回収可能性がない場合に説明すべき事情


 

事案をお聞きした後に、回収可能性は高くなくても、

訴訟を起こすべきだと提案する場合には、

私は、ご依頼者に対し、未収債権を放置しておくと、

ビジネスモデルへにこれこれの悪影響が及ぶ、という点を、

きちんと説明していくように心がけています。

 

その議論には、多くの場合、経営判断が絡むことになりますので、

弁護士の側にも債権者のビジネスに対する理解が必要になります。

弁護士の側も勉強をしなければならず、

それはそれで大変だな、と思うこともあります。

 

しかし、回収可能性とビジネスモデルに関する議論をないがしろにして、

弁護士に報酬を支払ったのに、

蓋を開けてみれば、回収はできませんでした、ということになると、

ご依頼者のご要望に応えられないことになります。

 

回収のアテがないのであれば、そのリスクも説明し、

それでも法的手続きを取るべき理由を、

ご依頼者にきちんと説明できる実力を持つことが、

これからの弁護士に求められているのだと思います。

 

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